相原茂の中国語閑談

【156】中国の諺 日本の諺

10.12.2019 - By 相原茂&朱怡穎Play

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大家好!

諺は中国語では“俗话”súhuà,あるいは“谚语” yànyǔという。日本も中国も人が暮らす社会だから,似たようなものが少なくない。また中国から取り入れたものもある。しかし,全く同じではなく,微妙に異なる。例えば,「朱に交われば赤くなる」,中国語ではこうなる。

 近朱者赤,近墨者黑。Jìn zhū zhě chì, jìn mò zhě hēi.

 中国のは後ろに「墨に近づけば黒くなる」がくっついている。赤と黒が対になっている。意味も違う。日本では「悪い人と付き合うと悪くなる」だが,中国は「良い人に近づけば良い影響を受け,悪い人と付き合えば悪い影響を受ける」だ。つまり,人はその付き合う人によって良くも悪くもなる,と言う。中国はどちらもありだ。

次も似ている。日本はやはり前半だけだが,中国は後半に続く。

 临阵磨枪,不快也光。Lín zhèn mó qiāng, bú kuài yě guāng.

 戦いに臨んで槍を磨く,切れ味はあまりよくないがそれでも光る。つまり,試験前の一夜漬けでも多少は役に立つと言う。「泥縄式」でも役に立つと主張する。日本語「泥縄式」と微妙に違う。

 “亡羊补牢”もそうだ。これも後に“未为晚”と続く。

 亡羊补牢未为晚。Wáng yáng bǔ láo wèi wéi wǎn.

羊が盗まれてから囲いを補修する,それでも遅くないと言う。

 なんだか中国のほうが前向きで楽観的だ。次もそうだ。

 种瓜得瓜,种豆得豆。Zhòng guā dé guā, zhòng dòu dé dòu.

瓜を植えれば瓜が育ち,豆を植えれば豆が出来る。つまり,「努力に見合った成果があがる」ということだ。ここには「因果応報,悪いことをすれば報いがある」との意味も含まれる。

 

これは中国語が対を重んじ,結果として,善悪,正反,得失など,物事を複眼的に眺めているためではあるまいか。二つの眼で,両方を平等に取り上げている。そういう意味では,次のようなものも優れて中国的と言えるだろう。

  公说公有理,婆说婆有理。

  Gōng shuō gōng yǒu lǐ, pó shuō pó yǒu lǐ.

舅は自分に道理があるといい,姑は自分が理にかなっているという。それぞれ自分が正しいと主張する。最近の国家間の外交論戦のようだ。

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