フレンチ・クラシック・カフェ

#70 滑らかさと正確さと-「パントマイム」のフルートソロ

12.02.2022 - By 笹川日仏財団Play

Download our free app to listen on your phone

Download on the App StoreGet it on Google Play

モーリス・ラヴェルの最後の棲家があるモンフォール=ラモリー(Montfort-l'Amaury)は、パリの西、ヴェルサイユ宮殿の広大な庭園の脇を走り抜けて間もなくの、小さな村です。

その家は傾斜地にある為、町や周りの森を見渡せる居間の階から、小さな螺旋階段を降りた庭に面したところに寝室があります。

ラヴェルは、夜眠れず森を散歩したりする事も多かったとの事。昼間眠るためか、その部屋は地中海の薄明るい夜のような淡い黄色に塗られていて、壁の四隅にはコリント式の柱頭が描かれています。窓の雨戸(volée)には星と三日月がくり抜かれ、そこから光が漏れて、夜空に輝くような演出。これらは総てラヴェル自身が自らの手で作業をしたのだと。

この不思議な色彩感の空間の中、ラヴェルは天蓋の付いた小さなベッドの上で、若いころ作曲した『ダフニスとクロエ』の舞台になったギリシャへ憧憬を思い出すのでしょうか。

【出演】中田昌樹(指揮者)

【演奏】モーリス・ラヴェル作曲『ダフニスとクロエ』第3場「パントマイム」 レナード・スラットキン/指揮、フランス国立リヨン管弦楽団/演奏

    インタビュー/トマ・プレヴォ 元フランス国立放送管弦楽団 フルート主席奏者

    イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行

【提供】笹川日仏財団

More episodes from フレンチ・クラシック・カフェ