タイ警察当局の発表によれば、薬物容疑で中国当局が行方を追っていた中国人の男（42）をスワンナプーム空港で７月23日に逮捕した。同容疑者は2020年12月に中国で中国人の女とともに覚醒剤3．3キロを売買したとして当局が逮捕状をとったことから翌年国外に逃亡していた。 入管によれば、容疑者はタイには複数回入国していたが、容疑者がビザを取得して入国していることが判明したためビザを無効とした。そのため、空港での出国手続きの際に素性が知れて逮捕されたという。

 タイ警察庁のトーサク副長官は７月23日、警察は銃器と実弾の違法販売取り締まりを展開しており、今年１月１日～７月21日の期間に全国の1658か所を家宅捜索し、銃911丁、実弾４万4540発、爆弾２個、覚醒剤6239錠を押収するとともに銃の違法販売容疑などで966人を逮捕したと発表した。最近では、南部クラビ県で薬物密売や殺人未遂などの容疑で逮捕状の出ていた容疑者の男（28）の自宅を家宅捜索。しかし、男が自宅の裏手からオートバイで逃走し警官に発砲したことから銃撃戦になり容疑者は射殺された。自宅からは拳銃、手榴弾、発煙弾などが押収されたという。

総選挙で第１党となった前進党のピタ党首を首相とする８党連立政権の樹立が難しくなったことで、前進党に代わり第２党のタイ貢献党が新政権樹立を主導することになった。だが、これまでのプラユット政権で与党側だったタイ威信党、国民国家の力党、タイ団結立国党、チャートタイパタナ党の４党は、前進党の参加する政権には加わらない意向という。前進党は不敬罪を規定した刑法112条の改正を以前から掲げており、これが理由でピタ同党党首は首相指名選挙の第１回投票で上院議員の支持を得られずに指名獲得に失敗している。しかし、同党は112条改正のスタンスを変えていないため、タイ威信党などの４党は、「前進党拒絶」を表明することになった。

首相指名選挙の第２回投票で前進党がピタ同党党首を再び首相に推挙したことに対して、上下両院議員の投票で「認められない」との判断が下され、同党首は首相ポスト争奪戦から排除されることになった。しかし、複数の法律専門家かがこの決定に異議を唱え、憲法裁判所の判断を仰ぐべきとの指摘が相次いでいる。今回の決定は、「同じ国会の会期中に提出、否決された議案を再び国会で取り上げることはできない」という国会規則に基づいたものだが、憲法起草委員会の委員長経験者のボウォンサク氏は、「憲法が首相指名選挙について具体的に規定しているにもかかわらず、国会規則に依拠して判断を示しており、憲法の機能が阻害されることになった。タイにとって残念なこと」と指摘する。同氏によれば、行政監察官（オンブズマン）を通じて憲法裁に判断を示すよう要請することが可能で、また、行政監察官が動かない場合は、今回の決定で影響を受ける者が憲法裁に直接要請することも可能とのことだ。

タイ中央銀行はこのほど、初段階としてオンライン銀行３行の開設を許可することを決めた。セタプット中銀総裁は、「開設許可をまず３行に限定したのは、タイの金融マーケットの安定性を維持し、新しい銀行ビジネスから預金者を保護するのに適切と判断したため」と説明する。バーチャルバンクとも呼ばれるオンライン銀行はインターネット上で金融取引を専門に行う銀行。中央銀行ではオンライン銀行の開設などに関する規則を７月中に作成して、認可を得るためにそれを財務省に提出する予定だ。オンライン銀行の開設申請の受付は24年に開始され、業務開始は翌25年になる見通し。

総選挙で最多議席を獲得した前進党の支持者たちが首相指名選挙でピタ同党党首が首相指名を獲得できないことに不満を募らせているが、この先しばらく都内では複数か所で選管や議会を批判するとともに同党首への支持表明のための集会が行われる見通しだ。タイではこれまで、2014年５月の軍事クーデターに伴いプラユット元陸軍司令官が長年にわたって首相を務めてきたことや不敬罪が存在することなどに反発する勢力が頻繁に反政府集会を展開してきたが、この勢力は前進党の支持者層と重なる部分が多いとされ、これまでの反政府集会と同じ手法でピタ党首支持集会が展開される可能性が高いという。 これら支持者は、中央選挙管理委員会がピタ党首のメディア株問題について憲法裁判所に判断を求め、同裁判所がピタ党首の下院議員としての資格を一時的に停止したことや、上下両院議員の賛成多数で首相指名選におけるピタ党首の再推挙を認めなかったことなどに「国民の大多数の支持を受けたピタ党首の首相就任を妨害するもの」として強く反発している。

ラチャダ政府副報道官によれば、関係当局は今年の訪タイ外国人数が７月末までに1500万人に達すると見込んでいる。これは北半球の多くの国で学校が夏休みとなり外国旅行に出かける人が増え、タイに来る外国人観光客も増加することが予想されるためという。このほか、タイ国政府観光庁（TAT）は訪タイ外国人を増やすために「アメージング・タイランド・ヘルス・アンド・ウエルネス」という富裕層をターゲットにした医療ツーリズムに重点を置いたキャンペーンを展開しており、これも訪タイ外国人増加に役立っているとのことだ。

タイ政府は最近の閣議で、東部経済回廊（EEC）の３県（チョンブリ、チャチュンサオ、ラヨン）について遊興施設の24時間営業を許可することを決めた。これによりこれら３県では大勢の観光客が訪れ観光産業の成長が促進される見通しだ。チョンブリ県パタヤ市の娯楽観光協会のダムロンキアット事務局長は７月19日、「今回の決定によって地元のビジネスが潤い、パタヤの観光産業が成長するものと期待している」と述べた。同事務局長によれば、仮に規則がしっかり守られれば、遊興施設の24時間営業が一般住民の生活に悪影響を及ぼすことは恐らくないという。

タイ商務省貿易交渉局のオラモン局長は７月19日、タイと欧州連合（EU）の間で自由貿易協定締結に関する初会合が９月にベルギーの首都ブリュッセルで開催されることになったと明らかにした。タイの交渉チームはこのほど、EU側の担当者と会って事前の打ち合わせを行った。タイとEUの間では自由貿易協定締結に関する会合が合計３回行われる予定だが、必要に応じて追加の会合が行われる。ブリュッセルでの初会合に続いて来年１月にバンコクで２回目の会合、同年６月に再びブリュッセルで３回目の会合が開かれる予定。EUとの自由貿易協定締結については、チュリン商務相が今年３月にEU側担当者と話し合いを行い、ここで2025年までの協定締結を目指すことが合意された。

タイ西部ラチャブリ県の元警察幹部の妻だったサラーラット容疑者が過去２年ほどの間に一緒に徳を積むための旅行に行った人など14人をシアン化物を使って殺害したとして今年４月下旬に逮捕された事件で、検察当局はこのほど、同容疑者を殺人未遂と窃盗などの容疑で初めて起訴する手続きを執った。関係筋によれば、サラーラット容疑者は今後の捜査で証拠が揃い次第、殺人などで起訴される見通しだ。容疑者は金貸しをしていたとも報じられており、金銭絡みで青酸カリなどのシアン化物を食べ物に混ぜて食べさせるという手段で次々に友人、知人を殺害したとみられている。