MBTIの心理機能について話します。
以下は僕が独自にまとめた小難しいまとめです。
今度詳しく話したいな。と思っています。
8つの心理機能についての説明
ここでは、ソシオニクス/MBTIで扱われる8つの心理機能を記述する。ソシオニクスにおいて「心理機能」とは、人間が外界や内面の事象をどのように知覚し、認識し、評価し、さらに他者へ伝達するかという一連の認知過程を八つの次元に区分して捉えた理論上の概念である(参考: wikisocion.github.io/content/elements.html)。この区分は、ユング心理学における「思考(Thinking)」「感情(Feeling)」「感覚(Sensation)」「直観(Intuition)」をそれぞれ内向/外向の軸で組み合わせたフレームワークを起点として、ソシオニクス独自の分析視点を加えることでさらに精緻化・細分化したものである。
ソシオニクスの理論では、人間同士のコミュニケーションを「情報の流れ」として観察し、それがどのように受容・処理・出力されるのかを探求する。
たとえば論理(Thinking)系の心理機能は、「Ti(内向論理)」と「Te(外向論理)」に区別される。Tiは内面の論理的一貫性や枠組みづくりを重視するのに対し、Teは外部環境における因果関係や生産性を評価する。
感情(Feeling)系であれば、「Fi(内向倫理)」と「Fe(外向倫理)」が定義され、内面的価値観や個人の好き嫌いを重視するFiと、集団全体の感情的ムードや場の雰囲気を操作するFeとの違いが明確になる。
感覚(Sensation)においては「Si(内向感覚)」と「Se(外向感覚)」が存在し、身体感覚や健康状態への内省的なモニタリングを重視するSiと、物理的な行動力や主導権争いの現場で力を発揮するSeとが対照的に整理されている。
直観(Intuition)では「Ni(内向直観)」と「Ne(外向直観)」が定義され、長期的な時間軸や因果連鎖を深く見通そうとするNiと、多様な可能性や選択肢を水平的に同時発想するNeとに分かれる。
これら八つの心理機能は、ソシオニクスにおける「モデルA」という枠組みでどのような位置に配置されるかによって、個人の思考パターンや行動特性に影響を与えると考えられている。たとえばTiを最も重視するタイプは「独自の理論や概念体系」を核とし、外界の出来事を常に自分の論理基準に合致させようとする傾向をもつ。一方でTeを強く使うタイプは「外部に示せるエビデンス」や「成果の可視化」にこだわるため、プロジェクト管理や組織運営で力を発揮しやすいが、他者の感情面を軽視してしまう場合がある。
ソシオニクスの研究者たち、たとえばGulenkoやFilatova、Stratiyevskayaなどは、この八つの心理機能がタイプ間の相性や対立要因、あるいは組織における役割分担を説明する有力な手掛かりになると指摘している。たとえば、Fiを主機能とするタイプは自分の内的価値観に忠実であり、他者の感情や人間関係の質を微細に察知しようとするため、カウンセリングやメンタルサポートなどで大きな能力を示す。一方、Feを主機能とするタイプはその場の空気を一気に盛り上げることができるが、深い人間関係の継続的ケア(=Fi)が苦手である場合が多い。このように、それぞれの情報要素が持つ特徴の差異は、一人ひとりの「当たり前」と他者の「当たり前」がいかに食い違いうるかを示す格好の例である。
さらにソシオニクスでは、各心理機能を「強み(主機能や創造機能)」とするか「弱み(脆弱機能やRole機能)」とするかによって、個人がどのような状況で活躍し、どのような状況でストレスを受けるかが変わってくると考えられている。
たとえばTeが脆弱(Vulnerable)な位置にあるタイプは、細かな成果指標や効率性ばかり問われる現場に置かれると大きな苦痛を感じる。また、NiをRole機能として位置づけるタイプは、未来予測や長期戦略の提示を「必要な場面だけ頑張る」ことは可能であるものの、常時それを求められると疲弊するという。こうした構造的な理解により、どのような分野で自分の力を活かせるか、あるいは他者がどの機能で自分をサポートしてくれるか、といった相互補完の視点を得ることができる。この機能位置に関しては後述する。
wikisocion.github.ioをはじめとする関連資料は、各心理機能の具体的な表現形態や、過度・不足になった場合に生じやすい問題なども詳述している。たとえばSeが過度に強まると、周囲との対立を顧みずに突き進むリーダーシップを発揮するが、そこで働くFeやFiが弱い場合には対人関係の亀裂が生じやすい。逆にSeが不足すると、いざというときに自分の意思を通せず、機会を逃してしまいがちである。いずれの場合も単独の情報要素だけを見て判断するのではなく、他の要素との相互作用を踏まえる必要があるという点が、ソシオニクスの理論における重要な視座である。
このように、「心理機能」という概念は、ソシオニクスの核心を構成する枠組みであると同時に、人間理解の多面的な視点を提供するものである。自他の認知・行動様式を、八つの異なる情報処理パターンとして捉えることにより、個人や集団で生じる摩擦の原因を解明したり、相互補完の方法を見いだしたりすることが可能となる。モデルAが提示する機能配置図を参照しながら、各人の優勢要素と劣勢要素を検討していく作業は、自己成長や対人スキルの向上に大きく寄与し得るであろう。ソシオニクス研究者らによる多角的な考察が蓄積されるにつれ、こうした情報要素の組み合わせがどのように性格タイプを形成し、社会的役割や人間関係に影響を及ぼすのかが、ますます明確化されつつあると言える。