ロンドン在住通訳者である平松 里英さんに、「自分には関係ない」と思っていた英語、留学、通訳の道へと進むことになった経緯や、プロの通訳者にとっての英語学習についてうかがいました。 平松 里英 Rié Hiramatsu ロンドン在住日英会議通訳者、大学講師。留学後、日本の外資系企業やイギリスの日系企業などでのインハウス勤務を経てフリーランス通訳者に。得意分野は、マーケティング、通信、メディア(テレビ・ラジオ・インターネット)、ウェブサイト翻訳(トランスクリエーション)。アナウンサートレーニングの経験を生かしボイスオーバーの仕事も好き。通訳訓練や英語力ブラッシュアップの他に、外国語学習の初心を忘れないようフランス語を勉強中。フランス語の次は、スペイン語をブラッシュアップしたいと思っている。北アイルランドのアルスター大学で国際メディア研究修士課程(MA)、ロンドンメトロポリタン大学大学院通訳課程(PGDip)、IIEL日本語教授法コース(TJFL-PGCert)を修了。現在、『通訳翻訳WEB』にてコラム『通訳者通信fromロンドン』を連載中。 ウェブサイト ブログ『I INTERPRET LONDON』 Emi 自己紹介からお願いできますか? Rié ロンドン在住で日英の通訳者をしております平松里英と申します。イギリスに来てからは10年ほどですが、その間ほとんどフリーランスの通訳者をやっております。翻訳やボイスオーバー*などの仕事もしますが、メインは通訳です。 *voice-over:映像に、翻訳した音声を重ねること Emi いま英語を自由に使えている人というのは、そもそもどこから始まっているのかをうかがっていきます。里英さんがいちばん最初に英語と出会われたのは、どこでどんなふうだったんでしょうか。 Rié いちばん最初は、幼稚園か小学1年生かな。日本で、実家のすぐ近くにLL教室ができて、親に連れられて見学に行ったような気がします。字が読めたから小学生だったかもしれません。そのときの体験が印象深かったんです。 よく「ワンツースリー」って聞くじゃないですか。ところが、その見学先の先生に「“ツー”ではなくて“トゥー”って言うんだよ」って言われたんですよ。それで、「ほう、トゥーって言うんだ!」って。衝撃でした。 Emi (笑) Rié それが最初の英語に関わる経験ですかね。 Emi そのまま、そこで英語の学習が始まっていくんですか? Rié いえ、始まらなかったんですよ。まともに英語を勉強しはじめたのは、みんなと同じで中学校に入ってからですね。 Emi 中学の英語科で? Rié そうですね、普通に授業で。ただ、私は私立中学に行ったんですけど、1年生のときの担任の先生が英語担当だったんですよ。学校には英語担当の先生が2人いて、ラッキーなことに、私の担任の先生の方がいい先生だったんです。もう1人の先生はものすごく声が大きくて、授業が全部外まで筒抜け、ものすごい発音だったんですよ。私の担任はそうではなく、アイルランドに留学経験があって、発音にうるさい先生だったんですね。ジョン万次郎じゃないですけど、「ウォーターじゃなくてワラのほうが近いんだ」とか、そういうことを教えてくれる先生でした。 Emi 今のところは、まったく一般的な日本の子どもの英語との出会い方ですね。近所にLL教室ができて体験入学に行き、「あ、英語の発音って違うんだな」。しばらく時間を置いて中学生になって、「あ、英語の発音のいい先生とそうでもない先生がいるんだな」。発音に敏感というのが共通していそうでしょうか。 Rié そうだったと思いますね、おそらく。 英語はすっと頭に入る感じだった Emi そんな普通の日本人の中学生だった里英さんが、英語の世界にぐーっと入っていくのはどこから? Rié 小学校までの4科目(国語・算数・理科・社会)の中で、私、理科が得意だったんですよ。暗記科目が苦手で、理科が好きでした。中学校に入った時も、まだ英語は得体の知れないものだったので、自分では「私は理科の人」と思っていました(笑)。ところが、英語の方が伸びてきちゃって。 Emi 中学の間に? Rié 中学1年生のときですね。特に物理系がダメでした。理論はともかく、式を覚えなきゃいけないっていうのが、頭に入らなくて。 Emi あぁ、「暗記」ですね(笑)。 Rié はい。「突然こんな公式出てきちゃった、どうしよう」みたいな感じ。数学もそうでした。そんな中、英語の方が伸びていきました。英語は苦労しなくても、すっと頭に入る感じだったんですよね。それで、英語に触れる時間、英語を勉強する時間が増えていきました。 Emi 科目の一つとして英語と出会って、他の科目と横並びでスタート。リードしていたはずの理科がだんだん下がっていって、英語が追い抜いていったようなイメージ? Rié …
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