教育クリエイターの下向 依梨さんに、日本の小中学校や英会話教室、中学の頃のカナダ滞在、スイスでの高校生活、アメリカ訪問などによって変化してきた英語学習に対するモチベーション、日本にいながら英語を学び続ける方法についてうかがいました。 下向 依梨 Eri Shimomukai 大阪府出身。教育クリエイターとして主に小学生向けの英語・算数・教科横断教材・カリキュラムの設計、教室運営のコンサルティングを行う。 中学卒業後、単身スイスにわたり全寮制の高校に進学し卒業後、帰国し、慶應義塾大学総合政策学部に入学。 社会起業家の経験値や暗黙知をパターン・ランゲージの手法を用いて言語化した『チェンジメイキング・パターン』を 日本語と英語で製作し、英語版を出版。2014年に渡米し、ペンシルベニア大学教育大学院にて、学習科学・発達心理学の修士号を取得。再度帰国し、東京の全日制のオルタナティブ・スクール(小学校)にて教鞭をとる。 後に現職のLive Innovation取締役・教育クリエイト事業部マネージャーをつとめる。 Elämä(エラマ) Emi 自己紹介からお願いします。 Eri はい、下向依梨といいます。教育クリエイターという肩書で、主に教材を作る仕事や先生に向けたトレーニングをしています。「頭のいい人を育てるより、心の豊かな人を育てることによって、豊かで平和な社会をつくる」というコンセプトで、感情や社会スキルにアプローチするような教材を作っています。 Emi 最初に英語に出会ったのは、いつどこで? Eri 出会いは2種類あります。本当の本当の最初の出会いは、5才のときに『サウンド・オブ・ミュージック』という映画を両親が見せてくれたのがFirst encounterでした。そこに出てくる7人兄弟のいちばん下の女の子がちょうど5才なんですよね。その子と同じ5才のタイミングで、両親が大好きだった映画を見せてくれたというわけです。私は当時から歌うのがすごく好きな子どもだったので、有名な『ドレミの歌』など、映画に出てくる歌を口ずさんでるうちに、勝手に英語をしゃべってるみたいなことになっていました。 Emi 場所は日本? Eri そうですね。大阪の自宅です(笑)。 Emi (笑)大阪で、ご両親は日本人。日本語の環境で5才になって、そこで映画によって初めて英語を聞いて、英語の歌を覚えて歌っていた。 Eri 母親がもともと歌手だということもあって、母がよく歌っていて、そこに姉と私がのせて歌ってるみたいな状況でしたね。 姉の英語に、「悔しい」「もっとしゃべりたい」 Emi 「英語との出会いが2種類あった」ということですが、もう1つは? Eri 映画は「英語だかなんだかよくわかんないけど、楽しいからなんとなく口から発してる」という出会いだったと思うんですけど、本当にリアルに英語に触れたのはおそらく小学校3年生のときです。両親の仕事の関係で、職場に英語ネイティブの方が6~7人いらっしゃって、週末にみんなでお食事や遊びに行っていました。両親が彼らの面倒を見てあげたいと思っていたこともあって、家族ぐるみで付き合いがあったんです。 当時中1だった姉と小3だった私とでは、一緒に歌を歌っていたと言えども英語力に差があるわけですよ。ネイティブの方たちがしゃべりかけてくれるのに対して、姉はすごい英語で答えていて。一方、私は「なんとなくこんな感じかな」とわかっていつつも、にこにこしてるだけ。それがリアルな英語を話すという体験で、それは「悔しいな」とか「もっとしゃべりたいな」という気持ちが生まれた瞬間でもあると思います。 Emi 最初の、5才での映画や歌での出会いは、英語なのか何なのかよくわからない状態。2つめの小学校3年生になってからの出会いでは、もうはっきりと「これが英語なんだ」とわかっていた。 ご自身は日本にいて、そこへ英語を母語とするネイティブの人たちが入ってきた。依梨さんのまわりに現れた英語ネイティブの人たちは、大人ばかり? Eri 20代後半~30代前半の方ばっかりでした。イギリス、カナダ、ニュージーランド、アメリカなど、結構いろんな国からいらっしゃってました。 Emi いろんな国から来ている人たちがいる場で、「ずっと一緒に歌を楽しんでいたお姉さんが、英語を使っているじゃないか!」と。 Eri そうなんです。「英語は使うものなんだ」「人と人とがコミュニケーションするためのツールなんだな」と気づいた感じです。 Emi 依梨さんの英語学習は、その小学校3年生のときからすぐ始まった? Eri わりとその後すぐ、半年ぐらいのうちに始まりました。小学校4年生に上がった時にクラブ活動が始まって、週に1回、自分の好きな活動をすることになり、私は英会話クラブを選んだんです。 先生は、別に留学経験があるわけじゃないけれど英語がすごく好きな方で、メンバーは10人くらい。1時間ぐらいの間に、毎回新しいフレーズを使って寸劇をする。その時間がすごく楽しかったんですよね。フォーマルに英語学習したのはそれが初めてで、そこが自分の英語学習のセカンドステージだったと思います。 Emi 小学校3年生でちょっと悔しい思いをして、まもなくそんなクラブ活動が始まるとは、いいタイミングでしたね。 Eri …
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