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「榊原康政の忠誠心と家康への直言」

榊原康政（さかきばらやすまさ）は、戦国時代から江戸時代初期にかけての武将で、徳川家康に仕えた「徳川四天王」の一人として知られています。彼は武勇に優れただけでなく、非常に忠義心が強い人物でしたが、特に注目すべきは、家康に対して臆せず意見を述べる直言の姿勢です。

康政は、松平家時代から家康に仕えており、家康の幼少期からの側近として厚い信頼を受けていました。彼の名声を高めたのは、1572年の三方ヶ原の戦いです。この戦いで、徳川軍は武田信玄に大敗を喫しましたが、康政は後陣を守りつつ家康を無事に浜松城へと逃がすことに成功しました。家康はこの行動を高く評価し、康政は以降さらに重用されていきます。

しかし、康政の本当の忠義は単なる戦場での活躍だけではありませんでした。彼は、家康に対して間違った判断があれば、ためらわずにそれを指摘することができる武将でもありました。例えば、1590年の小田原征伐後に、家康が豊臣秀吉の命令で関東へ移封されることが決まった際、家康は少なからず不満を抱いていました。これに対し、康政は家康に対して「今は忍ぶべき時だ」と、冷静かつ現実的な判断を促し、移封を受け入れるよう説得したと伝えられています。

また、康政は一貫して「家臣たる者は主君に阿る（こびる）ことなく、正論を述べるべし」という姿勢を貫いており、家康もそれを理解していたため、康政の進言をしばしば受け入れていました。康政のこの姿勢は、徳川家中において非常に重要な役割を果たし、家康の天下統一へとつながる基盤作りに貢献しました。

榊原康政の忠誠心は、ただ従順に従うだけでなく、主君のために真実を述べるという、家臣としての理想的なあり方を示したと言えるでしょう。

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