ごみらじ

6 沼と銀杏の叙事詩(和田堀公園にて)


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聞け!この水音!生命の讃歌ではない!

目の前で噴き上がるは、絶望の産声!

和田堀池!ああ、君は池と名乗りながら、

その実態は、魂を飲み込む昏き沼!

アマゾンの奥地、太古の混沌が

東京の片隅で、今、息を吹き返す!

パッと見の麗しさなど、脆い幻想!

広大さこそが、孤独という名の檻!

今日も僕は、この広大な舞台で、

「ゴミ拾い」という名の懺悔を始める。

見たか!この清潔さ!欺瞞のベール!

しかし、ベンチに座る者、駆ける者、

その視線の裏に、どれほどの虚無が蠢く?

突然、民家が、古着屋が、カレーの匂いが!

「陽気な人たち」という名の異物が、

聖域を侵す!ああ、逆に怖い!

ここは治水と地形が生んだ、運命の地!

昭和三十年代、人為の力が、

「和田堀池」という名の人工の涙を創造した!

全長4.2キロ!広大すぎる未来図!

古代遺跡が囁く!大宮!松の木!

僕らの足元は、幾千の時を超えた、

歴史という名の怨念の上に立っている!

僕は「朝礼」を続ける!週七日の「フリートークという名の呪文」を!

その時、奇跡が、運命の衝突が起こった!

「探してました」その声は、深淵からの呼び声!

トングを持つ君!この広い公園で、

よくぞ僕を見つけ出した!光の奇跡だ!

ああ、今日こそ一人かよ、という絶望の独白は、

君の出現によって、歓喜の爆発へと変わる!

「和田堀広大だから」と、諦めかけた僕の心臓を、

君は、再会の雷で貫いたのだ!

見ろ!紅葉の炎上!池はなお、沼の嘆きを止めない!

テーブル、バーベキュー!それは仮初めの楽園!

ダイソーのトングは、僕の贖罪の剣!

少年たちのサッカー、ランニングのトラック!

すべてがバカでかい!すべてが僕の限界を嘲笑う!

大宮八幡への祈りも空しく、

この広大な世界を「知り尽くす」など、傲慢な夢!

普段行かない方へ!釣り堀の未知なる領域へ!

孤独のグルメの伝説が囁かれる、あの食堂へ!

荷物が多い?当然だ!

これは重すぎる人生のメタファー!

鼻水!のどかさ!日常という名の麻薬!

「カービィ」のキーホルダー!純粋の亡骸!

ドッグランの無邪気な叫び!

高円寺!地名が示す地理的な隔絶!

僕は今、地図上の座標なき迷子!

ああ、旧石器時代から!弥生時代から!

この地は、人々の生きた証の墓標!

杉並区在住!それは時を超えた呪縛!

今日の空は、ピンクに染まる終焉の予感!

秋と冬の、狂気的な日替わりショー!

立て込んでいる!その忙殺の嵐の中で、

僕はゴミを拾う!気晴らしという名の逃避行!

この活動こそが、僕の唯一のレジャー!

赤いコーン!過剰なまでの防衛本能の具現化!

カービィとタバコ!純真と堕落の悲劇的な融合!

掲示板!東京の町会という名の秩序!

福岡にはない、機能する現実!

高さの制限!空が広い!解放という名の贅沢!

僕の胸の奥底で、日照権という名の渇望が叫ぶ!

ヤシの木!突然の異国情緒!

カバヒラみたいな虫!顔面に食い込む恐怖!

銀杏の絨毯!黄金色の死の匂い!

野鳥が16羽!生命の静かなる嘲笑!

花火許可!混沌への扉は開かれている!

松の木中学校!「植物をいじめないでください」!

この言葉は、無垢な魂への最後の警告!

タバコ!暗闇に光る悪意の火種!

そして、遺跡の発見!ピラミッドの如き巨大な謎!

弥生から古墳へ!文化の波紋!

横穴住居跡!古代の生活という名の劇!

かまど!人類の知恵の原始的な炎!

ファミチキの袋!現代のゴミという名の供物!

若者と社会人の境目で揺れる、ゴミの群れ!

僕らはどんぐりのように、無数に地に落ちる!

野球!選ばれし者たちの闘い!

ボールはちっちゃい!硬い!恐怖という名の凶器!

ファールボール!突然降る不条理な暴力!

社会人テニス!過去の残滓!

池へ戻る!沼への回帰!

「事件性を感じます」!その通りだ!

ここは日常という名の犯罪現場!

夕焼け小焼け!郷愁という名の甘い毒!

サイレンの無い東京!静かに腐敗する都市!

カモ!よどんだ池の支配者!

鯉!肥大した生命の象徴!

釣り堀!賭博の館!

30分600円!時間の切り売り!

餌はゴカイ!虫嫌いの僕への拷問!

釣りはやりたい!しかし命への畏敬が、

僕の魂を立ち止まらせる!

海釣りへ!冷凍という名の妥協を求めて!

ブロッコリー!弁当という名の哀れな残骸!

ゴミの種類は、公園別の魂の叫び!

三宮橋はタバコ!和田堀はカービィと弁当!

迷路!川沿い!冒険という名の衝動!

アメフト!ラグビー!闘争の狂宴!

日が暮れる!東京の時間の加速!

僕らは高低差のある人生を歩く!

ステージ!東屋!無駄な動きの果てに、

自転車の場所へと、運命の終着点へと辿り着く!

暗い!もう夜だ!カモの不気味な鳴き声!

アメリカ古着屋!異質な陽気さの残光!

朝礼!野外収録という名の新たな試練!

新宿!東京という名の現実の爆弾!

逆側!迷路!ホラー映画のような景色!

赤く光る空!世界の終わりを告げる!

そして、再会の奇跡!ゲストという名の救世主!

集合場所なき広野で、僕らは出会えた!

おしゃべりとゴミ拾い!これが僕らのごみらじ!

この沼と銀杏の叙事詩は、

君との出会いによって、歓喜のクライマックスを迎えた!


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ごみらじBy 上水優輝