03.26.2019 - By アトサキ
霧の向こうに岸辺が見えた、沈みゆく舟を必死にこぐ、、ここがどこかは問題ではなかった。ただ、心も体力も舟すらも使い果たしてたどり着いたのだ。足をつくとぬかるみが生温かかった。それでも霧の中さきの大地へ踏み出そうと目を凝らす、ふと口元に笑みがこぼれた。もう頑張らなくていい、生きようとしなくていい。ここは目的地でもなく、踏み出すべき大地でもなかった。霧の中、泥の島に立つ男の影がゆれた。
後輩コバヤシ・先輩サカモト
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♪81『泥舟こぐこぐ』.mp3