田舎坊主の読み聞かせ法話

「ある家族 ー子どもも難病になったー」田舎坊主のぶつぶつ説法


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それから2年後、3度目の手紙には、家計を考え早く働きたいと大学進学を断念し、専門学校に行っていた親思いの長男が、難病のクローン病と診断されたと書かれていた。

クローン病は腸の粘膜に潰瘍ができ、栄養を吸収できない難病で、この病気も若い人に多く発症し、健康な人と同じような食事をとることができない。

なかには一生、エレンタールという栄養剤だけを直接または間接的に胃に流し込み、食べ物を口にできない人もいる。

テレビでは「グルメ」「大食い」などと食べ物番組が大流行の時代に、いくら好物でも自分の口から食事をとれないのだ。

余談だが、二種類の料理をつくり、どっちが食べたいかタレントに札を上げさせ数の多い方の料理を食べるという番組があるが、私はあまり好きではない。負けた方の料理を、例えば弱い立場の子どもたちを招待して食べさせてあげられないかと思ったりするのは私だけだろうか。

さて、今度の手紙もつらい内容だった。

「なぜ子どもまでがと、涙が止まりませんでした。これからエレンタールをカテーテルで注入とのこと、死ぬまでするとのことなど、先生から聞きました。でも、看護婦になった娘が頼りになるし私を安心させてくれます。一番下の子どもは中学三年になり、スポーツ部のリーダーとして全国大会に出場し、私もその時には連れて行ってくれました。悲しいことも、つらいこともいっぱいあります。けど、子どもたちが私に勇気をくれます。私もがんばらなければと思っています。そしてこれからも子どもたちともに一日一日を大事に過ごさなければと思います。」 

現在、長男は同じ病気の患者さんたちに、難病であっても一人で悩むことのないよう、孤独になることのないように呼びかけ患者会を組織し、多くの仲間に信頼されながら、リーダーとして活動している。

家族に難病患者が2人いても、卑屈になることもなく前向きで明るいこの家庭だからこそ、優しく、温かく、すばらしい人間がそこにいるような気がする。

合掌


4月からのシーズン2の読み聞かせ法話の本は

私の初版本で、2002年に出版した「田舎坊主のぶつぶつ説法」です。

後に「田舎坊主シリーズ」とつながる第1弾です。

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田舎坊主の読み聞かせ法話By 田舎坊主 森田良恒