あぁもう嫌になっちゃうな。こんな時ほど周りがキラキラして見えて、それなのに自分は…なんて誰も幸せにならない感情と再会しなければならないなんて。"幸せ"って漢字に、なんで「¥」なんていれたんだよ。本当にそう思えてきちゃって、また嫌になる。
これだけは言える。世界は美しい。日々生きる度その鐘は強く鳴り、誰かを愛し、そして愛される。まだ半分も生きていないはずのこのちっぽけな心の中でさえ、それを薄々感じるのに…だ。
店員さんが優しく微笑んでくれたこと以外に今日良かったことなんて何もなくて、逆に誇れてしまうくらいにはネガティブだ。「馬鹿言ってんじゃないよ」なんて、こんな時バシッと怒ってくれる近所のガミガミお婆ちゃんがいたらなぁ、それはそれでちょっと嫌かもなぁ、とか。
逆にどうだろう。世界はどん底に不幸なんだ。…んん。その割には明るいか。その割にはお腹減ってないか。その割には…。そうだ、こうしよう。何か一つ失くしてみる。恐いけど、不安だけど。
例えば「言葉」、何も言えない。感じるだけ。
例えば「熱」、ずっと寒くて震えてる。
例えば「欲」、明日、いや今日すら生きるのが退屈だろう。
全部あるから、全部良いんだよな。無くていいものなんて、きっと無いんだよな。この愛くるしい黒い感情も、きっと愛しい足枷なんだよな。
それは"必要悪"。
僕が幸せになるための、棘のあるエールだ。