
Sign up to save your podcasts
Or


一脚の丸いテーブルを通して、親と子の絆、成長、そして大切な思い出を紡ぐ物語です。
主人公は、8歳、18歳、そして28歳の3つの時間軸で描かれる一人の女性。
彼女の人生の節目には、いつも家族とともに選んだ丸いテーブルがありました。
幼い頃に抱いた夢、大学受験、そして新しい人生の門出——
そのすべての場面に、家族の愛とぬくもりが詰まっています。
【登場人物】
・娘(8歳/18歳/28歳)・・・飲料メーカーの商品企画部に所属するマーケター。今日が自身の結婚式。ホームワークは食卓兼ワーキングデスクの丸いテーブル。10年使っているテーブルだが、彼女には結婚しても捨てられない思い出のテーブルだった(CV:桑木栄美里)
・父(35歳/45歳/55歳)・・・45歳当時は物流会社の課長だったが10年後に部長に。目の中に入れても痛くない娘が大学に合格。東京へ出て1人暮らしをするときに家族3人で家具を選んだ。父・母・娘それぞれの思いが詰まった家具とは・・・(CV:日比野正裕)
【Story〜「丸いテーブル/新生活/前編」】
<シーン1/いま/結婚式場>
(SE〜結婚式場のBGM/雅楽)
娘: 厳かな神殿での結婚式。
私の28年を寿ぐような美しい祝詞が奏上されていく。
不思議だな。
人生の走馬灯って、ご臨終のときだけじゃなくて
こんなハレの日にも回るんだ。
と、不吉な言葉を口にする私。
大丈夫、これは言霊じゃないから。
私の頭の中に蘇るのは、走馬灯でなく、食卓のテーブル。
テーブルには、大切な思い出がいっぱい詰まっている
私は、姉と10歳以上も離れて生まれた末っ子。
遅くに生まれた子ということもあって、
父と母にこれ以上ないくらい愛されて育った。
たっぷりの愛情に抱かれて過ごした年月が
古い映写機で上映されるように蘇る。
(SE〜映写機の音)
(SE〜家庭内の雑踏)
私の人生で、転機は3回。
ひとつは、8歳のとき。
小学生のときに憧れのダンスの先生がいた。
そのかっこいい先生が卒業した大学にどうしても入りたくなった。
<シーン2/20年前/自宅の食卓>
家の中央に置いてある大きな食卓。
それは父と母のこだわりで大きくて丸いテーブルだった。
父: 「まあるいと、お部屋があったか〜くなるんだよ」
娘: 父はいつも私にそう言っていた。
そのテーブルに座って家族みんなが集まるある日の夕食。
私は、超難関の有名大学を受験する!と、両親に宣言した。
一番驚いたのは父。
座っていた食卓の椅子から身を乗り出して、私に言葉を返した。
普段は声が大きい父なのに、私の目を見てゆっくりと話す。
父: 「その大学って、東京だろ」
娘: 「うん」
父: 「日本一難しい女子大だろ」
娘: 「うん」
父: 「でも日本一素敵な大学だろ」
娘: 「うん!」
父: 「じゃあ、もう一度言ってごらん」
娘: 「え?どうして?」
父: 「言霊だよ」
娘: 「ことだま・・・?」
父: 「うん、良い言葉を口にすると、良いことが起こるんだよ」
娘: 「ホント!?」
父: 「そう。だから言ってごらん」
娘: 「わかった・・・んと・・・私、東京の女子大に合格する!」
父: 「よし!じゃあ、これから、パパとママと一緒にがんばろう」
娘: 「うん!ありがとう!」
父: 「パパは10年後が楽しみだな」
娘: 最初は驚いていた父も母も、諸手を挙げて大賛成。
私はその日から勉強とクラシックダンスに明け暮れるようになった。
<シーン2/10年前/自宅のダイニング>
娘: そして、10年後。
2回目の転機は、もちろん、志望大学の合格発表の日。
私が受験したのは、宣言した通り超難関の女子大一択。
10年前、父に言われた言霊を信じて、まっすぐにすすんできたから。
不合格、なんていう未来は私の中にはなかった。
合否の結果は、
インターネットの受験生専用サイトで決まった時間に発表・配信される。
私はいても立ってもいられず、学校を休んで朝からパソコンとにらめっこ。
丸いダイニングテーブルに座って、
まだ公開されていない合格発表サイトを何度も見返す。
こんなときでも、やっぱり丸いテーブルって落ち着くなあ。
今日に限って、父は
「用事があるから」
と、出かけてしまった。
私と母は、良い結果が出たら、そのまま家具屋さんにいくつもりだ。
頭の中で、部屋に合わせた家具を、必要最小限で考えてある。
あとは、吉報を待つだけだ。
いよいよ、合格発表の時間がやってきた。
ドキドキして心臓が止まりそうになる。
ストレスで喉がカラカラになった。
母と一緒に発表時間をカウントダウンする。
3、2、1、ログイン!
受験者専用の特設サイトには、画面いっぱいに番号が並ぶ。
13765、13984、13990・・・
焦らず、焦らず。
画面をゆっくりとスクロールする。
14001、14012、そして・・・14015!
私の受験番号、14015番が下からゆっくりと現れた!
「ママ!」
そう言ったきり、しばらく言葉が出てこない。
母も私も、無言で顔を見合わせ、瞳を潤ませる。
そのとき、私のスマホが鳴った。
びくっとして、スマホを落としてしまう。
母が笑いながら、パパよ、と笑う。
着信の表示は、見慣れた父の携帯番号だった。
娘: 「もしもし」
父: 「おめでとう!やったな!」
娘: 「うん!ありがとう、パパ」
父: 「いますぐ、お祝いしなきゃ」
娘: 「わかった。早く帰ってきて」
父: 「もう帰ってるよ」
娘: 「え?」
(SE〜ドアチャイム「ピンポン!」)
娘: ドアをあけると、
玄関の外に、大きな花束を抱えた父が立っていた。
■BGM〜「インテリアドリーム」
父: 「おめでとう!本当におめでとう!」
娘: そう言って花束を手渡す父。
私も母も、驚きと喜びで一瞬固る。
次の瞬間、でも、(すぐに)父の胸に飛び込んだ。(私と母)
そのあとしばらく、親子3人、声をあげて泣いていた。
どのくらい、3人で抱き合っていただろう。
やがて思い出したように、父が言葉を絞り出す。
父: 「合格祝い、ちゃんとあるよ」
娘: 「ええっ?もし不合格だったらどうしていたのよ」
父: 「それはありえないだろう。言霊がお前を守ってくれるんだから」
娘: 「パパ!」
父: 「さあ、プレゼントをあけてごらん」
娘: 「うん」
父: 「お前が欲しがっていたスマートウォッチだよ」
娘: 「スマートウォッチ!!え?なんで私がほしかったのしっているの?」
父: 「ん〜」
娘: 「ありがとう!」
父: 「それ神社でお清めしてもらったからな」
娘: 「パパ、朝から神社に行ってたの?
ああ、、それで・・・(居なかったんだ、というニュアンス)」
父: 「いや、ちょっとほかの用事もあったからな・・・
まあ、そんなことはどうでもいいんだよ。
そうだお前の好きなふかし芋も戸棚にあるからな」
娘: 「ホント!?そっちの方が嬉しいかも」
父: 「ん?じゃあ、スマートウォッチはいらな、、、」
娘: 「(前に被せて)いる!!」
父: 「はは・・・どっちもお前が引き寄せたんだよ」
娘: 「ううん。ぜんぶ、パパとママのおかげだね」
父: 「何を言ってる。お前が実力でつかんだ夢じゃないか」
娘: 「違うよ。だって、パパとママがいなかったら、私はこの世にいなんだもん」
父: 「え・・・」
娘: 「パパ、ママ。私を産んでくれて、私を育ててくれて、本当にありがとう!
これから、いっぱい恩返しするから!」
父: 「ああ・・・泣かせるんじゃないよ、、、」
娘: あんなに涙を流した父は、あの日以外見たことがない。
<シーン4/いま/結婚式場>
(SE〜結婚式場の雑踏)
私の結婚を誰よりも喜んで、誰よりも幸せなのは父と母。
泣き笑いの顔を見ているだけで、手にとるようにわかる。ふふ。
私は、10年前を思い出して、一層胸が熱くなった。
パパ、ママ。
いつまでも、その笑顔を絶やさずに。
いつまでも、私のそばにいてね。
By Ks(ケイ)、湯浅一敏、インテリアドリーム一脚の丸いテーブルを通して、親と子の絆、成長、そして大切な思い出を紡ぐ物語です。
主人公は、8歳、18歳、そして28歳の3つの時間軸で描かれる一人の女性。
彼女の人生の節目には、いつも家族とともに選んだ丸いテーブルがありました。
幼い頃に抱いた夢、大学受験、そして新しい人生の門出——
そのすべての場面に、家族の愛とぬくもりが詰まっています。
【登場人物】
・娘(8歳/18歳/28歳)・・・飲料メーカーの商品企画部に所属するマーケター。今日が自身の結婚式。ホームワークは食卓兼ワーキングデスクの丸いテーブル。10年使っているテーブルだが、彼女には結婚しても捨てられない思い出のテーブルだった(CV:桑木栄美里)
・父(35歳/45歳/55歳)・・・45歳当時は物流会社の課長だったが10年後に部長に。目の中に入れても痛くない娘が大学に合格。東京へ出て1人暮らしをするときに家族3人で家具を選んだ。父・母・娘それぞれの思いが詰まった家具とは・・・(CV:日比野正裕)
【Story〜「丸いテーブル/新生活/前編」】
<シーン1/いま/結婚式場>
(SE〜結婚式場のBGM/雅楽)
娘: 厳かな神殿での結婚式。
私の28年を寿ぐような美しい祝詞が奏上されていく。
不思議だな。
人生の走馬灯って、ご臨終のときだけじゃなくて
こんなハレの日にも回るんだ。
と、不吉な言葉を口にする私。
大丈夫、これは言霊じゃないから。
私の頭の中に蘇るのは、走馬灯でなく、食卓のテーブル。
テーブルには、大切な思い出がいっぱい詰まっている
私は、姉と10歳以上も離れて生まれた末っ子。
遅くに生まれた子ということもあって、
父と母にこれ以上ないくらい愛されて育った。
たっぷりの愛情に抱かれて過ごした年月が
古い映写機で上映されるように蘇る。
(SE〜映写機の音)
(SE〜家庭内の雑踏)
私の人生で、転機は3回。
ひとつは、8歳のとき。
小学生のときに憧れのダンスの先生がいた。
そのかっこいい先生が卒業した大学にどうしても入りたくなった。
<シーン2/20年前/自宅の食卓>
家の中央に置いてある大きな食卓。
それは父と母のこだわりで大きくて丸いテーブルだった。
父: 「まあるいと、お部屋があったか〜くなるんだよ」
娘: 父はいつも私にそう言っていた。
そのテーブルに座って家族みんなが集まるある日の夕食。
私は、超難関の有名大学を受験する!と、両親に宣言した。
一番驚いたのは父。
座っていた食卓の椅子から身を乗り出して、私に言葉を返した。
普段は声が大きい父なのに、私の目を見てゆっくりと話す。
父: 「その大学って、東京だろ」
娘: 「うん」
父: 「日本一難しい女子大だろ」
娘: 「うん」
父: 「でも日本一素敵な大学だろ」
娘: 「うん!」
父: 「じゃあ、もう一度言ってごらん」
娘: 「え?どうして?」
父: 「言霊だよ」
娘: 「ことだま・・・?」
父: 「うん、良い言葉を口にすると、良いことが起こるんだよ」
娘: 「ホント!?」
父: 「そう。だから言ってごらん」
娘: 「わかった・・・んと・・・私、東京の女子大に合格する!」
父: 「よし!じゃあ、これから、パパとママと一緒にがんばろう」
娘: 「うん!ありがとう!」
父: 「パパは10年後が楽しみだな」
娘: 最初は驚いていた父も母も、諸手を挙げて大賛成。
私はその日から勉強とクラシックダンスに明け暮れるようになった。
<シーン2/10年前/自宅のダイニング>
娘: そして、10年後。
2回目の転機は、もちろん、志望大学の合格発表の日。
私が受験したのは、宣言した通り超難関の女子大一択。
10年前、父に言われた言霊を信じて、まっすぐにすすんできたから。
不合格、なんていう未来は私の中にはなかった。
合否の結果は、
インターネットの受験生専用サイトで決まった時間に発表・配信される。
私はいても立ってもいられず、学校を休んで朝からパソコンとにらめっこ。
丸いダイニングテーブルに座って、
まだ公開されていない合格発表サイトを何度も見返す。
こんなときでも、やっぱり丸いテーブルって落ち着くなあ。
今日に限って、父は
「用事があるから」
と、出かけてしまった。
私と母は、良い結果が出たら、そのまま家具屋さんにいくつもりだ。
頭の中で、部屋に合わせた家具を、必要最小限で考えてある。
あとは、吉報を待つだけだ。
いよいよ、合格発表の時間がやってきた。
ドキドキして心臓が止まりそうになる。
ストレスで喉がカラカラになった。
母と一緒に発表時間をカウントダウンする。
3、2、1、ログイン!
受験者専用の特設サイトには、画面いっぱいに番号が並ぶ。
13765、13984、13990・・・
焦らず、焦らず。
画面をゆっくりとスクロールする。
14001、14012、そして・・・14015!
私の受験番号、14015番が下からゆっくりと現れた!
「ママ!」
そう言ったきり、しばらく言葉が出てこない。
母も私も、無言で顔を見合わせ、瞳を潤ませる。
そのとき、私のスマホが鳴った。
びくっとして、スマホを落としてしまう。
母が笑いながら、パパよ、と笑う。
着信の表示は、見慣れた父の携帯番号だった。
娘: 「もしもし」
父: 「おめでとう!やったな!」
娘: 「うん!ありがとう、パパ」
父: 「いますぐ、お祝いしなきゃ」
娘: 「わかった。早く帰ってきて」
父: 「もう帰ってるよ」
娘: 「え?」
(SE〜ドアチャイム「ピンポン!」)
娘: ドアをあけると、
玄関の外に、大きな花束を抱えた父が立っていた。
■BGM〜「インテリアドリーム」
父: 「おめでとう!本当におめでとう!」
娘: そう言って花束を手渡す父。
私も母も、驚きと喜びで一瞬固る。
次の瞬間、でも、(すぐに)父の胸に飛び込んだ。(私と母)
そのあとしばらく、親子3人、声をあげて泣いていた。
どのくらい、3人で抱き合っていただろう。
やがて思い出したように、父が言葉を絞り出す。
父: 「合格祝い、ちゃんとあるよ」
娘: 「ええっ?もし不合格だったらどうしていたのよ」
父: 「それはありえないだろう。言霊がお前を守ってくれるんだから」
娘: 「パパ!」
父: 「さあ、プレゼントをあけてごらん」
娘: 「うん」
父: 「お前が欲しがっていたスマートウォッチだよ」
娘: 「スマートウォッチ!!え?なんで私がほしかったのしっているの?」
父: 「ん〜」
娘: 「ありがとう!」
父: 「それ神社でお清めしてもらったからな」
娘: 「パパ、朝から神社に行ってたの?
ああ、、それで・・・(居なかったんだ、というニュアンス)」
父: 「いや、ちょっとほかの用事もあったからな・・・
まあ、そんなことはどうでもいいんだよ。
そうだお前の好きなふかし芋も戸棚にあるからな」
娘: 「ホント!?そっちの方が嬉しいかも」
父: 「ん?じゃあ、スマートウォッチはいらな、、、」
娘: 「(前に被せて)いる!!」
父: 「はは・・・どっちもお前が引き寄せたんだよ」
娘: 「ううん。ぜんぶ、パパとママのおかげだね」
父: 「何を言ってる。お前が実力でつかんだ夢じゃないか」
娘: 「違うよ。だって、パパとママがいなかったら、私はこの世にいなんだもん」
父: 「え・・・」
娘: 「パパ、ママ。私を産んでくれて、私を育ててくれて、本当にありがとう!
これから、いっぱい恩返しするから!」
父: 「ああ・・・泣かせるんじゃないよ、、、」
娘: あんなに涙を流した父は、あの日以外見たことがない。
<シーン4/いま/結婚式場>
(SE〜結婚式場の雑踏)
私の結婚を誰よりも喜んで、誰よりも幸せなのは父と母。
泣き笑いの顔を見ているだけで、手にとるようにわかる。ふふ。
私は、10年前を思い出して、一層胸が熱くなった。
パパ、ママ。
いつまでも、その笑顔を絶やさずに。
いつまでも、私のそばにいてね。