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平日の昼間、思い立って新国立劇場へ
この番組は、2022年8月から1年間の育休を取得中のドンクサオが育休中に起こる様々なことをお話しする番組です。男性育休を検討されている人にとって役立つ情報を発信したり。日々育児に奮闘しているパパ・ママが、こんなヤツもいるんだなと笑えるお話をしていければと思っております。
Twitter @DongQsao
【ご意見・お問合せ】
【育休中の本業】
ビジネスコントpodcast:ニューエコノミックアニマルズ
こんにちは、ドンクサオです。昨日、ふと思い立って。新国立劇場に行って、レオポルトシュタットというお芝居を見てきました。今日はそのお話しです。
レオポルトシュタットというのは、イギリスの大御所劇作家、トム・ストッパードの最新作です。2020年にロンドンで初演。今月、ブロードウェイと東京で同時に公演が行われています。
トム・ストッパードの知名度は、日本ではあまり高くないかもしれません。
私がその名前を知ったのは「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」という作品です。
ローゼンクランツとギルデンスターンというのは、ハムレットに出てくる端役の名前です。ハムレットのお供として、一緒にイングランドに行くんだけど、その道中で殺されてしまう。しかも、殺されるシーンも別に描かれずに「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」という一言で終わらされてしまう。そんな、端役中の端役の二人を主人公にしてハムレットの世界を逆転させる芝居が「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」です。
この発想、めちゃくちゃ面白いなぁ、と思いまして。確か、高校の英語の先生が教えてくれたんだと思うので。もう約20年以上前から、トム・ストッパードのことは気になっていたのですが。1回も見たことはなかった。そもそも、上演される機会がほとんどないですしからね。
調べてみると、2009年にコーストオブユートピアというトム・ストッパード作品を蜷川幸雄演出で上演しています。阿部寛、勝村政信、石丸幹二、別所哲也、長谷川博己・・・、上演時間全9時間・・・!すごい企画ですね。やっぱ蜷川さんが元気なうちは、日本のカルチャーに。カルチャーを支えるマダムたちにパワーがありましたね。
2009年といえば、私、社会人1年目でして。チラシで見た記憶はありましたが、この公演に行く気力は湧かなかったですねぇ。今考えれば、あの時、無理やりチケット取って観ていたら、人生のベクトルがちょっと変わってたのかもしれません。
その後、10数年。社会にどっぷり浸かり。演劇とも離れて。トム・ストッパードの名前は、記憶の第5階層くらいまで沈んでいたのですが。育休に入って、お酒もやめて。脳が高校生の頃に戻ってきてるんでしょうかね。
ランニングを終えて、家に帰る途中に、
「トム・ストッパードの新作が新国立でやってる」
というニュースを見て。あ、行こう。と思って。すぐにチケットを取って初台の新国立に向かいました。
レオポルトシュタットという作品について簡単に説明しますと。
舞台は、オーストリアの首都ウィーンの成功したユダヤ人の家。
そこに集う4世代の家族を通じて、19世紀末〜20世紀中盤の激動の時代を描く、という作品です。
演劇というのは、なんて語り出すと烏滸がましいですが。
舞台をどこに設定するか?というのがものすごく大事なんですね。
どれだけ強い物語を立ち上がる場であるか。
その点、ウィーンの。しかも、ユダヤ人街ではない、メインストリートに豪邸を構えているユダヤ人の家、という場の設定。さすが、トム。
トム・ストッパード自身もユダヤ人なんですが。幼い頃からヨーロッパを離れて、アジアを転々としていたので。ユダヤのアイデンティティにあまり自覚的ではなかった。
それが、50代になってから、自身の親戚のほとんどがホロコーストで亡くなっていることを知る。
その時、トム・ストッパードが感じたであろう、「歴史」とか「宿命」が自分の前に急に立ち上がってくる感覚。悲しいとか、悔しいとか、怖い、とか。あとは、脈々とつながら先祖との繋がりを実感して嬉しい、とか。いろんな感情はあると思いますけど。多分1番は、「ハッ」としたんじゃないかなぁって思うんですよね。自分が信じてきた世界とは全く違う世界が、強烈に存在していたんだ、という。
その「ハッ」とする感覚を追体験できる舞台でした。
笑える、とか、泣ける、とかそういうシンプルなことじゃないんですけど。すごいもの観たなぁと思いましたね。
それにしても、80過ぎてこれを書き上げるっていうのもすごいですよね。これが最後になるかも、なんて言ってるみたいですけど。まだまだ、書き続けて欲しいなと思いました。
新国立の中劇場ってめちゃくちゃ天井も高いし。奥行きも広いので。
すんごい解放感があって素敵なハコなんですけど。ちゃんとやらないと、ガラーンとしちゃうんですよね。キャストも三十人くらい出てるしね。
お金、掛かってると思うんですよね。お客さん、平日昼間の割には結構入ってましたけど。
まぁ・・・控えめに言って、お金儲けになる舞台ではない。
まぁ、だからこそ、こういう公演を打つのが、国立劇場の役割なんだなぁと思いました。
「トム・ストッパードの新作をブロードウェイと同時に日本語でやる!」っていうのは、
国としての見栄だと思うんですよね。
国力が下がっていく中では、色々な声もあると思いますが。
個人的には、それくらいの見栄は張れる国であって欲しいと思うし。
それに応えて、ちゃんと劇場に足を運ぶ人でありたいな。なんてことを思いました。
10月31日までやってますので。
ご興味ある方は、ぜひ新国立劇場に足を運んでみてはいかがでしょうか。
それでは、また聞いてください。ドンクサオでした!
By ドンクサオ平日の昼間、思い立って新国立劇場へ
この番組は、2022年8月から1年間の育休を取得中のドンクサオが育休中に起こる様々なことをお話しする番組です。男性育休を検討されている人にとって役立つ情報を発信したり。日々育児に奮闘しているパパ・ママが、こんなヤツもいるんだなと笑えるお話をしていければと思っております。
Twitter @DongQsao
【ご意見・お問合せ】
【育休中の本業】
ビジネスコントpodcast:ニューエコノミックアニマルズ
こんにちは、ドンクサオです。昨日、ふと思い立って。新国立劇場に行って、レオポルトシュタットというお芝居を見てきました。今日はそのお話しです。
レオポルトシュタットというのは、イギリスの大御所劇作家、トム・ストッパードの最新作です。2020年にロンドンで初演。今月、ブロードウェイと東京で同時に公演が行われています。
トム・ストッパードの知名度は、日本ではあまり高くないかもしれません。
私がその名前を知ったのは「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」という作品です。
ローゼンクランツとギルデンスターンというのは、ハムレットに出てくる端役の名前です。ハムレットのお供として、一緒にイングランドに行くんだけど、その道中で殺されてしまう。しかも、殺されるシーンも別に描かれずに「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」という一言で終わらされてしまう。そんな、端役中の端役の二人を主人公にしてハムレットの世界を逆転させる芝居が「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」です。
この発想、めちゃくちゃ面白いなぁ、と思いまして。確か、高校の英語の先生が教えてくれたんだと思うので。もう約20年以上前から、トム・ストッパードのことは気になっていたのですが。1回も見たことはなかった。そもそも、上演される機会がほとんどないですしからね。
調べてみると、2009年にコーストオブユートピアというトム・ストッパード作品を蜷川幸雄演出で上演しています。阿部寛、勝村政信、石丸幹二、別所哲也、長谷川博己・・・、上演時間全9時間・・・!すごい企画ですね。やっぱ蜷川さんが元気なうちは、日本のカルチャーに。カルチャーを支えるマダムたちにパワーがありましたね。
2009年といえば、私、社会人1年目でして。チラシで見た記憶はありましたが、この公演に行く気力は湧かなかったですねぇ。今考えれば、あの時、無理やりチケット取って観ていたら、人生のベクトルがちょっと変わってたのかもしれません。
その後、10数年。社会にどっぷり浸かり。演劇とも離れて。トム・ストッパードの名前は、記憶の第5階層くらいまで沈んでいたのですが。育休に入って、お酒もやめて。脳が高校生の頃に戻ってきてるんでしょうかね。
ランニングを終えて、家に帰る途中に、
「トム・ストッパードの新作が新国立でやってる」
というニュースを見て。あ、行こう。と思って。すぐにチケットを取って初台の新国立に向かいました。
レオポルトシュタットという作品について簡単に説明しますと。
舞台は、オーストリアの首都ウィーンの成功したユダヤ人の家。
そこに集う4世代の家族を通じて、19世紀末〜20世紀中盤の激動の時代を描く、という作品です。
演劇というのは、なんて語り出すと烏滸がましいですが。
舞台をどこに設定するか?というのがものすごく大事なんですね。
どれだけ強い物語を立ち上がる場であるか。
その点、ウィーンの。しかも、ユダヤ人街ではない、メインストリートに豪邸を構えているユダヤ人の家、という場の設定。さすが、トム。
トム・ストッパード自身もユダヤ人なんですが。幼い頃からヨーロッパを離れて、アジアを転々としていたので。ユダヤのアイデンティティにあまり自覚的ではなかった。
それが、50代になってから、自身の親戚のほとんどがホロコーストで亡くなっていることを知る。
その時、トム・ストッパードが感じたであろう、「歴史」とか「宿命」が自分の前に急に立ち上がってくる感覚。悲しいとか、悔しいとか、怖い、とか。あとは、脈々とつながら先祖との繋がりを実感して嬉しい、とか。いろんな感情はあると思いますけど。多分1番は、「ハッ」としたんじゃないかなぁって思うんですよね。自分が信じてきた世界とは全く違う世界が、強烈に存在していたんだ、という。
その「ハッ」とする感覚を追体験できる舞台でした。
笑える、とか、泣ける、とかそういうシンプルなことじゃないんですけど。すごいもの観たなぁと思いましたね。
それにしても、80過ぎてこれを書き上げるっていうのもすごいですよね。これが最後になるかも、なんて言ってるみたいですけど。まだまだ、書き続けて欲しいなと思いました。
新国立の中劇場ってめちゃくちゃ天井も高いし。奥行きも広いので。
すんごい解放感があって素敵なハコなんですけど。ちゃんとやらないと、ガラーンとしちゃうんですよね。キャストも三十人くらい出てるしね。
お金、掛かってると思うんですよね。お客さん、平日昼間の割には結構入ってましたけど。
まぁ・・・控えめに言って、お金儲けになる舞台ではない。
まぁ、だからこそ、こういう公演を打つのが、国立劇場の役割なんだなぁと思いました。
「トム・ストッパードの新作をブロードウェイと同時に日本語でやる!」っていうのは、
国としての見栄だと思うんですよね。
国力が下がっていく中では、色々な声もあると思いますが。
個人的には、それくらいの見栄は張れる国であって欲しいと思うし。
それに応えて、ちゃんと劇場に足を運ぶ人でありたいな。なんてことを思いました。
10月31日までやってますので。
ご興味ある方は、ぜひ新国立劇場に足を運んでみてはいかがでしょうか。
それでは、また聞いてください。ドンクサオでした!