さる平田(平田猿人)(@saruhirataenjin)さんと、小説『さよなら1995』について話します。
安吾は一九九五年にかけがえのないものを失った。年上の少女だ。少女の名前は林摩子といった。大きな震災によって彼女がいなくなってからもう二十年になる。〔中略〕
東京で築いた全てを投げ打って、こうしてまた神戸の町に向かっている。あの町で死のう。それしかないと安吾は思った。昔から決心がついてからの行動だけは早い。マイナス方面に活かされてきたのが玉に瑕なのだが。全然向いてなかった(であろう)デザイナーの仕事もあっさり辞めてきた。毎日パソコンの画面に向かって呪詛のように「わかりました、すぐ直します」とつぶやくのはもう嫌だった。いいタイミングだった、潮時だったんだ。安吾は自分にそう言い聞かせた。
平田猿人著『さよなら1995』さる出版、2016年
上述の導入からはじまる『さよなら1995』。2016年5月1日に東京流通センターで行われる第二十二回文学フリマ東京にて、サークルさる出版から頒布予定の小説です。
「阪神淡路大震災」「地下鉄サリン事件」「新世紀エヴァンゲリオンTVシリーズ放映」といった事件のあった1995年という時代をキーとした本作。podcast内でも話していますが、もともと1995年に起こった上述の事件等の持つ意味を、文化的側面から掘り下げる平田猿人さんの個人サイト1995.jpから端を発した本であり、その一つの集大成がこの『さよなら1995』のようです。
サンプルとして約7000字程度公開されています。それを読まれた上で聴いていただければより一層楽しめるのでは、と思います。
興味のある方は是非、文学フリマ東京にも足を運んでみてはいかがでしょうか。
追記
明日さんによるインタビューという形で、今回のpodcastの文字起こしも公開されているようです。そちらも合わせてどうぞ。
明日さんによる『さよなら1995』インタビュー
(https://note.mu/diyhirata/n/n448748bec626)
参考
さよなら1995(サンプル)-note-
(https://note.mu/diyhirata/n/na2b5d187e491)
1995.jp
(http://1995.jp/)
第二十二回文学フリマ東京
(http://bunfree.net/?tokyo_bun22)
サークルさる出版
(http://sarushuppan.jp/)
収録日:2016:04:29
パーソナリティ:明日さん
(https://twitter.com/ashitasan)
ゲスト::さる(平田猿人)
(https://twitter.com/saruhirataenjin)
音楽素材利用
フリーBGM・音楽素材MusMus様
(http://musmus.main.jp/)