この番組は、数字がちょっと苦手な中小企業経営者の方が、数字に強くなって業績をばりばりあげてもらうための応援番組です。
今回も、東京国税局の元国税専門官で、現在は、フリーライターの、小林義崇さんをゲストにお招きし、中小企業の上手な節税の方法についてお伺いしていきます。
今回は、相続税を少なくするための遺言の活用法についてお伺いします。
小林さんによれば、遺言を残す意味は、遺産分割を円滑に進める効果と、相続税対策のふたつがあるそうです。
まず、遺産分割を円滑にするという面では、自社株を、事業の後継者にまとめて相続させることができるようになるということです。
もし、遺言書がない場合、自社株が、複数の相続人に相続され、事業運営が不安定になる可能性が出るということです。
相続税対策の面としては、配偶者控除や、小規模宅地の特例などは、遺産分割がまとまった場合に使えるものなので、遺言書がないために、遺産分割がまとまらなくなると、これらの特例が使えず、相続税額が多くなってしまうそうです。
このようなことを防ぐためにも、遺言書を残すことをお薦めするということです。
では、遺言書はどのように残せばよいかということについては、まず、自筆証書遺言というものがあります。
これは、自分で遺言書を作成する方法で、比較的、簡便な方法ではあるものの、法律上の遺言書の要件を満たさないものになってしまう可能性が高くなったり、紛失や親族による改ざんのリスクがあるということです。
これに対して、公証人役場で作成する公正証書遺言の場合は、自筆証書遺言と比較して、手間がかかるものの、確実に法律上の遺言の要件を満たすものが作成でき、紛失や改ざんのリスクもないことから、公正証書遺言の作成をお薦めするそうです。
また、自筆証書遺言書保管制度を活用する方法もあるそうです。
これは、自筆証書遺言書を法務局が預かってくれる制度で、これを利用することで、紛失したり、改ざんされたりする懸念がなくなるそうです。
ただし、相続発生まで、相続人は、遺言書の内容を見ることはできないので、この制度を利用する時点で、被相続人から相続予定者に対し、遺言書の内容を知らせておき、適切な相続対策をとっておくことが望ましいということです。