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10年間冷凍保管していた海苔も解凍した日が製造年月日になることを知っている消費者はどれだけいるだろうか。みなさんが普段スーパーで買って食べている海苔の多くはこれだ。知っているようで知らない海苔の世界。そこで今、何が起きているのか。海苔のこと、漁師のこと、海のことを伝える『海苔食べる通信』創刊について、歩きながら1時間、独演する。
我が家には毎年、年末になると有明海の海苔漁師さんから、その年の一番摘みの海苔が、直筆の手紙と共に送られてくる。そこには、その年の海の様子、海苔の状態などが綴られている。年々、海苔漁師が置かれている環境が厳しさを増していることが伝わってくる内容だ。7歳になる息子は、2歳のころから毎年この海苔を食べて育ったので、スーパーで売っている海苔は美味しくないと箸がすすまなくなる。
おにぎりを筆頭に、日本の食文化に欠かせない海苔について、私たちはそもそもどれだけ知っているだろう。海苔がどんどん採れなくなっていることをどれだけの日本人が知っているだろうか。
海苔の生産枚数はピーク時の2001年から徐々に減少傾向にあり、2019年には46年ぶりの大凶作で市場が高騰し、業界に激震が走った。その後、コロナ禍に突入。昨年の緊急事態宣言後は、コンビニの来店客が激減し、オニギリが売れず、海苔の納入量も大幅減に転じ、相場の下げ圧力が大きくのしかかったが、いずれにせよ、海苔の生産量の減少傾向は今後も続いていくという見方が一般的だ。
なぜ、海苔は採れなくなっているのだろうか。原因は、暖冬による高水温、山の荒廃、問屋の在庫不足などが指摘されている。戦争で大量の木材が軍需物資として消えた日本は戦後、国策として成長の早いスギの造林が全国各地で進められた。40〜50年で伐採適齢期を迎えたときには、輸入木材の普及でスギの価格が大幅に下落し、採算が悪化したために放置されてきた。結果、山は荒れ果て、海に運ばれる養分が減り、海苔の生産量が減少していると指摘されている。海苔漁師は7000人から3000人に減ったが、収入が減って食えなくなったのではなく、そもそも海苔をつくれなくなったのだ。
2019年の大凶作に伴う海苔相場の高騰。海苔の生産量が20年間減少傾向にあったところにトドメを刺したのが、問屋のストック不足だった。安く仕入れて安定供給するために、問屋は海苔を冷凍備蓄してきた。市場の需給バランスに応じて、海苔を解凍し、販売してきたのだ。10年間冷凍保管していた海苔も解凍した日が製造年月日になることを知っている消費者はどれだけいるだろうか。その海苔のストックが長年の生産量減少でついに切れてしまったことが大凶作と言われている事態の背景にあると見られる。今後も海苔不足は続き、そこを補うのは、化学品まみれの韓国産と中国産になる(海苔のように加工度が高いと原産地表示が不要)。事実、輸入は年々増えている。
宮城県東松島の海苔漁師、相澤太さんは言う。
「そもそも生き物である海苔は工業製品ではない。自然には何一つ同じものはない。去年と違って当たり前だし、その時々で微妙に変わるからこそ二度と味わえない唯一無二の味となる。消費者と顔が見える関係性があるとその価値を理解してもらえるが、消費者との関係性がない市場は去年と違うとクレームが来るので違うものを嫌う。つまり、消費者が求めるものが変われば、問屋も変わり、つくるものも変わる。だから自分は毎年オフシーズンに100万円分自腹を切って上京し、何度も海苔の現状、海の現状を消費者に知ってもらうワークショップをしている」。
消費者が海苔の世界を知る。求める海苔が変わる。問屋(流通)が買いつけるものが変わる。漁師がつくるものが変わる。昨今流行りの持続可能な社会とは、生産と消費の分断を乗り越えるところから始まるしかないのではないだろうか。そう思い、始めたのが「東北食べる通信」であり、「ポケットマルシェ」であった。この度、海苔について一人でも多くの人に知ってもらいたく、「海苔食べる通信」を創刊する。
身近だけどよく知らない海苔について、育てている漁師や育てられている海のことをもっと知り、愛着をもって食べてほしいと創刊した海苔がついてくる情報誌、「海苔食べる通信」。 2か月に一度、全国から選りすぐった最高の海苔を、その海苔を作った人の想いと一緒にお届けする。創刊号は、日本の海苔業界で最も過酷な環境で生産を続ける岡山の海苔漁師の物語を、岩のり種のバラ海苔と共にお届けします。
創刊号購読締切は明日8日の正午12時。今なら、購読料金(税込/送料込)2,400円/号なのに、なんと2,400円分のポケマルクーポンが付いてくるという特典つき。日本の海苔と海を守り育てたい方は是非ともご購読をお願いします!
海苔食べる通信
https://nori.taberu.me/
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ポケットマルシェ代表の高橋博之が、社会を“生きる“ゲストと対談する「高橋博之の歩くラジオ」。ゲストのみなさんは、農家・漁師、起業家、研究者、行政官、メディア、NPO、学生……と様々な立場から、自分たちの生活する場、自分たちの生きる社会をよりよくしていこうと、熱い想いや強い志をもって働きかけている方々です。
「高橋博之の歩くラジオ」では、あらゆる角度から社会についての議論が交わされ、心に響く言葉が生まれています。自分の“生きる“日々を振り返って、ちょっと立ち止まって考えたり、背中を押してもらったり。このラジオが、そんなきっかけになることを願っています。
※こちらのエピソードは、過去にポケットマルシェ公式Youtube/Facebookにてライブ配信されたものです。
「高橋博之の歩くラジオ」の最新収録エピソードは、Voicyにて絶賛配信中!
https://voicy.jp/channel/3070
10年間冷凍保管していた海苔も解凍した日が製造年月日になることを知っている消費者はどれだけいるだろうか。みなさんが普段スーパーで買って食べている海苔の多くはこれだ。知っているようで知らない海苔の世界。そこで今、何が起きているのか。海苔のこと、漁師のこと、海のことを伝える『海苔食べる通信』創刊について、歩きながら1時間、独演する。
我が家には毎年、年末になると有明海の海苔漁師さんから、その年の一番摘みの海苔が、直筆の手紙と共に送られてくる。そこには、その年の海の様子、海苔の状態などが綴られている。年々、海苔漁師が置かれている環境が厳しさを増していることが伝わってくる内容だ。7歳になる息子は、2歳のころから毎年この海苔を食べて育ったので、スーパーで売っている海苔は美味しくないと箸がすすまなくなる。
おにぎりを筆頭に、日本の食文化に欠かせない海苔について、私たちはそもそもどれだけ知っているだろう。海苔がどんどん採れなくなっていることをどれだけの日本人が知っているだろうか。
海苔の生産枚数はピーク時の2001年から徐々に減少傾向にあり、2019年には46年ぶりの大凶作で市場が高騰し、業界に激震が走った。その後、コロナ禍に突入。昨年の緊急事態宣言後は、コンビニの来店客が激減し、オニギリが売れず、海苔の納入量も大幅減に転じ、相場の下げ圧力が大きくのしかかったが、いずれにせよ、海苔の生産量の減少傾向は今後も続いていくという見方が一般的だ。
なぜ、海苔は採れなくなっているのだろうか。原因は、暖冬による高水温、山の荒廃、問屋の在庫不足などが指摘されている。戦争で大量の木材が軍需物資として消えた日本は戦後、国策として成長の早いスギの造林が全国各地で進められた。40〜50年で伐採適齢期を迎えたときには、輸入木材の普及でスギの価格が大幅に下落し、採算が悪化したために放置されてきた。結果、山は荒れ果て、海に運ばれる養分が減り、海苔の生産量が減少していると指摘されている。海苔漁師は7000人から3000人に減ったが、収入が減って食えなくなったのではなく、そもそも海苔をつくれなくなったのだ。
2019年の大凶作に伴う海苔相場の高騰。海苔の生産量が20年間減少傾向にあったところにトドメを刺したのが、問屋のストック不足だった。安く仕入れて安定供給するために、問屋は海苔を冷凍備蓄してきた。市場の需給バランスに応じて、海苔を解凍し、販売してきたのだ。10年間冷凍保管していた海苔も解凍した日が製造年月日になることを知っている消費者はどれだけいるだろうか。その海苔のストックが長年の生産量減少でついに切れてしまったことが大凶作と言われている事態の背景にあると見られる。今後も海苔不足は続き、そこを補うのは、化学品まみれの韓国産と中国産になる(海苔のように加工度が高いと原産地表示が不要)。事実、輸入は年々増えている。
宮城県東松島の海苔漁師、相澤太さんは言う。
「そもそも生き物である海苔は工業製品ではない。自然には何一つ同じものはない。去年と違って当たり前だし、その時々で微妙に変わるからこそ二度と味わえない唯一無二の味となる。消費者と顔が見える関係性があるとその価値を理解してもらえるが、消費者との関係性がない市場は去年と違うとクレームが来るので違うものを嫌う。つまり、消費者が求めるものが変われば、問屋も変わり、つくるものも変わる。だから自分は毎年オフシーズンに100万円分自腹を切って上京し、何度も海苔の現状、海の現状を消費者に知ってもらうワークショップをしている」。
消費者が海苔の世界を知る。求める海苔が変わる。問屋(流通)が買いつけるものが変わる。漁師がつくるものが変わる。昨今流行りの持続可能な社会とは、生産と消費の分断を乗り越えるところから始まるしかないのではないだろうか。そう思い、始めたのが「東北食べる通信」であり、「ポケットマルシェ」であった。この度、海苔について一人でも多くの人に知ってもらいたく、「海苔食べる通信」を創刊する。
身近だけどよく知らない海苔について、育てている漁師や育てられている海のことをもっと知り、愛着をもって食べてほしいと創刊した海苔がついてくる情報誌、「海苔食べる通信」。 2か月に一度、全国から選りすぐった最高の海苔を、その海苔を作った人の想いと一緒にお届けする。創刊号は、日本の海苔業界で最も過酷な環境で生産を続ける岡山の海苔漁師の物語を、岩のり種のバラ海苔と共にお届けします。
創刊号購読締切は明日8日の正午12時。今なら、購読料金(税込/送料込)2,400円/号なのに、なんと2,400円分のポケマルクーポンが付いてくるという特典つき。日本の海苔と海を守り育てたい方は是非ともご購読をお願いします!
海苔食べる通信
https://nori.taberu.me/
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ポケットマルシェ代表の高橋博之が、社会を“生きる“ゲストと対談する「高橋博之の歩くラジオ」。ゲストのみなさんは、農家・漁師、起業家、研究者、行政官、メディア、NPO、学生……と様々な立場から、自分たちの生活する場、自分たちの生きる社会をよりよくしていこうと、熱い想いや強い志をもって働きかけている方々です。
「高橋博之の歩くラジオ」では、あらゆる角度から社会についての議論が交わされ、心に響く言葉が生まれています。自分の“生きる“日々を振り返って、ちょっと立ち止まって考えたり、背中を押してもらったり。このラジオが、そんなきっかけになることを願っています。
※こちらのエピソードは、過去にポケットマルシェ公式Youtube/Facebookにてライブ配信されたものです。
「高橋博之の歩くラジオ」の最新収録エピソードは、Voicyにて絶賛配信中!
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