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Googleが提唱する「Agent2Agent (A2A) プロトコル」で何ができる?今後どうなる?


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より踏み込んだ詳細は、こちらのニュースレターで解説しています。

https://lawrencesnewsletter.com/p/agent2agent

ビデオポッドキャストの要点とトランスクリプトを以下に掲載します 🫡

Takeaway

* Googleが提唱する「Agent2Agent (A2A) プロトコル」は、異なるベンダーやシステムで構築された自律型AIエージェント同士が、お互いの能力を認識し、連携して複雑なタスクを実行できるようにするためのオープン標準プロトコルです。

* 従来のAIエージェントは単一タスクや特定のシステム内での処理に特化していましたが、A2Aによりエージェントは記憶、ツール、コンテキストを共有することなく、動的な多エージェントエコシステムの中で協調作業が可能になります。

* A2Aは、エージェントがツールやリソースと連携するための「MCP (Model Content Protocol)」を補完するもので、エージェント間の通信、タスク・状態管理、ユーザー体験の交渉、能力発見といった主要機能を提供します。

* 既にAccenture, Atlassian, Salesforce, Deloitte, Oracleなど50社以上の主要なテクノロジー&プラットフォーム企業、コンサルティング企業がパートナーとしてA2Aプロトコルへの支持を表明しており、業界標準となる可能性が高いです。

* 現実世界の利用例(候補者ソーシングデモ)では、Google Agentspace上のエージェントが、求人情報PDFを読み込み、A2Aプロトコルを介して他の専門エージェント(Sourcing Agent, Background Agent)と連携し、候補者の選定、面接設定、バックグラウンドチェックといった一連の採用プロセスを自動化する様子が示されています。

* A2Aプロトコル自体はオープンソースでGoogleの直接的な収益源とはなりませんが、各エージェントが提供する専門機能や連携サービスに対して、成果報酬型などの新たなビジネスモデルが生まれる可能性を秘めています。エージェントの開発者は、特定のドメインに特化した強力なエージェントを作り、その利用に対して課金することができます。

Transcript

00:25 本日はGoogleが発表した「Agent2Agent (A2A) プロトコル」について解説します。これはAIエージェント間の相互運用性を実現するオープン標準です。

00:53 A2Aプロトコルは、AIエージェントが様々なシステムやアプリケーションと通信・連携するための標準的な方法を提供します。以前紹介したMCP(Model Content Protocol)とも関連があります。

02:30 A2Aプロトコルが注目されているのは、Googleがオープンソースで公開したことに加え、Accenture, Salesforce, Oracle, Deloitteなど、すでに50社以上の大手企業がパートナーとして賛同している点です。これはA2Aが将来の業界標準となる可能性を示唆しています。

03:45 A2Aはどのように機能するのか?クライアントエージェントとリモートエージェント間の通信を容易にします。クライアントエージェントがタスクを策定・伝達し、リモートエージェントが情報提供やタスク実行を担当します。

04:25 A2Aの主要機能:

Capability Discovery: エージェントが自身の能力(Agent CardとしてJSON形式で公開)を互いに通知し、クライアントエージェントが最適なエージェントを見つけられるようにします。

Task Management: クライアントエージェントはタスク完了を目指し、リモートエージェントにタスクを委任します。タスクの状態は同期されます。

Collaboration: エージェントはコンテンツ、返信、指示などを互いに送信して連携します。

User Experience Negotiation: テキスト、フォーム、画像、動画など、様々なモダリティを通じて、クライアントとリモートエージェント間でユーザーインタラクションについて交渉・合意形成します。

05:43 実際の利用例:候補者ソーシングのデモ

* 05:55 Google Agentspaceというエージェント利用プラットフォームでデモを開始。

* 06:13 ユーザーが「ソフトウェアエンジニアを採用したい。求人票を添付した。手伝ってくれる?」と依頼し、求人票PDFを添付。

* 06:39 Agentspace(クライアントエージェント)が思考プロセスを開始。添付ファイルを分析し、候補者ソーシングに役立つエージェントを探す必要があると判断。A2Aプロトコルを使ってSourcing AgentをCapability Discoveryで検索。

* 07:38 Sourcing Agentから「候補者の希望勤務地に関する情報が見つからない。タイムゾーンの指定はありますか?」という交渉が行われる。

* 08:10 ユーザーが「グローバルな職位だが、理想的にはUS太平洋時間のプラスマイナス3時間以内が希望」と回答。

* 08:24 Sourcing Agentが思考プロセスを再開。ユーザーのタイムゾーン希望を考慮して候補者を検索。Agent Protocolを使い、候補者情報をUX friendlyなカード形式で表示可能と判断。

* 08:53 候補者リストが表示される。ユーザーは提示された候補者に面接を設定するための連絡を依頼。

* 09:35 エージェントが面接を通過した候補者3名を提示し、「バックグラウンドチェックが保留中です」と報告。ユーザーは「全員のバックグラウンドチェックを開始してください」と依頼。

* 09:57 Agentspaceが思考プロセスを開始。バックグラウンドチェックを実行できるエージェントを探す必要があると判断。International Background Agentに接続。

* 10:18 バックグラウンドチェックが成功したこと、ただし一部候補者(非US)は特定のバックグラウンドエージェントのスコープ外だったことが報告される。所要時間は2営業日と提示。

11:13 A2Aプロトコルの連携標準について。Local Agent(Vertex AI/Gemini API等)とRemote Agent(LLM、Agent Framework等)がA2Aプロトコルを介して連携。これらのエージェントはMCPを通じて企業のAPIやアプリケーションとも連携します。

13:01 A2Aの今後の展望とビジネスへの影響。オープンソースであるA2Aが普及することで、異なるシステムやベンダーのエージェント間の相互運用性が向上し、より強力で汎用的なAIシステムが構築可能になります。

13:36 A2Aプロトコル自体は収益化を目的としていませんが、A2Aを介して提供される各エージェントの専門機能(例:採用ソーシング、バックグラウンドチェックなど)に対して、サービス利用に応じた課金が発生するビジネスモデルが考えられます。特定の分野に特化したエージェントを開発・提供する企業は、A2Aエコシステム内で収益機会を得られる可能性があります。

15:48 まとめ:AIエージェント間の連携を標準化するA2Aプロトコルは、今後のAI活用における重要な基盤となり得ます。

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