田舎坊主の読み聞かせ法話

和歌山県人て、すごい! 「ホームから転落した障がい者をみんなで救った」


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少し前のことです。

和歌山県難病団体連絡協議会の事務局長が駅のホームから転落して顔を2カ所骨折したという連絡が入りました。

彼は私が和歌山県難病連の会長を退いてから事務局長を務めてくれています。

彼は網膜色素変性症患者で、ほとんど目が見えません。

にもかかわらず色眼鏡もかけず、大きな眼を見開いて、周囲から見ればいかにも眼が見えているように見えます。

ただ、それと分かるのは白杖を手にしているだけなのです。 

 私の母や妻の葬儀の際も、わざわざ田舎の葬儀場まで白杖をつきながら駆けつけてくれました。

街であろうが田舎であろうが、夜であろうが昼であろうが、本人にとって移動に慣れているとはいえ、目も見えないのにこんな遠くまでと、ありがたく思ったものです。

 その彼が夜の田舎の駅のホームで線路に転落し、顔を骨折したと聞いたとき、

私は「白杖をつきながら線路に落ちそうなようすを誰か、気遣ってくれる人はいなかったのだろうか、危ないと声をかけてくれる人はいなかったのだろうか」と、かわいそうでならなかった。


 ところが、一ヶ月ほど経った日の朝日新聞投稿欄に「線路に転落者 助けた人たち」という投稿に目がとまった。

投稿内容はー

「先日の夕方、仕事の帰り。ホームで電車を待っていたら、うめき声が聞こえた。

見ると障害者らしき男性が線路に倒れていた。線路には杖や荷物も。すぐにおじさん三~四人が線路に飛び降り、救い上げた。その素早く格好いいこと。私は駅員を呼んできた。みんなで男性を椅子に座らせたら、眉間から出血されていた。私が、『タオルかハンカチ』と叫ぶと、手がいくつも出てきた。うれしかった。一つをお借りし傷口を押さえて駅員に救急車の手配を確認。電車が到着し、心優しき人たちは乗り込んでいった。

他人に無関心な人が多いご時世だが、ホームにいた人たちも冷たい傍観者ではなかった。恥ずかしそうにハンカチを差し出した学生さんもティッシュをくれたおじさんも、ありがとう。和歌山県人って、すごいと思った。」


後日、この記事のことを本人に確認すると「僕のことです」という。

私が考えていたことが当たらなくて良かった。

田舎の駅でもそこにいた人たちみんなが協力し合いながら、彼を助けてくれていた。

投稿された方のお陰で彼を助けるようすが目に浮かんで、久しぶりに私の胸が熱くなった。

心優しき人たちに心から感謝しました!


合掌

和歌山県紀の川市 瑞宝山不動寺

不動坊 良恒

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田舎坊主の読み聞かせ法話By 田舎坊主 森田良恒