よっしーの「今週のエッセイ」

今週のエッセイ/ダマンキとアブラムシ


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ダマンキとアブラムシ

 

 別に怪獣戦争が勃発したわけではない。〝ダマンキ〟というのは長崎で幼年時代に使っていた言葉である。本気ではないことをいう。たとえば、じゃんけんで負けた時に、「いまんとは、ダマンキさ」と言って、勝負を反故にする。だから、この言葉を使う人は同い年か年下である。可愛いから許されるのである。でも、この言葉を年上が口にすると、どうにもいただけない。人間性さえも疑いたくなる。 

〝アブラムシ〟という言葉は、妻が福岡で子供時代に使っていたものらしい。「この子は、まだ小さいけん、アブラムシにしとこ」というような使い方をする。遊びのルールは適用させずに自由に遊ばせてやる、いわばおにいちゃんやおねえちゃんの年下に対する面倒見の良さを遊びで肩代わりしているようなものだ。これはこれで納得のいく良きシステムである。

 この〝ダマンキ〟にしても〝アブラムシ〟にしても、幼いから許される話で、これが大人になっても、続いていたらおかしいし、続けていきたいという思いを持つとしたら、これまたおかしな話である。ところが、七人兄姉の末っ子であるこの私は、時々〝ダマンキ〟扱いや〝アブラムシ〟待遇を受けているような気がする。兄姉の中で大事な話に付き合ったこともないし、相談を受けたこともない。幼い頃から今日までもそうである。普通ならば自ら飛び込んで関わろうとするのだが、それがない。

 私の人生は、いつも〝ダマンキ〟であり、本気にはなりえない。本気になると自分の実力を知ることとなり、愕然となるのである。また、〝アブラムシ〟魂(?)から一向に抜け出そうともしない。ぬるま湯の世界がとっても好きなのである。これから始まる残された時間を〝ダマンキ〟という怠惰な心と〝アブラムシ〟感覚で過ごすには何ともやるせない。あとは、自分のすべてを知りつつも笑い飛ばすしかないのである。笑ってさえいれば何とかなることを信じよう。

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よっしーの「今週のエッセイ」By 森田義夫