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私は河野洋平氏の肝臓移植のニュースを聞いたとき、1989年11月に島根医大で日本初、世界で四例目というある意味で冒険的な生体肝移植が行われたことを思い出した。
このときの患者は、胆道閉鎖症という難病で余命いくばくもないYちゃんという小さな子どもで、ドナーはこの子のお父さんである。
Yちゃんはすでに肝硬変が進み、肝臓移植しか救われるすべはなかった。
しかし当時、患者の状態は言うまでもなく、経済的にも恵まれた人だけしか実現できなかった海外での肝臓移植手術も選択できない状態だった。
しかし、国内において子どもの脳死移植はもちろんのこと、脳死さえも認められていない状況のなかで、健康な人の肝臓の一部を切り取り患者に移植するという、日本で脳死移植が認められるまでの、いわば緊急避難的に実施されたのが生体肝移植であった。
当時この手術に対し、各方面から「問題あり」の声が相次いだ。
その主なものは、河野洋平氏も述べている「あなたは、やらないのか」という同病患者家族へのプレッシャーが社会に生まれるのではないかと言うことであった。
しかしこの手術に踏み切った当時の執刀医N教授は、
「このような状況のなかで、肝硬変で余命いくばくもないわが子を前にして、自分の肝臓を切ってでも助けたいという父親の心中を聞いたとき、主治医としてはこれしか方法はないと確信した。」
と語っていた。
手術は成功したものの、Yちゃんは280日間その命の限りを生きぬき、翌年8月24日、お地蔵さまのご縁日に亡くなった。
葬儀に参列したN教授は、
「助けてあげられなくてごめんね、先生はこれからももっと勉強してYちゃんから教えてもらったたくさんのことを生かして、病気の子どもたちを一人でも多く救いたいと思います。あなたの死を絶対むだにはしません。」
と、涙ながらに弔辞を述べられた。
Yちゃんの手術から13年、同じ病気で亡くなられた多くの患者さんと、ともに闘った家族の勇気と、医師の研究努力が礎となったこの生体肝移植手術は、2002年4月現在、日本で約2000例近く実施され、河野洋平氏が手術を受けた信州大学医学部では、すでに169例を数えるという。
現在ではもっと多くの症例が数えられています
そしてこの手術は、末期的肝臓疾患にすばらしい治療成績を上げている。
Yちゃんに対し緊急避難的に行われたこの手術は、今や一般的治療として定着しているのだ。
合掌
4月からのシーズン2の読み聞かせ法話の本は
後に「田舎坊主シリーズ」とつながる第1弾です。
田舎坊主シリーズ
「田舎坊主の合掌」https://amzn.to/3BTVafF
各ネット書店、全国の主要書店で発売中です。
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電子書籍版は
・アマゾン(Amazon Kindleストア)
・ラクテン(楽天Kobo電子書籍ストア)
にて販売されています
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Yちゃんはすでに肝硬変が進み、肝臓移植しか救われるすべはなかった。
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しかし、国内において子どもの脳死移植はもちろんのこと、脳死さえも認められていない状況のなかで、健康な人の肝臓の一部を切り取り患者に移植するという、日本で脳死移植が認められるまでの、いわば緊急避難的に実施されたのが生体肝移植であった。
当時この手術に対し、各方面から「問題あり」の声が相次いだ。
その主なものは、河野洋平氏も述べている「あなたは、やらないのか」という同病患者家族へのプレッシャーが社会に生まれるのではないかと言うことであった。
しかしこの手術に踏み切った当時の執刀医N教授は、
「このような状況のなかで、肝硬変で余命いくばくもないわが子を前にして、自分の肝臓を切ってでも助けたいという父親の心中を聞いたとき、主治医としてはこれしか方法はないと確信した。」
と語っていた。
手術は成功したものの、Yちゃんは280日間その命の限りを生きぬき、翌年8月24日、お地蔵さまのご縁日に亡くなった。
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「助けてあげられなくてごめんね、先生はこれからももっと勉強してYちゃんから教えてもらったたくさんのことを生かして、病気の子どもたちを一人でも多く救いたいと思います。あなたの死を絶対むだにはしません。」
と、涙ながらに弔辞を述べられた。
Yちゃんの手術から13年、同じ病気で亡くなられた多くの患者さんと、ともに闘った家族の勇気と、医師の研究努力が礎となったこの生体肝移植手術は、2002年4月現在、日本で約2000例近く実施され、河野洋平氏が手術を受けた信州大学医学部では、すでに169例を数えるという。
現在ではもっと多くの症例が数えられています
そしてこの手術は、末期的肝臓疾患にすばらしい治療成績を上げている。
Yちゃんに対し緊急避難的に行われたこの手術は、今や一般的治療として定着しているのだ。
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