お聴きいただきありがとうございます。誕生日というかけがえのないテーマについて、「星」を題材とした感謝の曲を作りました。流れ星は毎日数えきれないほど落ちてくると言われ、目に見えないものまで含めると毎秒のように降り注いでいます。どこかで誰かが生まれるとき、その瞬間にも空の先で流れ星が輝いています。燃え尽きた星が生まれ変わるかのように、またこの星のどこかに新たな誕生日が芽ばえます。星という字は生まれた日と書きます。生まれるたびに星が降り、星が降るたびに人が生まれる。ややメルヘンチックな解釈ですが、流れ星の終わりに人のはじまりがあると考えたとき「生まれ日」と「星」の親和性があらわとなり、この小さなアイディアが、ふとしたイメージを音楽へと昇華させる一歩目になりました。旅立つことについて「人が星になる」という慣用句があります。しかしながら、その逆である生まれについて「星が人になる」と表現することは一般的ではありません。根源的に星を見据えつつ、それでいて前世もやはり人でありたいという純粋な願いが感じられ、これが表現的シンプレックスの基盤にあるように思えます。慣用句の一通性を思うに、星であることは希望であり、同時に悲しみでもあるのかもしれません。希望と悲しみ双方に深く関連する第一のファクターとして、私たちは感謝という玲瓏たる情緒を持ちます。「ありがとう」と思うこころにこそ星を凌駕する光がやどり、人を人たらしめる輝きがまた新たな感謝の礎となり、この循環の結晶として象徴的に明らかとなるものものこそが誕生日なのだと、すこしばかり幻想的に捉えてみるのも妙味を感じられるのではないでしょうか。彗星のように過ぎ去る日々の中で、子が親に向ける「生んでくれてありがとう」というきもちを、親が子に向ける「生まれてきてくれてありがとう」という思いを、この日だけはまっすぐににあらわすことができます。誕生日という概念が人類に根付くようになったのは、一年に一回くらいはすなおに感謝を伝える日がほしいからなんじゃないかなと思いました。言葉にするのが気恥ずかしければプレゼントという手があります。包装は星がおすすめです。