田舎坊主の読み聞かせ法話

「もうすぐお彼岸の中日です」エッセイ「田舎坊主の合掌」


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私はよく「いいかげん」が一番とよく話します。

「いい加減な人」がほめ言葉になってほしいとここでもお話ししました 

さてもうすぐお彼岸の中日です。

お彼岸の中日は、昼と夜の時間が同じということから、

どちらにも偏らない「中道」というお釈迦さまの教えを実践する日でもあるのですね。
でも「中道」といえば難しいですが、「中道」こそまさに「平和でいい加減な世界」をつくるのです。 

たとえ話をしましょうー

結婚まもないお嫁さんとお姑さんが沢庵漬けを切ったときの会話です。 

お嫁さんは沢庵を5センチくらいの短冊に切りました。

そのときお姑さんはー
「今の若い人は沢庵の切り方も知らないのねえ、沢庵は縦半分に切ってから半円のいちょう切りにするのよ」
ここのお姑さんは、いちょう切りにしかしないのですね。 

そこでお嫁さんはー

“沢庵なんてどんな切り方でもいいのに”って言いたかったのですが、
一息飲んで、「はいわかりました。半円に切ればいいんですね」 と、少しつっけんどんに言って二人は険悪なムードになりました。 

ここではお嫁さんとお姑さんのお互いの違った「道」が並行して進んでいます。 

これを中道の考え方で言い方を換えると次のようになります・・・ 

お嫁さんがー

「ああ、お義母さんのようにいちょう形に切れば、きれいだし美味しそうに見えるのね」 

お姑さんも、お嫁さんの切ったものを見てー

「そういう切り方をすれば歯触りもよくていいかも・・・」 と言うのです。

そうすれば、それぞれ自分の「道」ではなく、

二人の中間にある「道」に歩み寄っている会話になりますね。
これこそ「中間にある道」中道であり、お互いを認め受け入れる、いわば相手に寄り添う心の移動が中道の実践なのですね。 

こうすれば二人とも「苦」ではなく「楽」が得られ、この会話で二人の関係はとっても「いい加減」になれるのです。 

ただここで大切なことは、一方だけが「中道」を実践していけば、

一方の人にだけ不満やストレスが溜まっていくことになり、「苦」は増すばかりでしょう。 

大切なのは「お互いの行動」なのですね。

お互いの「互い」とは「たがう」「ちがう」から来ています。
「違う」ことを認め合うことは「中道」の実践であり、「いい加減」をつくる基本なのだと思うのです。

でもやっぱり現実には難しいかもしれません。

なので寄り添うという心の移動の練習から始めてみてはどうでしょうか。 

お彼岸こそ、その絶好の機会なのではないでしょうか。

合掌

和歌山県紀の川市 瑞宝山不動寺

不動坊 良恒

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田舎坊主の読み聞かせ法話By 田舎坊主 森田良恒