田舎坊主の読み聞かせ法話

「お彼岸ー自戒を込めてー」エッセイ「田舎坊主の合掌」


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お彼岸

寒い冬には、「早く暖かい春が来ないかなあ」と思い、水仙、梅の花、桃の花が咲き、春本番に桜の花を楽しんだのもつかの間、あっという間に夏のような気温が続き、本格的な猛暑がやってきて、暖かさを待ち望んだことを忘れてしまいます。

暑くなってくると「早く涼しい秋にならないかなあ」と思い、彼岸花が咲き、さわやかな季節もあっという間に過ぎ、朝夕めっきり冷え込む季節となると、「近頃は秋が短いなあ」と寒さを恨めしく思うものです。

「暑さ寒さも彼岸まで」と言われるように四季があることを素晴らしいといいながらも、今の季節より次の季節を待ち望むのが私たち凡人なのかもしれません。

「いまの季節」を楽しむためには、夏には夏を、冬には冬を、それぞれ知恵を出し工夫して楽しむことしかありません。そうすれば、むしろ暑いことも寒いことも楽しみになるかもしれません。

それを実感し、体感している人も多いはずです。そうしないと、季節がめぐる限りいつまでたっても、不平や不満の多い苦の季節を過ごさなければなりません。言い換えれば、今の季節は「此岸」であり、次の季節は「彼岸」ということになります。

私たちの人生のうち「つらくて苦しくて、いやだいやだ」と思っている今の生活(此岸)も、智恵をしぼり正しい考え方や行動、行為によって「いやではない平安な生活」(彼岸)に変えることができるかもしれないということです。

仏教では、「彼岸」は安らかで苦のない世界のこと、「此岸」は悩み多い苦の現世のことですが、その「彼岸」は決して向こう側にあるのではなく、「此岸」のなかにつくり出すものだと教えてくれているのです。

その方法は「彼岸の中日」にあります。

彼岸の中日は昼と夜の時間が同じでどちらにも偏っていません。
私たちの考え方や行動、行為に偏りがないか、象徴的に表しているのです。

お彼岸は・・・

仏さまをお祀りすることも大事ですが、私たちの考え方や言葉や行為に偏りがないか再確認する日でもあるのですね。

 ・自分勝手なこだわりがないか?

 ・「他」を思っているか?

 ・平等なのか?

 ・自分本意に考え過ぎていないか?

自戒を込めて・・・

合掌


和歌山県紀の川市 瑞宝山不動寺

不動坊 良恒

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田舎坊主の読み聞かせ法話By 田舎坊主 森田良恒