ペットリハトーク

ペットリハトーク

By 浅野勇太(理学療法士、愛玩動物看護師、CCRT)Health & Fitness
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ペットリハトーク episodes

  • #47 バーをまたぐだけで歩き方が変わる?〜25頭の測定でわかった、「キャバレッティ運動」の真実〜

    動物病院のリハビリ施設やおうちケアでよく見かける「キャバレッティ運動(一定の間隔で並べたバーをまたいで歩く運動)」。

    シニア犬のつまずき予防や、手術後の歩行改善、股関節や膝の動きをスムーズにするエクササイズとして非常に有名ですが、実は「バーの高さを変えると、ワンちゃんの歩き方にどんな変化が起きるのか?」を客観的なセンサーで調べた研究は、これまでほとんどありませんでした。

    「バーを高くすればするほど筋肉がつくの?」

    「早足でピョンピョン跳び越えてしまう時はどうすればいい?」

    ……そんな飼い主様やリハビリ現場の疑問に答えてくれる注目の学術論文が、2024年に国際学術誌『Frontiers in Veterinary Science』に発表されました。

    今回は、25頭の家庭犬を対象に、圧力センサー歩行路を用いてカバレッティの高さが生体力学に与える影響を検証した最新研究(Blake et al. 2024)をもとに、なぜバーをまたぐと歩行が良くなるのか、そしておうちで安全に実践するための「正しい高さ・間隔のコツ」を理学療法士の視点から分かりやすく解説します。

    肩の力を抜いて、ラジオ感覚でお聴きいただければ嬉しいです。

    【今回のトピック】

    ・リハビリの王道「キャバレッティ運動(棒またぎ)」とは?

    ・臨床でよくある悩み「早足でピョンピョン跳び越えてしまう……」

    ・最新論文紹介:カバレッティの高さと歩行生体力学(Blake et al. 2024 / 対象25頭)

    ・圧力センサーが捉えた真実①:バーを高くするほど「歩行速度」が自然にゆっくりになる

    ・圧力センサーが捉えた真実②:一歩一歩地面を踏みしめる「立脚時間」が確実に伸びる

    ・なぜ「ゆっくり一歩ずつ跨ぐこと」が最高の関節リハビリになるのか?

    ・関節可動域(屈曲・伸展)と固有受容感覚(足裏センサー)への相乗効果

    ・おうちでできる実践のコツ①:理想のバーの高さ(最初は足首〜手首の低さから)

    ・おうちでできる実践のコツ②:理想のバーの間隔(愛犬の背中の高さ・歩幅に合わせる)

    ・家庭用品で手軽に作る安全なキャバレッティ(新聞紙・ラップの芯・突っ張り棒など)

    ・絶対にやってはいけない注意点(高すぎてジャンプさせてしまう、滑る床で行う)

    【今回ご紹介した学術論文】

    Blake CA, Looney AL, Merrill TD. (2024)

    "The impact of cavaletti height on dogs' walking speed and its implications for ground reaction forces"

    Frontiers in Veterinary Science, 11:1419206.

    対象:健康な家庭犬 25頭(圧力感知歩行路PSWを用いた生体力学解析)

    論文リンク:

    ・PubMed:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39109348/

    ・PMC全文オープンアクセス:https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11301751/

    ・DOI:https://doi.org/10.3389/fvets.2024.1419206

    ※研究規模に関する注釈:本研究は中型〜大型の健康な家庭犬25頭を対象に、圧力感知歩行路(PSW)を用いてキャバレッティの高さ(2〜8インチ)が歩行速度や接地時間・床反力に与える影響を客観的に評価した先駆的研究です。障害物の高さによって歩行速度が自然に制御されることが実証されましたが、病気や痛みを抱えるワンちゃんへの適用にあたっては、個々の身体状態に合わせて無理のない高さから安全に進めることが推奨されます。

    【パーソナリティ】

    浅野 勇太(理学療法士 / CCRT / 愛玩動物看護師)

    動物のリハビリテーションに従事。

    日々の臨床での学びや気づきを、飼い主様や獣医療従事者の方へお届けしています。

    ◆チャンネル登録・高評価・コメントをいただけると励みになります!

    13 min
  • #46 【感謝と振り返り】45回配信を続けて見えてきたこと〜これまでの歩み、心温まるお便りと、チャンネル登録者1000人を目指す理由〜

    いつもペットリハトークをお聴きいただき、本当にありがとうございます。

    第1回の配信からコツコツと積み重ねて、前回の配信で第45回を迎えることができました。

    普段は最新の学術論文や、病気ごとの具体的なリハビリ方法をお話ししていますが、今回は少し肩の力を抜いて、これまでの配信の振り返りと、配信を続けてみて感じた率直な思い、そしてこれからの目標についてお話ししています。

    「なぜ人の理学療法士から動物の世界へ飛び込んだのか」という初期の原点から、日常の観察や減量、足元の工夫、そしてパテラや関節炎、シニア犬の生体力学といった科学的エビデンスまで、過去の配信のハイライトを整理して振り返りました。

    また、番組の中盤では、最近リスナーの飼い主様からいただいた「とても心温まるお便り」をご紹介しています。

    ご自身のリハビリに通うことに気が乗らなかった飼い主様のお母様が、この配信をきっかけに「犬も私も同じなんだ!」と前向きに通われるようになったという、思いがけない嬉しいエピソードです。

    そして番組の後半では、私が今「まずはチャンネル登録者数1000人」を目指して発信を続けている理由と、動物リハビリに対する想いをお伝えしています。

    いつも温かいコメントや応援をくださる皆さんに、心からの感謝を込めて。

    ぜひ、ラジオ感覚でのんびりとお聴きいただければ嬉しいです。

    【今回のトピック】

    ・第45回までの配信を振り返って(感謝と今の率直な想い)

    ・初期に語った原点(人の理学療法士から動物のリハビリへ進んだ理由)

    ・日常で役立つケアの知恵(鎖骨のない体の不思議、減量の抗炎症効果、足元の工夫)

    ・科学的論文から読み解くリハビリ(パテラ、シニア犬の視覚と足裏、背中のコリ、筋電図)

    ・配信を続けて感じた臨床現場での手応えと飼い主様の温かい声

    ・心温まるお便り:動物のリハビリが、お母様の前向きなリハビリのきっかけに

    ・どんな形であれ「誰かの支えや後押しになれること」の喜び

    ・「まずはチャンネル登録者数1000人」を目指す理由

    ・諦める前に「動物リハビリ」という選択肢を全国の飼い主様へ届けたい

    ・チャンネル登録のお願いとこれからの決意

    【過去のおすすめ配信ピックアップ】

    ・#8 なぜ、人の理学療法士から動物のリハビリへ

    ・#15 犬には鎖骨がない!?前足の仕組みと体の使い方

    ・#18 最強の痛み止め!?たった数%の「減量」が愛犬の歩き方を変える本当の理由

    ・#42 シニア犬が暗い場所でふらつくのはなぜ?〜視覚と足裏センサーの深い関係〜

    ・#43 関節が痛い愛犬、実は「背中」も凝っていませんか?〜関節炎と筋肉のコリ〜

    ・#44 パテラ(膝蓋骨内方脱臼)は手術や安静だけで十分?〜動的安定性とおうちリハビリ〜

    ・#45 どの運動が一番効く?〜健康犬12頭の筋電図測定でわかったリハビリ運動の真実〜

    【パーソナリティ】

    浅野 勇太(理学療法士 / CCRT / 愛玩動物看護師)

    動物のリハビリテーションに従事。

    日々の臨床での学びや気づきを、飼い主様や獣医療従事者の方へお届けしています。

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    16 min
  • #45 どの運動が一番効く?〜健康犬12頭の筋電図(EMG)測定でわかった、お尻と太ももを鍛える「最強の運動」〜

    「愛犬の足腰の筋肉をつけたいけれど、お散歩以外にどんな運動をさせればいいの?」

    「おすわりや坂道、段差の上り下り……どれが本当に効果的なの?」

    過去の配信(#28の「お尻の筋肉」や#35の「運動療法」、#44の「膝蓋骨内方脱臼のリハビリ」など)でも、関節を守るためには「お尻の筋肉(臀筋群)」や「太ももの筋肉」を育てることが大切だとお話ししてきましたが、実際にどんな運動をすると、どの筋肉がどれくらい使われているのか、疑問に思ったことはありませんか?

    実は、人間のアスリートと同じように、ワンちゃんの体にセンサー(表面筋電図:sEMG)を貼り付けて、様々な運動中の筋肉の活動量を精密に測定した画期的な学術研究が存在します。

    今回は、国際学術誌『Frontiers in Veterinary Science』に掲載されたMcLean先生ら(テネシー大学)による研究論文をもとに、「お尻の筋肉」や「太ももの筋肉」を最も強く刺激する運動のランキングと、家庭で安全にできる実践方法を理学療法士の視点から分かりやすく解説します。

    肩の力を抜いて、ラジオ感覚でお聴きいただければ嬉しいです。


    【今回ご紹介した学術論文】

    McLean H, Millis D, Levine D. (2019)

    "Surface Electromyography of the Vastus Lateralis, Biceps Femoris, and Gluteus Medius in Dogs During Stance, Walking, Trotting, and Selected Therapeutic Exercises"

    Frontiers in Veterinary Science, 6:211.

    対象:健康な家庭犬 12頭(フォースプレートによる左右対称性確認済み)

    論文リンク:

    ・PubMed:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31355214/

    ・PMC全文オープンアクセス:https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6636385/

    ・DOI:https://doi.org/10.3389/fvets.2019.00211

    ※研究規模に関する注釈:本研究はテネシー大学にて、整形外科的・神経学的に正常な健康犬12頭を対象に、表面筋電図(sEMG)を用いてリハビリテーション運動中の筋活動量を客観的に測定した研究です。個々の犬の体格や関節の疾患状態によって適切な運動強度は異なりますが、どの運動がどの筋肉に特異的な刺激を与えるかを科学的に解明した極めて実践的で貴重なエビデンスです。

    【パーソナリティ】

    浅野 勇太(理学療法士 / CCRT / 愛玩動物看護師)

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    日々の臨床での学びや気づきを、飼い主様や獣医療従事者の方へお届けしています。

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    11 min
  • #44 膝蓋骨内方脱臼(MPL)は手術や安静だけで十分?〜ヒトの理学療法から学ぶ、お皿を支える「動的安定性」とおうちリハビリ〜

    トイプードルやポメラニアン、チワワなど、多くの小型犬の飼い主様が直面するお悩みの一つが「膝蓋骨内方脱臼:MPL」です。

    「動物病院でパテラと言われて、怖くてお散歩を控えている」「手術を受けたけれど、時々足をピョコッと浮かすスキッピング歩行が抜けない」「筋肉をつけた方がいいと聞いたけれど、どんな運動をさせればいいのか分からない」……そんな声を、臨床現場でも多く見られます。

    これまで犬のパテラは、「手術で骨や腱の構造を治す」か「安静にして痛み止めを飲む」という選択肢が中心でした。しかし最新の獣医学界では、「お皿(膝蓋骨)を筋肉と神経のチームワークで支える『動的安定性(ダイナミック・スタビリティ)』」に注目が集まっています。

    今回は、2026年に発表された最新の学術論文(Son et al. 2026)をもとに、ヒトの膝の理学療法の知見を犬に応用した最新のリハビリテーション戦略と、家庭で安全にできる優しいアプローチをご紹介します。

    肩の力を抜いて、ラジオ感覚でお聴きいただければ嬉しいです。

    【今回のトピック】

    ・小型犬に非常に多いパテラ(膝蓋骨内方脱臼:MPL)の現状と悩み・手術で構造を治しても残る課題(軟骨損傷の残存や前十字靭帯断裂のリスク)

    ・なぜ「単なる筋力強化」だけでは膝のお皿を支えきれないのか?

    ・最新論文紹介:ヒトの膝理学療法から学ぶ犬のパテラリハビリ戦略(Son et al. 2026)

    ・鍵を握る「動的安定性(Dynamic Stability)」と「神経筋コントロール」

    ・犬に合わせた段階的アプローチ(筋肉の活性化〜多関節協調〜バランス〜歩行再教育)

    ・おうちでできる優しいケア①:股関節と膝を連動させる「丁寧なおすわり〜立っち」

    ・おうちでできる優しいケア②:膝のセンサーを呼び起こす「座布団バランス立ち」

    ・おうちでできる優しいケア③:スキッピング歩行を防ぐ「ゆっくりコントロール歩行」

    ・パテラと付き合うための心構え(過度な安静や激しい運動を避け、穏やかに動かす)

    【今回ご紹介した学術論文】

    Son JY, Kim K, Seo YS, Yu SJ, Choi J. (2026)"Translational rehabilitation strategies for canine medial patellar luxation: insights from human patellofemoral pain syndrome"Frontiers in Veterinary Science, 13:1885078.論文リンク:・Frontiers in Veterinary Science 全文オープンアクセス:https://www.frontiersin.org/journals/veterinary-science/articles/10.3389/fvets.2026.1885078/full

    ・DOI:https://doi.org/10.3389/fvets.2026.1885078※研究デザイン・注釈:本論文は、ヒトの膝蓋大腿関節痛症候群(PFPS)における豊富な理学療法的エビデンス(神経筋制御・多関節協調・歩行再教育)を比較分析し、四足歩行である犬のバイオメカニクスに適応させた段階的リハビリテーション・フレームワークを提唱した学術レビューです。犬における筋電図や前向き比較研究はまだ発展途上であるため、個々のワンちゃんの脱臼グレードや痛みの状態に合わせて、かかりつけの獣医師と相談しながら安全に進めることが推奨されます。

    【パーソナリティ】

    浅野 勇太(理学療法士 / CCRT / 愛玩動物看護師)動物のリハビリテーションに従事。日々の臨床での学びや気づきを、飼い主様や獣医療従事者の方へお届けしています。

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    14 min
  • #43 関節が痛い愛犬、実は「背中」も凝っていませんか?〜関節炎の犬35頭でわかった筋肉のコリ(筋膜トリガーポイント)と、おうちでできる優しいケア〜

    「関節が痛い愛犬、実は「背中」も凝っていませんか?〜関節炎の犬35頭でわかった筋肉のコリ(筋膜トリガーポイント)と、おうちでできる優しいケア〜」

    前回の動画(#42)では「シニア犬が暗い場所でふらつく理由と視覚・足裏センサーの関係」についてお話ししましたが、今回は関節炎(変形性関節症)や足腰の痛みを抱えるワンちゃんの多くに起きている「全身の筋肉のコリ(筋膜トリガーポイント)」について掘り下げていきます。

    「動物病院で関節炎と言われたけれど、最近背中や腰を撫でるとピクッと嫌がる」「歩くときに背中が丸まって硬くなっている気がする」……そんな愛犬の変化に気づいたことはありませんか?

    実は最新の獣医学研究によって、関節炎を持つワンちゃんのなんと86%に筋肉のコリ(トリガーポイント)が存在し、しかも「痛い関節の場所」とは関係なく、「背中」や「太もも」に強いコリが集中することが分かってきました。

    今回は、2025年1月に発表された学術論文(Formenton et al. 2025 / 対象35頭)の研究データを交えながら、愛犬が痛みをかばうことで全身に起きる代償と筋肉の緊張、そしておうちでできる優しい触れ方・温めケアのヒントをお伝えします。

    肩の力を抜いて、ラジオ感覚でお聴きいただければ嬉しいです。

    【今回のトピック】

    ・関節が痛いはずなのに、なぜ「背中」を触ると嫌がるのか?

    ・論文紹介:関節炎の犬における筋膜トリガーポイントの有病率と部位(Formenton et al. 2025〔フォルメントンら 2025年〕 / 対象35頭)

    ・研究の発見①:関節炎を持つワンちゃんの86%に「筋肉のコリ」が存在

    ・研究の発見②:コリができる場所は関節の場所と一致しない(最も多いのは「背中」と「太もも」)

    ・研究の発見③:年齢を重ねるほど、コリを持つ筋肉が増える

    ・痛んだ足をかばう「代償」が背中や全身の筋肉をガチガチにする仕組み

    ・おうちでできる優しいケア①:手のひら全体で包み込む「背中・太ももの優しい撫でケア」

    ・おうちでできる優しいケア②:温熱(ホットタオル・温熱パッド等)で筋肉の緊張をほぐす

    ・触る時の大切な注意点(指先で強く押さない、痛みのサインを見逃さない)

    【今回ご紹介した学術論文】

    Formenton MR, Fantoni DT, Gauthier L, Cachon T, Yeng LT, Portier K. (2025)

    "Prevalence and location of myofascial trigger points in dogs with osteoarthritis"

    Frontiers in Veterinary Science, 12:1488801.

    対象:変形性関節症の犬 35頭(2名の検査者による独立触診評価)

    論文リンク:

    ・PubMed:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39886026/

    ・PMC全文オープンアクセス:https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11776090/

    ※研究規模に関する注釈:本研究は35頭の関節炎犬を対象に、触診を用いて筋膜トリガーポイントの有無や部位を調査した clinical(クリニカル:臨床的)研究です。触診による評価は検査者の技術や主観に左右される面もありますが、本研究では2名の専門家が独立して評価を行い、関節疾患が全身の筋肉に及ぼす代償性緊張を科学的に明らかにした貴重なデータです。

    【パーソナリティ】

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    13 min
  • #42 シニア犬が暗い場所でふらつくのはなぜ?〜視覚と足裏センサーの深い関係、おうちでできる転倒予防ケア〜

    前回の動画(#41)では「愛犬が立っているときの左右の足の着き方・体重バランス」についてお話ししましたが、今回はシニア期のワンちゃんの飼い主様からよく伺う「夜間や薄暗い廊下で急に足元がふらつく」「立ち止まったときに身体がユラユラ揺れてしまう」というお悩みについて掘り下げていきます。

    「昼間は普通に歩いているのに、暗くなると急によろける」「年齢のせいで足腰の筋肉が衰えてしまったのかな」……愛犬のそんな変化に気づいたことはありませんか?

    実は最新の獣医バイオメカニクス研究によって、シニア犬は足裏の感覚センサーが鈍くなる代わりに、「目(視覚)」を使って必死に身体のバランスを保っていることが明らかになりました。

    今回は、成犬とシニア犬計40頭の姿勢安定性を比較検証した最新の学術論文(Lutonsky et al. 2025)の研究データを交えながら、愛犬の身体の中で起きているバランス機能の変化と、おうちですぐにできる優しい転倒予防の環境づくりについてお伝えします。

    肩の力を抜いて、ラジオ感覚でお聴きいただければ嬉しいです。

    【今回のトピック】

    ・「暗い場所や夜間になると急にふらつく」シニア犬の謎

    ・論文紹介:成犬とシニア犬で比較した「視覚遮断時の姿勢安定性」(Lutonsky et al. 2025 / 対象計40頭)

    ・明るい場所では互角なのに、なぜ目隠しをするとシニア犬だけ大きく揺れるのか?

    ・足裏の感覚センサー「固有受容感覚」の衰えと、視覚への強い依存

    ・白内障や視力低下が足元のふらつきに直結するメカニズム

    ・おうちでできる転倒予防策①:生活動線への「足元灯(フットライト)」設置

    ・おうちでできる転倒予防策②:足裏センサーを起こす優しいスキンシップとバランスケア

    【今回ご紹介した学術論文】

    Lutonsky C, Peham C, Affenzeller N, Aghapour M, Wegscheider J, Tichy A, Bockstahler B. (2025)

    "Impact of Aging and Visual Input on Postural Stability in Dogs: Insights from Center-of-Pressure Analysis"

    Sensors (Basel), 25(5):1300.

    対象:家庭犬 計40頭(成犬20頭[平均寿命50%未満]、シニア犬20頭[平均寿命75%超])

    論文リンク:

    ・PubMed:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40096034/

    ・PMC全文オープンアクセス:https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11902305/

    ※研究規模に関する注釈:本研究は成犬20頭、シニア犬20頭の合計40頭を対象に、圧力測定プレートを用いて開眼時と目隠し(視覚遮断)時の足圧中心(COP)動揺を精密測定した前向き比較研究です。加齢に伴う感覚統合機能の低下と姿勢安定性の関係を客観的に実証した貴重なデータです。

    【パーソナリティ】

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    10 min
  • #41 愛犬の足の着き方、左右で違っていませんか?〜立ち姿から見る体重バランスと、おうちでできる優しい立位ケア〜

    前回の動画(#40)では「日本動物リハビリテーション学会への参加報告と、理学療法評価の大切さ」についてお話ししましたが、今回はその評価の視点とも深く関わるテーマとして、「愛犬が立っているときの左右の足の着き方・体重バランス」について掘り下げていきます。

    「歩いているときは普通に見えるけれど、立ち止まると片方の足に体重を乗せていない気がする」「お座りや立ち上がりのときに、いつも同じ側の足を外側に逃がしている」……愛犬の日常のしぐさの中で、そんな小さな左右差を感じたことはありませんか?

    関節や靭帯を痛めた後、痛み自体は落ち着いていても、「痛かった足をかばって立つ癖(代償)」が体に残ってしまうケースは少なくありません。

    今回は、2023年末に発表された学術論文(Brantberg et al. 2023 / 対象33頭)の研究データを交えながら、愛犬の立ち姿から体重バランスを観察するポイントと、おうちで無理なく取り組める「立位バランストレーニング(3本足立ち)」の考え方をお伝えします。


    【今回のトピック】

    ・歩行時だけでなく「静止して立っている姿」を観察する意味

    ・痛みが引いても残る「かばい立ち(代償パターン)」の仕組み

    ・論文紹介:段階的な立位エクササイズが体重配分とバランスに与える影響(Brantberg et al. 2023 / 対象33頭)

    ・研究の規模・症例数についての注釈と、データの捉え方

    ・臨床での実感:無理に歩かせる前に、まず「両足で均等に立つ感覚」を取り戻す

    ・おうちでできる、負担の少ない「3本足立ち」のサポート方法と注意点

    【今回ご紹介した学術論文】

    Brantberg I, Grooten WJA, Essner A. (2023)

    "The Effect of Therapeutic Exercise on Body Weight Distribution, Balance, and Stifle Function in Dogs following Stifle Injury"

    Animals (Basel), 14(1):92.

    対象:後肢膝関節傷害(前十字靭帯不全等)後の犬 33頭(ランダム化比較試験)

    論文リンク:

    ・PubMed:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38200827/

    ・PMC全文オープンアクセス:https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10778569/

    ※研究規模に関する注釈:本研究は33頭を対象としたランダム化比較試験です。すべての症例に一律に当てはまるわけではありませんが、家庭で実践できる運動療法が体重配分や機能改善に及ぼす影響を客観的に評価した貴重な臨床データです。

    【パーソナリティ】

    浅野 勇太(理学療法士 / CCRT / 愛玩動物看護師)

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    14 min
  • #40 日本動物リハビリテーション学会に参加してきました!症例発表はやっぱりいいなぁと感じました。

    今回は、先日参加してきた「日本動物リハビリテーション学会」の感想と、そこから得た学びについてお話ししています。

    まとまりのない話になってしまっているかもしれませんが、リアルな声を聴いていただいて、少しでも参考にしていただけたら幸いです。


    【パーソナリティ】浅野 勇太(理学療法士 / CCRT / 愛玩動物看護師)動物のリハビリテーションに従事。日々の臨床での学びや気づきを、飼い主様や獣医療従事者の方へお届けしています。◆チャンネル登録・高評価・コメントをいただけると励みになります!

    11 min
  • #39 足腰が痛そうな愛犬へ、食事制限だけで大丈夫?〜変形性関節症と運動療法の相乗効果〜

    前回の動画(#37)では「子犬期の環境と関節の発達」についてお話ししましたが、今回は「成犬やシニア期になって関節炎(変形性関節症)を抱えてしまったときのケア」について掘り下げます。

    「足腰に負担がかかるから体重を減らしましょう」と動物病院で言われたとき、痛そうだからと運動を完全にやめて、食事制限だけで痩せさせようとしていませんか?

    実は、食事制限だけに頼ると「関節を守る天然のサポーターである筋肉」まで落ちてしまうリスクがあります。研究データ(過体重の関節炎犬29頭を対象とした比較試験等)を交えながら、関節に負担をかけずに筋肉を守る「減量×運動療法」のリアルなポイントをお伝えします。

    決めつけや無理強いをせず、愛犬のペースに合わせたおうちケアのヒントをお話ししました。肩の力を抜いてお聴きいただければ嬉しいです。

    【今回のトピック】

    • 「痛そうだから運動をやめてダイエット」の落とし穴

    • 論文紹介①:わずか6〜9%の減量で歩行が変わる(Marshall et al. 2010 / 対象14頭)

    • 論文紹介②:食事制限+理学療法の相乗効果(Mlacnik et al. 2006 / 対象29頭の比較試験)

    • 臨床での実感:天然のサポーター「筋肉」を残す大切さ

    • おうちでできる、関節に優しいゆっくり運動

    【今回ご紹介した学術論文】

    ① Mlacnik E, Bockstahler BA, et al. (2006)"Effects of caloric restriction and a moderate or intense physiotherapy program for treatment of lameness in overweight dogs with osteoarthritis"JAVMA, 229(11):1756-1760.対象:変形性関節症の過体重犬 29頭(6ヶ月間の前向き比較試験)

    ② Marshall WG, Hazewinkel HA, et al. (2010)"The effect of weight loss on lameness in obese dogs with osteoarthritis"Veterinary Research Communications, 34(3):241-253.対象:変形性関節症の肥満犬 14頭

    【パーソナリティ】

    浅野 勇太(理学療法士 / CCRT / 愛玩動物看護師)動物のリハビリテーションに従事。日々の臨床での学びや気づきを、飼い主様や獣医療従事者の方へお届けしています。

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    8 min
  • #38 膝の手術(TPLO)のあと、リハビリはいつから?〜早期理学療法がもたらす関節と筋肉への効果〜

    前回の動画(#30)で「膝蓋骨内方脱臼(MPL)と膝の靭帯への負担」についてお話ししましたが、今回は「前十字靭帯の手術(TPLO等)を受けたあと、いつからリハビリを始めるべきか?」という臨床で非常に多いご相談にお答えします。

    「術後はとにかくケージでじっと安静にさせた方がいいのでは?」と思われがちですが、実は研究データ(エビデンス)では、術後早期からの繊細な理学療法が筋肉や関節を守る鍵になることが示唆されています。

    ※今回ご紹介する論文は「対象8頭(各群4頭)」という小規模な臨床試験データに基づいています。症例数が限られているためあくまで参考・ひとつの検証データとしての位置づけですが、臨床現場の実感とも非常に合致する内容です。

    決めつけや無理強いをせず、愛犬のペースに合わせたおうちケアのヒントをお話ししました。肩の力を抜いてお聴きいただければ嬉しいです。

    【今回のトピック】

    • 手術後の「安静」と「動かすこと」の不安

    • 論文紹介:術後早期理学療法 vs 自宅安静(Monk et al. 2006 / 対象8頭の検証データ)

    • 研究の規模・症例数についての注釈と、データの捉え方

    • 臨床での実感:「安静」と「完全固定」の違い

    • おうちでできる、無理のない第一歩

    【今回ご紹介した学術論文】Monk ML, Preston CA, McGowan CM. (2006)"Effects of early intensive postoperative physiotherapy on limb function after tibial plateau leveling osteotomy in dogs with deficiency of the cranial cruciate ligament"American Journal of Veterinary Research, 67(3):529-536.対象:TPLO手術を受けた犬 8頭(理学療法群4頭、自宅管理群4頭)

    【パーソナリティ】浅野 勇太(理学療法士 / CCRT / 愛玩動物看護師)動物のリハビリテーションに従事。日々の臨床での学びや気づきを、飼い主様や獣医療従事者の方へお届けしています。

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