Radio Dialogue第2回(Vol.4)を配信します。
収録は10月8日(金)の午後10:00から開始し、午前1:00頃終了しました。
「わからない」をテーマに2人の話者が話題を持ち寄って対談し、フリートークののち最近読んだ本について話しました。
各vol.ごとに編集が終わり次第、随時配信して参ります。
第3回(vol.1)の配信は10月20日頃を予定しています。
Radio Dialogueではリスナーの皆さんのコメントを募集しています。「わからない」、あるいは「わかる」についてがんがんご意見・感想・その他をお寄せください。Twitterのハッシュタグは#ラジオダイアログをお使いください。いただいたコメントは積極的に番組内で取り上げます。
番組の進行は以下の通り:
・前回収録の振り返りとPodcast配信の苦労話
・先攻:カノウソウスケ「感想文の書き方がわからない」
・後攻:GARIO「散髪のオーダーの仕方がわからない」
・フリートーク
・読書コーナー:『火車』『文鳥』(←今回はここまで)
Vol.4 Book Session
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(随時追加予定)
↓↓トークの解説を読む↓↓
00:17 宮部みゆき:日本の小説家。代表作は『龍は眠る』『理由』『模倣犯』など。各所のミステリ・ランキングでは現在でも上位にあり、作品がテレビドラマ化されるなど、日本屈指の人気作家の1人。テレビゲームが趣味であり、『ICO』というゲームのノベライズもしている。
00:25 火車:葬式の場や墓場から死体を持ち去るとされる日本の妖怪。
03:21 『魔術はささやく』:宮部みゆきの小説。一見無関係の三人の女性の死。その背後には隠された「理由」があった。ふとしたきっかけで事態に巻き込まれた少年の視点から描く。
03:38 社会派:私小説などが個人の心理・行動に重点を描くのに対し、個人の思想・行動を規定する「社会」に重点を置く立場のこと。用例に「社会派ミステリ」など。
03:45 江戸川乱歩:日本の小説家。本格推理小説執筆だけでなく、海外の作品の紹介など、日本の推理小説文化の発展に寄与した。筆名はアメリカの怪奇小説家エドガー・アラン・ポーから。
来年パブリックドメイン入りする。ちなみにカノウは乱歩では幻想怪奇小説が好み。
03:49 夢野久作:日本の小説家。特に「狂気」をテーマにした作品で知られる。代表作の『ドグラ・マグラ』は日本推理小説史上における三大奇書のひとつに数えられる。
04:17 社会派推理小説:推理小説のうち、作品のテーマ・題材の社会性に重点を置いた作品のこと。社会派推理小説の台頭によって、パズル的な志向を持つ「本格派」は一時陽の目を見なかったが、後に「新本格」ブームによって再評価されることになる。
04:20 松本清張:日本の小説家。代表作に『点と線』『砂の器』など。社会派推理小説の旗手。
06:13 1980年代で携帯電話を持つというのは:80年代前半においては、携帯電話はいわゆる「車載電話」が主流であり、80年代後半にようやく肩掛けの「ショルダーホン」(3kg)が登場した。
06:34 SF:サイエンス・フィクション。文学のいちジャンル。下手な定義をするとどこから矢が飛んでくるかわからないので気をつけないといけない。
06:55 固定電話:車載電話・携帯電話など移動可能な電話が登場したことでできたレトロニム。
07:21 (パソコンの)専門のオペレータ:80年代では、windows95もまだ登場しておらず、コンピュータを扱えるのは専門職の仕事だった。
07:50 『R.P.G.』:宮部みゆきの小説。ある一家の父親が自宅で殺害される事件が発生した。その後、父親がネット上で「お父さん」というハンドルネームで「家族ごっこ」をしていたということが判明する。そこで担当刑事はある「計画」を実行することを決意する。
10:07 文鳥:カエデチョウ科の鳥。江戸時代からペットとして日本にも輸入されていた歴史ある愛玩鳥。『文鳥』で描かれているのは、おそらくシロブンチョウ。
10:15 『夢十夜』:夏目漱石の小説。「こんな夢を見た」という書き出しから始まる、漱石としては珍しい幻想文学的な作品。
10:18 「いわなみ」:岩波書店。1913年に古書店として創業した出版社。
10:41 「漱石は一時期ロンドンに住んでいて~」:漱石は1900年から2年間、英語教育法の研究のため、国費でイギリス・ロンドンに留学している。短編小説『倫敦塔』やエッセイ『クレイグ先生』は留学中の経験を元に執筆されている。漱石はイギリス滞在を不愉快なものだったと述懐しているが、イギリスがまずかったのか当時の彼の精神状態がまずかったのかは不明。
14:49 青空文庫:著作権が消滅した作品と自由な利用を認められた作品を電子化して無料で公開している活動・サイト。古典・過去の名作の多くが青空文庫で閲覧できるので、ぜひ利用していただきたい。
17:16 『吾輩は猫である』:夏目漱石の小説。「我が輩は猫である。名前はまだない」の一文はあまりにも有名。猫の視点から漱石や周りの交友関係などをエッセイ的につづったもの。
20:07 「せいてきに」:静的に。性的に、ではない。
20:50 「漱石ってのは女性嫌い」:漱石作品の主人公に共通するのは、異性としての女性に魅かれつつも、どこかで女性を信用し切っていない姿勢だと思われる。明治時代の男女観が影響しているのか、漱石自身の傾向が反映されているのか、きっと両方だろう。
21:35 「こうとうゆうみん」:高等遊民。明治時代から昭和初期に用いられた言葉。大学などの高等教育機関で教育を受けたものの、経済的不自由がないため、労働をせず、毎日を読書や研究、趣味などに費やす人々のこと。単に怠け者だとかお金持ちだったから高等遊民になるのではなく、当時は就職難で、大学卒でも働き口を容易に見つけられなかったという背景もあるようだ。漱石は『彼岸過迄』でこの言葉を用いており、『こゝろ』や『それから』の主人公は明らかに高等遊民である。
22:46 書生:日本では、他人の家に住み込んで、雑用などをしつつ、勉学に励む学生を指す。明治初期には学生用の寄宿舎やアパートがなかったため、地方出身者が都会の大学や高等学校へ通う際には、書生になるのが一般的だったらしい。
23:08 『門』:夏目漱石の小説。「前期三部作」。親友の妻を奪って結婚した主人公が、夫婦共々その罪悪感に苦しみ、救いを求める話。かつての罪に怯えながら暮らす夫婦は、それでも確かに幸福である様がうまく描かれている。
23:09 『それから』:夏目漱石の小説。「前期三部作」。高等遊民の主人公が、友人の妻を不倫の末に奪い、家族から縁を切られ、職を探しに社会へ出る話。現代の就職難に巻き込まれている人々は、身につまされる思いをするだろう。クライマックスの描写は秀逸。
23:53 「後期三部作、前期三部作」:そういう分類があるのです。ちなみに「後期三部作」は『彼岸過迄』『行人』『こゝろ』。
23:59 『三四郎』:夏目漱石の小説。「前期三部作」。九州から東京帝国大学に通うため上京した主人公が、都会でさまざまな人と出会ったり、女性に振り回されたりする話。現代の大学卒のインテリ層にも共感できる・突き刺さる描写が多いのでは。
24:29 『こゝろ』:夏目漱石の小説。「後期三部作」で漱石の代表作のひとつ。主人公とひょんなことで懇意になった謎めいた高等遊民である「先生」との交流、先生の遺書に綴られる恋愛と友情が複雑に絡んだ過去を描いた作品。
26:11 「(『こゝろ』は)女性からの評判が悪かったり」:「先生」の言動からわかるのは、お嬢さん(奥さん)への独りよがりな愛と徹底的な軽視である。おそらく、女性からすれば「先生」の言動はけっこう癇に障るのではなかろうか。しかし、男性としては「先生」の気持ちもわかるのだ。GARIOは、先生はお嬢さんを信用して、事の次第をすべて打ち明けるべきだったのではないかと思うが(そして「先生」のパーソナリティからして、そんな結末が起きないのもわかるが)、このようにいろいろと勘ぐる部分が多いのが『こゝろ』の名作たる所以なのかもしれない。
26:55 ファム・ファタール:フランス語で「運命の女」を意味する。その含意は「男を破滅させる魔性の女」。東洋的に言えば「傾国の美女」といったところ。『こゝろ』のお嬢さん(先生の奥さん)はファム・ファタールなのか、それは読者の価値判断にゆだねられる。