田舎坊主の読み聞かせ法話

「食」ー「喰」ー「命」 エッセイ「田舎坊主の合掌」


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田舎坊主の合掌「食」ー「喰」ー「命」


 私はほとんど毎日一人で食事しています。いわゆる孤食という日々です。

 心がけているのは、できるだけ自分で料理をつくることです。朝起きて、何品かのおかずを作り、できるだけジャコとカツオなどで出汁を取りみそ汁を作ります。食べ終われば、全部のおかずの名前を声に出して言い、「ごちそうさまでした」と食事を終えます。

ご馳走さまは、誰かにご馳走されたときその人に感謝を込めた言葉ではありますが、もともと、動植物などの「命」をいただいたことに手を合わせているのです。日々こうして自分の命をつないでいるのが「生きる」ということでしょう。

 だから、おかげさまで今日も一生懸命 “馳せ走る” ことができますと「ご馳走」と書くのです。

本来、獣や魚は自分の命の危険を感じて逃げ回るものを無理矢理捕らえられ、食材として、私たちはそれを口にしています。

野菜は大地に根を張り花を咲かせ実を結び種子ができるまで踏ん張ろうとしているものを引き抜かれ、私たちはそれを口にしているのです。

その悲鳴を聞くこともなく・・・・。

 よく話すことですが、「食う」は「喰う(くらう)」ことです。

 ちなみに諸説あるようですが、「喰」という字は、右の「食」は人がひざまずいて左の「口」の容器のものを食べている様子を表し、

「人」の下(からだ)にこれらが取り込まれ「命」という字になったと聞いたことがあります。

 「食」=「命」ということをその漢字が教えてくれています。

 自分でつくれることー

 自分でお箸が持てることー

 自分で食べられることー

 自分で頂きますもご馳走さまも言えることー

 そして多くの方の努力で食材とされたものを頂けることー

 感謝しても感謝しきれないものがあり、こんなに幸せなことはありません。

 今朝も一人で、大根・ニンジン・お揚げちゃんのお味噌汁、玉子焼き、焼き鮭をつくり、いただきました。

ご馳走さまでした。

合掌

和歌山県紀の川市 瑞宝山不動寺

不動坊 良恒

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田舎坊主の読み聞かせ法話By 田舎坊主 森田良恒