@daycraze's sound kitchen

時のらせん〜資産活用と表現スタイル


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タイムマシンに願いを託し「時間のラセンをひと飛び」したいと願ったことは誰にも一度くらいはあるだろう。その曲はローテク時代に生まれた子供たちの見果てぬ夢を象徴していたし、最初のお披露目から35年余が経過した現代においても、初っぱなから頓狂な声を張り上げるその曲は、能天気なほどの陽気さ故か「パーティソング」として歌い継がれる。 サディスティック・ミカ・バンドは時代ごとに新しい歌姫を得て幾度か再結成されたが、リーダーである加藤和彦氏を失った今、蘇ることは恐らくもうない。 帰ってきたヨッパライ、イムジン河、あの素晴しい愛をもう一度──日本の音楽業界の歴史に残る数々の名曲を生み世間から注目されてきた氏にとって、時代の最先端を模索することはいつしか自分自身のミッションとなったことだろう。 しかし額に汗して奮闘努力するような泥臭さを自分と重ね合わせられず、世間には涼しい顔をして軽やかに「塀までひとっとび」するオシャレな自分を見せたかったとすれば、心情的にも、螺旋階段をグルグル回りながら歴史を繰り返すような音楽はやりたくなかっただろう。 いずれも筆者の創造の域を出ないが、仮にそうであるなら、常に新しい音楽を追求するという氏の姿勢は「イノベーションのジレンマ」を生んだとも言える。 歴史は、時という長い螺旋階段を上りながら遅々として進んでいくものに相違なく、時には平気で同じ過ちを繰り返したりもする。自分にとっての「過去」が自分以外の誰かの「未来」であることは普通に起こり得る。一足飛びのイノベーションを目指す余りにいつしか時代と足並みが揃わなくなり、螺旋階段の何処かで置き去りになったり、自分の居場所を見失ったり── それは革新的でクリエイティヴでありたいと願う誰もが嵌まりやすいトラップだ。 価値観はより一層の多様化が進み、それに伴い多数のマイノリティが誕生し、時のマジョリティやメインストリームがいつしかそれらに凌駕され廃れていく時代であるのは誰もが実感するところ。しかし一般に、人並み外れていること──可愛らしさ、美しさ、一芸に秀でていることは相変わらず称賛され、憧れ、求められる──そうした事実は昔も今も変わらないが、それ自体が凡庸であるというパラドックスには注目しておきたい。 故きを温ねて新しきを知れば、歴史は時の螺旋階段を上りながら繰り返されているのが理解できる。歴史を動かす──人々に螺旋階段を上らせるのは invention よりも少しばかり気の利いた innovation であることが多い。それを生み出すヒントは世間一般の「凡庸さ」の中にある。 今週のサウンドキッチンは、感覚派のシェフこと @daycraze と分析派の @nitecruise の間で交わされる、もうひとつの「よくある会話」を中心にお届け。番組開始から1年を迎えようとする今、目新しい食材は何もなく、ありモノのネタを「どう料理するか」だけがイノベーションの鍵となる局面。保守と革新が交錯する某国の政局を思わせるが、そこに漂う緊張感は全くない 番組で紹介したイベント: 7/13〜20:エンディング・テーマ曲の座を勝ち取れ!コンテスト 7/20:FM小金井開局1周年記念イベント 番組に関するお問合せ: FM小金井 〒184-0004東京都小金井市本町6-5-3 シャトー小金井1階 (消防署側) TEL/FAX: 042-207-7777 110716 Texture artwork used in the movie by courtesy of Jen. photo credit: Sam, W
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@daycraze's sound kitchenBy Clumsy Music / Office KZ