数字の台湾

数字の台湾 - 2025-05-26-「2割」


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「2割」

昨年(2024年)台湾全土で起こった交通事故による死傷者のうち「車両が歩行者に道を譲らなかったこと」によって死亡した歩行者の割合

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台湾は日本と同様法律により「歩行者優先」が定められており、違反した場合、罰金措置もありますが、それでも一部の運転手は依然として歩行者優先を守っていない状況が続いています。そのため海外メディアなどによりよく「台湾は歩行者地獄」と汚名がつけられ批判されてしまうことも。

ちなみに交通部(日本の国土交通省に類似)は、「道路交通管理処罰条例 関連規則」という法律により罰則を規定しているのですが、この第44条第4項によると、以下の二つのケースが「歩行者優先」の違反の対象となります。

一つ目は「横断歩道または法的に歩行者が横断可能とされる交差点において、歩行者が通行中にもかかわらず、運転者が停止して道を譲らない行為」

二つ目は「杖を持つ人や盲導犬を伴う視覚障がい者に対して道を譲らない行為」

と定めています。

台湾といえば、多くの人が日常生活で車のほかバイクを利用している「バイク大国」であることは広く知られています。交通部の統計によると、今年2月時点のバイクの保有台数は、台湾全土でなんと、3人に2人の割合で保有していることに当たる1466万台に達し、その保有率は世界一高いことが判明しています。橋の上で、多くのバイクに乗った人が一つの方向を向いて信号待ちをしている、そんな写真や映像を見たことがある人もいらっしゃるのではないかと思います。

それなのに国土は日本の九州地方よりやや小さめと狭く、そこに約2300万人が暮らしており、人口密度はおよそ640人/km2 と、日本の約2倍に上ります。特に北部・台北市や南部・高雄市といった主要都市の人口密度は高く、狭い道路に多くの車やバイクが行き交うため、日頃から、運転する側、歩行者側、どちらも安全に気をつけて過ごす必要があります。

私は台北市に住んでいますが、私自身も歩行者優先を守らない車やバイクに遭遇することがしばしばあります。私が横断歩道を渡り切るのを待たず先にカーブをするのです。実際、一度だけではありますが、私が青信号で横断歩道を渡っている時に曲がってきた車に衝突され怪我をしたこともあります。その時は不幸中の幸い、相手がそこまでスピードを出していなかった上、頭は打たなかったため、救急車で運ばれたもののそこまで大きな怪我とは判断されず今は元気なんですが、あの時の恐怖と痛みはもう絶対に経験したくはありません。台湾ではこのように、人が多く行き交う交差点であってもなんらかの原因で歩行者優先を守らずに走行するケース、そして、狭い道にひしめき合うバイクによる事故も少なくないため、本当に危険です。今年3月には高雄市内の交差点で日本人観光客の60代女性が乗用車と衝突し亡くなったというニュースも報道されました。現場は事故当時、歩道と車道の境界線として縁石のみが設置されていおり、境目はあやふやな状況でした。事故を受け、その翌月には現場付近の歩道の一部にガードレールを設置し、歩道の路面を緑色に塗装するなど、安全対策の強化を図る対策が敷かれたほか、市内の他の歩道に対してもガードレールを設置することが決まりました。また、将来的には同じエリアの歩道を車道より一段高くすることで、より歩道と車道の境界を明確にする方針だということです。

交通部によると、昨年一年間に交通事故で死傷した歩行者数は合計約1万7000人に上り、その前の年の2023年と比べ約500人減少しました。死亡した歩行者の数だけでみても2023年は380人でしたが、2024年には366人まで減少しました。ただ交通事故による死亡者のうち約2割が、先ほど紹介した日本人女性が亡くなった事故のような、歩行者優先を守らなかった車両による死亡者なのです。

交通部は他に、一年間での各県市別の交通事故死亡者数も発表しています。

それによると、交通事故全体の死亡者数は、高雄市が最も多く、昨年は310人でした。歩行者が亡くなった事故だけをみてみると、中部・台中市で最多となり、その数は前の年2023年より8人増加の55人でした。この55人を年齢別でみると、65歳以上の高齢者が37人で、全体の半数以上を占めています。

実は台中市は以前から歩行者の死亡者数が高止まりの状態が続いています。交通部は歩行者死亡事故の大半を占めているのは、やはり車両が歩行者に優先的に道を譲らなかったことによるもので、もう一つの主な原因は、歩行者が標識に従って道路を横断しなかったことである、と発表しています。またある学者は、台中市に多数存在する「不規則な形状の交差点」が関係していると指摘しており、市に対し「そういった全ての交差点を点検し、それぞれに合った改善計画を立てるべきだ」と提案しました。これに対し台中市は、「今後、交差点の状況改善に力を入れる方針である。他には、警察による厳格な取り締まりを行っていきたい」と強調しました。

交通部では約2年前の2023年6月30日に「歩行者優先」違反の罰則を刑罰とは別の、違反者に制裁として科す行政罰の一つ「過料」の額を引き上げる方法で強化しています。結果、先ほどもお伝えしたように交通事故による歩行者の死傷者数が一年間で約500人減少するなど一定の改善が見られました。

そのため、交通部は今月初め、さらなる「歩行者優先」の徹底に向けた取り組みを発表しました。それは、「過料」の額を更に引き上げること。歩行者妨害によって軽傷を負わせた場合の罰則をこれまでの7200元(約3万5000円)から1万8000元(約9万円)に、重傷を負わせた場合、これまでの8000元(約9万円)から3万6000台湾元(約17万円)に引き上げました。この重傷を負わせた際の3万6000台湾元というのは、引き上げられる前の現時点における、歩行者優先を守らず死亡させた時と同額になります。また今後は、結果的に歩行者が重傷・死亡となった場合、運転手の運転免許を取り消すとの文言が付け加えらています。この改定案は早ければ今年6月末までに施行される見通しです。

今回の改定案を含めた取り組みにより、交通部は2023年に閣議決定された「交通事故による死者数を2030年までに30%減少させる」という目標を達成させたいとしています。

*私からの一言

台湾に限らずどの国でも交通事故はつきものです。

被害者、加害者、どちらにもならないよう日頃から心がけなければなりませんね。

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数字の台湾By 豊田 楓蓮, Rti