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「ぼうさいこくたい(防災推進国民大会)」は、産・学・官・民の多様な主体が結集し、国民全体の防災意識向上と知見の共有を図る日本最大級の防災イベントです。
2015年に仙台で開催された第3回国連防災世界会議において「仙台防災枠組2015-2030」が採択されたことを契機に、政府や関係機関が連携し、国民一人ひとりの防災意識の向上や「自助・共助」の取り組みをさらに推進することを目的として2016年に始まりました。第2回は仙台で開催されています。
行政、企業、大学、NPO、地域団体などが日頃の防災活動や最新技術、復興の知見を発表・交流するプラットフォームとしての役割を担っています。現地での講義型セッションや体験型ワークショップ、屋外車両展示などに加え、オンライン配信を組み合わせたハイブリッド形式を展開しており、子どもから専門家まで誰もが身近に防災を学べる場が提供されています。
11回目を迎える今年は、鳥取県のエースパック未来中心、鳥取県立美術館周辺などを会場として、10月17日(土)・18日(日)の2日間にわたり開催されます。
「共に考え・備え・守る ~『支え愛』で守る命と暮らし~」をテーマに、発災から10年を迎える鳥取県中部地震をはじめ、さまざまな災害の教訓を踏まえ、地域での助け合いの重要性を全国へ発信します。気候変動に伴う災害の激甚化や人口減少が進む中、専門知識やテクノロジーを地域社会の「共助」へとつなげ、国民一人ひとりが主体的に行動できる「災害に強い社会づくり」を牽引していくことが大きく期待されています。
春からエルニーニョ現象が継続しており、冬に向けてさらに発達する見通しです。エルニーニョは太平洋赤道域の東部から中央部にかけての海面水温が平年より高くなる現象で、世界中に異常気象をもたらします。通常、東風(貿易風)によって西側に集められている暖かい海水が、風が弱まることで東へ広がり、その結果、海面水温を押し上げます。水温が高くなった海域では激しい上昇気流によって積乱雲が発達します。この大気の「エンジン」が赤道付近の西側から東へ移動することで地球全体の空気の流れが変わり、各地で干ばつや森林火災、大雨などの災害を引き起こすのです。日本では冷夏、暖冬になる傾向があります。過去最強だった1997〜98年のエルニーニョでは、監視海域の水温が平年より3.6度高くなりましたが、今年8月時点ですでに3.4度高くなっています。このままいけば、今冬にかけて観測史上最強の記録を大幅に塗り替える可能性が高まっています。一方、エルニーニョ現象が起きると日本では冷夏、暖冬になるという「常識」は、地球温暖化の影響もあって崩れつつあります。地球温暖化は従来の気象パターンを塗り替え、これまでの「経験則」だけでは予測できない新たなリスクをもたらしていることに注意する必要があります。
10月は国際的な記念日や大型イベントの開催、季節特有の災害リスクへの備えなど、防災意識を高めるための話題が数多く重なる時期です。
国際防災の日(10月13日):1989年に国連が制定した国際的な記念日で、自然災害による被害軽減やリスク管理を目的として、世界各地で啓発セミナーやワークショップが実施されます。また、気候が安定する秋口は、「ぼうさいこくたい」をはじめ、各地の自治体などが主催する体験型防災フェスタや避難訓練が多く開催されます。一方、10月は急発達する秋台風や秋雨前線の停滞による大雨・土砂災害が発生しやすい季節でもあり、ハザードマップや避難情報の確認、風雨前の自宅周辺の点検が必要です。
2004年の新潟県中越地震(10月23日)や2016年の鳥取県中部地震(10月21日)など、過去に大きな地震が発生した時期でもあります。新潟県中越地震では、集落の孤立や土砂災害への対応、車中泊に伴うエコノミークラス症候群対策、ボランティア連携の重要性が明確になりました。鳥取県中部地震では、住宅の耐震化や瓦被害対策に加え、高齢化地域における「共助(地域の助け合い)」と迅速な情報共有の不可欠さが浮き彫りとなり、日頃の備えと支え合いの教訓を伝えています。気温が下がり始める季節のため、非常用持ち出し袋にアルミ保温シート、使い捨てカイロ、防寒着などを加える「季節に応じた備蓄の点検」が推奨されます。
熊本地震をはじめとする大規模自然災害では、被災した歴史資料や未指定文化財を救い出す「被災史料レスキュー」が、地域の歴史・文化の途絶を防ぐ重要な役割を果たしてきました。7月の熊本地震での活動の特徴、現状や課題は以下の通りです。
・レスキュー活動の特徴
熊本地震では発災から約1週間で「熊本史料ネット」が設立され、大学(熊本大学等)、行政、学芸員、市民ボランティア、全国の史料ネットなど官・学・民が即座に連携しました。また、過去に県や図書館が整備していた「古文書所蔵家リスト」などの台帳があったため、被災状況の把握と優先的な救出作業が円滑に進みました。そこで、国や自治体の指定文化財だけでなく、一般の旧家や庄屋跡に残る古文書・民俗資料など、放置すれば失われてしまう民間所有の「未指定文化財」の救出を主軸としました。過去の災害教訓を踏まえ、文化庁や国立文化財機構の「文化財防災ネットワーク」と全国各地の民間史料ネットが連動する初動・救援スキームが確立されています。現在、救出された史料(泥汚れ・水損・カビ被害など)に対する乾燥・クリーニング、燻蒸処理、目録作成やデジタルアーカイブ化など長期的な整理・修復が進められています。
・直面している課題
被災した住宅の再建が進まない場合、史料を元の場所へ返還できません。これを長期・永久保存する公文書館や総合博物館などの地域インフラが不足しています。また、震災後の公費解体や過疎化・世代交代により、所有者や解体業者が史料の価値に気付かないまま「ゴミ」として廃棄してしまうリスクが絶えません。
熊本県では、9月3日から、被災した文化財を救出し、所有者の自宅等の再建まで一時保管を行う救援活動(文化財レスキュー事業)を本格的に開始しました。活動は、8月6日から緊急的に実施していましたが、9月3日からは文化庁及び国立文化財機構と連携し、全国から継続してレスキュー隊を熊本県に派遣する形での救出活動が本格的に始まりました。レスキュー隊は、熊本史料ネット等の学術団体や博物館協会等の関係団体を対象として募集した方々により構成されています。
災害科学国際研究所 災害医学研究部門/災害医療国際協力学分野教授 江川新一先生
災害科学国際研究所の「災害レジリエンス共創センター」は、研究成果を社会に実装し、地域社会と人のレジリエンスを向上させるために2022年に設立されました。全国の災害研究者と災害研の研究者が、さまざまな共同研究を行っています。とくに力を入れているのが、災害デジタルツインと災害情報利活用センター(DDUC)です。災害リスクを軽減する防災を推進し、被害からしなやかに回復するための研究成果についてお話します。
インドネシア・スンダ海峡に位置するクラカタウ(およびその跡地に生まれたアナク・クラカタウ)は、火山体の崩壊や海洋噴火に伴う大規模津波を繰り返し引き起こしてきた世界的に知られる活火山です。
・1883年8月26日〜27日 巨大噴火・大津波(噴火警戒レベル6の超巨大噴火)
山体が劇的に崩壊、海水の急激な流入を伴う大爆発により、最大40m超の巨大津波が発生。スンダ海峡沿岸(ジャワ島・スマトラ島)で36,000人以上が死亡し、数百の沿岸集落が流失。噴煙が高度約80km(成層圏)まで達し、大量のエアロゾルにより地球の平均気温が翌年約1.2℃低下したと言われています。
・2018年12月22日 アナク・クラカタウ山体崩壊・津波(噴火警戒レベル3)
継続していた噴火活動により、1927年以降に成長した新島「アナク・クラカタウ」の南西斜面が海中へ滑り落ちる巨大山体崩壊が発生。大きな地震を伴わなかったため地震警報が出ないまま津波が沿岸へ到達。ジャワ島西部およびスマトラ島南部の沿岸に数メートルの津波が押し寄せ、430人以上が死亡、14,000人以上が負傷・被災。山体崩壊により島の標高が約338mから約110mへと一気に減少し、島自体の体積も約3分の2が消失。
・2026年9月5日アナク・クラカタウ山噴火(噴火警戒レベル2〜3)9月4日深夜から5日午前にかけて連続的な噴火が発生し、夜間には溶岩噴泉や地鳴り・轟音が観測されました。噴煙・火山灰の高度は最大で上空約15,000mに達し、火口から半径3km以内への接近および一切の立ち入り活動が禁止されています。ジャカルタは東南アジアの主要ハブであるため、シンガポール、クアラルンプール、シドニー、ドーハなどを結ぶ国際線の欠航・遅延が相次ぎ、国際物流や人流に直接的な滞りを与えています。
災害科学国際研究所 災害医学研究部門/災害医療国際協力学分野教授 江川新一先生
地震や津波などのハザードを生き抜いたあとに、避難生活や復旧・復興の過程で心身の健康状態を崩し亡くなってしまうのが災害関連死です。南海トラフ地震では2万人以上の災害関連死が発生するかもしれないという予測が内閣府から発表されています。災害関連死の統計を正確にとり、その背景にある健康被害を少なくするためにはどうしたらよいかについてお話します。
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