お聴きいただきありがとうございます。一期一会をテーマに、出会いと別れの繰りかえしを音楽的に表現しようと試み、山場と谷間のコントラストを強め連続させることでテーマそのものを楽曲の構造に落としこもうと構想を練りました。「会うは別れの始め」ということばに示されるとおり、出会いは別れのはじまりであり別れは出会いの終着点と、この二語は一対の関係にあります。あらゆるつながりは出会いと別れの中間地点であり、つながりとは出会いと別れの境目に過ぎません。つながりという概念を通して対となるこの二語について考えを巡らすうちに、逢うも別れるも「個のつながりが明滅するさま」による回り合わせとの解釈に至りました。個はつながりのランプを明滅させ、周期の綾には邂逅や運命があらわれ、広い視点を持てば夜景さながら明滅するランプの集合に人の社会美が浮かびあがります。出会いと別れに彩られた一期一会の夜景には終わりの美とはじまりの優がうかがえ、ここに音楽形式のひとつ「提示・展開・結尾」との親和性を感じとったとき、15周年の楽曲テーマにふさわしいミーニングだという印象を抱きました。メロディは弦楽器を基調に木管と金管楽器で整え、アンティークの雰囲気を感じられるハープシコードをメインに響きのいい打楽器を合わせています。主題の入りはピッコロという小さなフルートで切りこみ、逆再生の鍵盤による底支えで全体の音を広げました。ここに至る一期一会の連なりをたいせつに、別れすらも次ぐつながりの一環であることを考えながら、人と音楽の出会いの輪がこれからも広がっていくといいなと思います。お聴きいただきありがとうございました。