田舎坊主の読み聞かせ法話

田舎坊主の愛別離苦<突然の別れ>ーご遺族に贈った讃嘆文ー


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A君の葬儀の際に私はご遺族に次のような讃嘆文を送った。

消滅変化は人、世の常なりと雖も、

この若き前途有望なる青年を突如にして、

しかも卒然と兜卒浄土(とそつじようど)へ送りたもう命運の悪戯(いたずら)は、

愛する親族に計り知れぬ哀しみをもたらしました。

思うに故人はその優秀賢徳なる才能を以て、

医療の最前線においてその実力を遺憾なく発揮され、

周囲の人望篤く、

長き人生において多くの患者の支えとなるであろうことは、

全ての上司、知己(ちき)が認めるところでありました。

されど哀しい哉、悲しい哉、

優しきご両親と最期の言葉を交わすこともなく、

無念にして儚くも冥界の供となられたのであります。

 この意に鑑み、謹んで「優光院」の院号を贈ります。

           瑞宝山不動寺 良恒 合掌

葬儀をすませて、A君の父上から次のような言葉をいただいた。

「いい戒名をありがとうございました。多くの息子の友人や同僚がお参りしてくれました。その中の一人が、『葬儀に来る前から、きっと彼の戒名には優という字が入ってると思ったけど、やっぱり入ってました。本当にだれにでも優しい人でしたから』と涙ながらに言ってくれました。・・・・よく考えてみると、息子のことを余り知りませんでした。でも葬儀にお参りいただいた友人の方々の言葉から、息子は本当にみんなに優しい子だったんだなって。そしてみんなに役立つ立派な仕事をしていたんだなと分かりました」

その後送られてきた診療放射線技師国家試験に合格したとの通知は、両親の知らないうちに寸暇を惜しんで勉強し、受験し、自ら研鑽を惜しまなかったわが子の成長を再認識させられるものであった。

ご両親にとって息子の死から学んだことは、悔やみきれない悲しみだけを抱き続けるのではなく、家族とのかかわり方、自分の生き方の自問自答となったということである。

合掌

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7月からのシーズン3の読み聞かせ法話の本は

2009年に出版した「田舎坊主の愛別離苦」です。

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田舎坊主の読み聞かせ法話By 田舎坊主 森田良恒