田舎坊主の読み聞かせ法話

田舎坊主の愛別離苦<突然の別れ>ー医師不足ー


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救急患者のたらい回しが問題になっている。

十数回病院から断られ、命をなくした患者さんも少なくない。9ヶ所の病院で断られた妊婦が亡くなり、胎児がかろうじて救われたことも報道されていた。

苦しんでいる患者を前にして、家族にとってみれば、救急車が来てくれただけで半分助かったように思うところだが、現実はどうも違うようだ。

救急医が少ない、専門医が少ない、麻酔医が少ない、レントゲン技師が少ないという、いわば、救急医療にかかわる医療スタッフの不足が大きな問題なのである。

救急の場合、一人の医師だけでは対応できないことがほとんどで、これらの先生が絶対的に不足していることが「たらい回し」という現状をつくり出しているともいえるのではないだろうか。

「たらい回し」の現状について、ある医師はテレビのドキュメンタリーで次のように話していた。

「私たちは患者を受け入れるのがいやで断っているのではありません。そんな医師は一人もいないと思っています。受け入れたいのは山々なんですが、悲しいかな、マンパワー不足のため受け入れられないのです。私たち救急にかかわる医師たちは、例外なく不眠不休という体力の限界のところでがんばっています」

 こう訴えるように話していたのが印象に残っている。

今、医師不足が声高に叫ばれている。

とくに小児科医や産婦人科医のなり手が少ないという状態が続いている。その理由は、診療時間が不規則でしかも医療裁判が最も多い分野ということ。そういうリスクの多い医師をめざす人が少なくなっているのである。

国は産婦人科での医療事故の民事訴訟が増大していることを踏まえて、「無過失補償制度」というものを導入し、医師の産科離れを防ごうという動きも始まっている。これは産婦人科において、医師の過失の有無に関わらず障害(脳性マヒ)を負った場合、国が患者側に経済的補償をおこなうというもので、患者側の生活保障をおこなうと同時に、増加する長期の医療裁判や高額な補償金支払いによる産婦人科医離れをなくし、産科医を増やそうというものである。

しかし実際には、度重なる患者の「たらい回し」や救急医療が受けられず亡くなる人がいる。国は「臨床研修医制度」の再検討や医大の定員枠を拡大しようと動き出しているが、この問題の解決はまだまだ難しいようである。

合掌

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7月からのシーズン3の読み聞かせ法話の本は

2009年に出版した「田舎坊主の愛別離苦」です。

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田舎坊主の読み聞かせ法話By 田舎坊主 森田良恒