田舎坊主の読み聞かせ法話

田舎坊主の愛別離苦<戦争では平和になれない>ー私は戦争経験なしー


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テレビのニュースで、イスラエルのガザ地区への爆撃が大きく報道されていた。

どちらが「善」で、どちらが「悪」か、どちらが挑発してどちらが正当化しているのか─私には難しいことは分からない。

ましてや千年単位の歴史のなかで、宗教と民族の対立には特効薬がないような気がするのも事実だ。

しかし、自国他国を問わず、誰かが知恵を働かせ、解決してほしいと願うのは、テレビから映し出される───血だらけの女性、泣き叫ぶ子ども、肩から先をなくした瀕死(ひんし)の子ども、目の前で家族全員が銃撃されたと震える声で話す少女、白リン弾と思われる攻撃で全身大やけどの老人たち───現状を見せられたとき、決して戦争では何も解決しないし、むしろ憎しみの連鎖が続いてしまうと思うからだ。

私は戦後生まれで、戦禍も空襲も疎開も知らない。

子どものころ親父から南方ラバウルの戦線へ行ってそこでマラリアに罹り、広島の戦傷病棟へ強制送還され、その病院で終戦を迎えたため生きて帰ってくることができたとよく聞かされた。

ふだん寡黙(かもく)な父が酒を呑んで唄う歌は、昭和18年頃からラバウルではやったらしい「さーらば ラバウルよ また来る日までー」という『ラバウル小唄』と、坊主の修業(しゆぎよう)時代にはよく怒られたものだといって『叱られて』という童謡の二曲だけだった。

戦争にかかわることでこれ以外知っているのは、テレビの向こうで繰り広げられるアフリカの内戦だったり、アフガンだったり、イラクだったり、イスラエルとガザであって、現実ではあっても外国の出来事だけである。

ある人は「自分の国を自分で守るのは当然だ」といい、「アメリカが守ってくれる保障はない」という。

「自衛隊は軍隊なのだから、堂々と軍隊を名乗るべきだ」といい、「イラクにもアフガンにも自衛隊を派遣すればいい」という。

「力の均衡が戦争を抑止するのだ」といい、「核保有も検討すべき」という。

いろいろな言い分があるだろう。しかし、現代(いま)、戦争になれば昔とは比べものにならないほどの悲劇、惨劇は想像に難くないし、広島の平和記念館に展示されているような想像を絶する悪夢が、軍人だけではなく子どもや女性にふりかかることは、私には耐え難いことである。

さらに愚かな開発は進み、新型化学兵器の及ぼす被害は、たとえ一命をとりとめたとしても、一生被害者の人生とその家族の人生を狂わせてしまうことは容易に想像でき、やはり戦争は何も生み出さないのである。

合掌

7月からのシーズン3の読み聞かせ法話の本は

2009年に出版した「田舎坊主の愛別離苦」です。

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田舎坊主の読み聞かせ法話By 田舎坊主 森田良恒