
Sign up to save your podcasts
Or
私は現在72歳になるが、今までの人生で戦争を経験しなかったことは、個人的にはやはり憲法九条が大きな役割を担ってくれていたからだと考えている。
今から14年前、ある人から、この地区で憲法九条を守る「九条の会」を結成したいので、発起人になってくれないかと頼まれた。
私は快諾し、設立総会で次のような代表挨拶をした。
・・・・・・・・・・・・・・・
多数ご参加いただき、ありがとうございます。
呼びかけ人を代表してご挨拶申し上げます。
昨年(2004年)6月、作家の大江健三郎さんや井上ひさしさんが呼びかけられ結成された「九条の会」が今、全国的に広がりつつあります。
この主旨は「九条があるからこそ、日本は戦後60年、戦争で人を殺すこともなければ殺されることもなかったし、東北アジア各国の安心と紛争予防の効果を大きく担っていた」と自分なりに解釈しています。
20世紀は「戦争の世紀」であり、その反省のもと21世紀は「心の世紀」だといわれました。
にもかかわらず 9.11テロ(アメリカ同時多発テロ)をきっかけとして、21世紀に入った途端、アメリカ軍によるアフガニスタンへの空爆、その後イラクへの侵攻がはじまり、イラク自治政府に移行した現在もなお悲劇は続いています。
このようなアメリカの武力による紛争解決に、日本が大手を振って協力できるようにしようとしているのが、いまの憲法九条改正の動きのように思います。
私には特定の政治的な信条も信念も持ち合わせてはいませんし、難しいことはよく分かりません。ただこの国の進みようが、何か第九条が放棄した武力をもう一度手にして、国際紛争を解決する手段としようとしているように思えてなりません。
私は和歌山県難病団体連絡協議会という難病患者・家族会を平成元年に結成し、現在、会長を務めさせていただいています。
昭和47年から始まった難病対策事業は事業の効率化、負担の公平化、他制度との整合化などを理由に大きく患者負担が増加し続けています。
特に1998年の難病対策の見直しで、それまで25年間、難病の原因や治療法研究のために患者の治療情報をモルモット代わりとして提供する代償として、医療費をすべて公費負担で賄われていたものが、難病患者にも一部自己負担が導入されました。
これにより国は60億円節約することになりました。この60億円があれば、全国の難病患者約53万人が安心して医療を受けることができます。
皮肉なことにこの年に一機185億円の戦闘機があらたに予算計上されました。非常に単純な比較で申し訳ございませんが、約53万人の難病患者の医療費自己負担約3年分で、戦闘機一機が配備されたことになります。
これも武力で国際紛争を解決できるようにする備えなのでしょうか。
戦争によって表面化するものは、無機質な国と国との力関係であったり、銃撃や爆撃などをゲーム感覚で捉えてしまう、ある種の麻痺感のようなものだけです。
しかし現実は、わが家やふるさとを破壊し、家族を亡くし、多くの障害者をつくり、孤児を生み、想像できないほどの恐怖は純朴な精神まで冒すこととなります。そしてすべての希望や楽しみはもちろんのこと、文化や歴史までも奪い去ってしまいます。
反面、ただ生み出すものといえば、悲しみと憎しみだけであります。このことをこの国が60年前に経験したからこそ、「戦争の放棄と、二度と過ちは起こさない」という決意のもと、「九条」を含む憲法が制定されたのではないでしょうか。
今、この国にとって必要なものは戦車や戦闘機や武器ではなく、外交や話し合いに崇高な智恵をもって実践することであり、今、私たちに必要なものは民間ベースでの多国間交流などを通して、すべての国々の人々をいとおしく思う豊かなかかわりを持つことだと思います。
わたしどもの呼びかけにご賛同賜りますよう、あらためてお願い申し上げ、ご挨拶といたします。
平成17年4月23日
発起人代表 住職 森田良恒
・・・・・・・・・・・・・・・
7月からのシーズン3の読み聞かせ法話の本は
2009年に出版した「田舎坊主の愛別離苦」です。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
田舎坊主シリーズ
「田舎坊主の合掌」https://amzn.to/3BTVafF
各ネット書店、全国の主要書店で発売中です。
「田舎坊主の七転八倒」https://amzn.to/3RrFjMN
「田舎坊主の闘病日記」https://amzn.to/3k65Oek
「田舎坊主の愛別離苦」
「田舎坊主の求不得苦」 https://amzn.to/3ZepPyh
電子書籍版は
・アマゾン(Amazon Kindleストア)
・ラクテン(楽天Kobo電子書籍ストア)
にて販売されています。
私は現在72歳になるが、今までの人生で戦争を経験しなかったことは、個人的にはやはり憲法九条が大きな役割を担ってくれていたからだと考えている。
今から14年前、ある人から、この地区で憲法九条を守る「九条の会」を結成したいので、発起人になってくれないかと頼まれた。
私は快諾し、設立総会で次のような代表挨拶をした。
・・・・・・・・・・・・・・・
多数ご参加いただき、ありがとうございます。
呼びかけ人を代表してご挨拶申し上げます。
昨年(2004年)6月、作家の大江健三郎さんや井上ひさしさんが呼びかけられ結成された「九条の会」が今、全国的に広がりつつあります。
この主旨は「九条があるからこそ、日本は戦後60年、戦争で人を殺すこともなければ殺されることもなかったし、東北アジア各国の安心と紛争予防の効果を大きく担っていた」と自分なりに解釈しています。
20世紀は「戦争の世紀」であり、その反省のもと21世紀は「心の世紀」だといわれました。
にもかかわらず 9.11テロ(アメリカ同時多発テロ)をきっかけとして、21世紀に入った途端、アメリカ軍によるアフガニスタンへの空爆、その後イラクへの侵攻がはじまり、イラク自治政府に移行した現在もなお悲劇は続いています。
このようなアメリカの武力による紛争解決に、日本が大手を振って協力できるようにしようとしているのが、いまの憲法九条改正の動きのように思います。
私には特定の政治的な信条も信念も持ち合わせてはいませんし、難しいことはよく分かりません。ただこの国の進みようが、何か第九条が放棄した武力をもう一度手にして、国際紛争を解決する手段としようとしているように思えてなりません。
私は和歌山県難病団体連絡協議会という難病患者・家族会を平成元年に結成し、現在、会長を務めさせていただいています。
昭和47年から始まった難病対策事業は事業の効率化、負担の公平化、他制度との整合化などを理由に大きく患者負担が増加し続けています。
特に1998年の難病対策の見直しで、それまで25年間、難病の原因や治療法研究のために患者の治療情報をモルモット代わりとして提供する代償として、医療費をすべて公費負担で賄われていたものが、難病患者にも一部自己負担が導入されました。
これにより国は60億円節約することになりました。この60億円があれば、全国の難病患者約53万人が安心して医療を受けることができます。
皮肉なことにこの年に一機185億円の戦闘機があらたに予算計上されました。非常に単純な比較で申し訳ございませんが、約53万人の難病患者の医療費自己負担約3年分で、戦闘機一機が配備されたことになります。
これも武力で国際紛争を解決できるようにする備えなのでしょうか。
戦争によって表面化するものは、無機質な国と国との力関係であったり、銃撃や爆撃などをゲーム感覚で捉えてしまう、ある種の麻痺感のようなものだけです。
しかし現実は、わが家やふるさとを破壊し、家族を亡くし、多くの障害者をつくり、孤児を生み、想像できないほどの恐怖は純朴な精神まで冒すこととなります。そしてすべての希望や楽しみはもちろんのこと、文化や歴史までも奪い去ってしまいます。
反面、ただ生み出すものといえば、悲しみと憎しみだけであります。このことをこの国が60年前に経験したからこそ、「戦争の放棄と、二度と過ちは起こさない」という決意のもと、「九条」を含む憲法が制定されたのではないでしょうか。
今、この国にとって必要なものは戦車や戦闘機や武器ではなく、外交や話し合いに崇高な智恵をもって実践することであり、今、私たちに必要なものは民間ベースでの多国間交流などを通して、すべての国々の人々をいとおしく思う豊かなかかわりを持つことだと思います。
わたしどもの呼びかけにご賛同賜りますよう、あらためてお願い申し上げ、ご挨拶といたします。
平成17年4月23日
発起人代表 住職 森田良恒
・・・・・・・・・・・・・・・
7月からのシーズン3の読み聞かせ法話の本は
2009年に出版した「田舎坊主の愛別離苦」です。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
田舎坊主シリーズ
「田舎坊主の合掌」https://amzn.to/3BTVafF
各ネット書店、全国の主要書店で発売中です。
「田舎坊主の七転八倒」https://amzn.to/3RrFjMN
「田舎坊主の闘病日記」https://amzn.to/3k65Oek
「田舎坊主の愛別離苦」
「田舎坊主の求不得苦」 https://amzn.to/3ZepPyh
電子書籍版は
・アマゾン(Amazon Kindleストア)
・ラクテン(楽天Kobo電子書籍ストア)
にて販売されています。