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はじめに
私が人生で見送った家族は、両親、そして1980年10月に次女、1992年5月に前妻、2017年8月に妻です。
現在(出版当時)、68歳の老僧ですが、おかげさまで私自身は田舎坊主として自坊不動寺の住職を務めながら、長期にわたり家族の看病・介護を続けてくることができました。
とはいえ、私も高脂血症、痛風、高血圧、高血糖、大腸憩室炎等々の持病を持ち、薬を手放せない状態です。
ただ、死を意識しなければならないような大病や長期入院をすることなく、病気によって寺務を滞らせることなく過ごせたことに、心から感謝しています。
ところがついに、そんな私にも大病が襲ってきたのです。
それは腸腰筋膿瘍と化膿性脊椎炎という、長く難病患者会に携わってきた私にとっても初耳の病気でした。
腸腰筋膿瘍はお腹の奥にある腸腰筋という筋肉に膿がたまる病気で、一般的には免疫力が落ちたかなりの高齢者がかかる病気だそうです。
また化膿性脊椎炎は簡単に言えば、「腰椎が溶ける」病気だそうです。私の場合、腸腰筋のばい菌が腰椎に浸潤し、骨を溶かしてしまったのです。とにかく痛い病気です。しかも炎症は全身の血液や関節にもおよび、私の場合、敗血症の危険もありました。
ちなみに、寺務は高野山で修行を済ませた娘夫婦が僧侶として自坊で勤めてくれているので、この病気になる直前まで私のは妻の介護に明け暮れていたのです。
しかし、私の突然の入院により、すべて私に頼っていた妻は急きょ、施設へ仮入所、そして数日後に肺炎を発症し救急入院となりました。
妻は胃ろうの設置を余儀なくされるのですが、その後、この胃ろうも抜いてしっかり口から食べられるようになり、快復を見せてくれました。しかし、退院後二回の心肺停止、そして旅立ちました。
先に旅立った妻の魂は今、私を、そして子や孫たちを見守ってくれています。
それは、長きにわたり妻を見守ってきた私たちに寄り添う魂として生き続けてくれるのでしょう。
この書は私が病気になってから書きとめた入院日記であり、私が病気にならなかったら妻の死もこれほど早くならなかったのではないかとの思いを込めた、妻へのレクイエムでもあります。合掌
はじめに
私が人生で見送った家族は、両親、そして1980年10月に次女、1992年5月に前妻、2017年8月に妻です。
現在(出版当時)、68歳の老僧ですが、おかげさまで私自身は田舎坊主として自坊不動寺の住職を務めながら、長期にわたり家族の看病・介護を続けてくることができました。
とはいえ、私も高脂血症、痛風、高血圧、高血糖、大腸憩室炎等々の持病を持ち、薬を手放せない状態です。
ただ、死を意識しなければならないような大病や長期入院をすることなく、病気によって寺務を滞らせることなく過ごせたことに、心から感謝しています。
ところがついに、そんな私にも大病が襲ってきたのです。
それは腸腰筋膿瘍と化膿性脊椎炎という、長く難病患者会に携わってきた私にとっても初耳の病気でした。
腸腰筋膿瘍はお腹の奥にある腸腰筋という筋肉に膿がたまる病気で、一般的には免疫力が落ちたかなりの高齢者がかかる病気だそうです。
また化膿性脊椎炎は簡単に言えば、「腰椎が溶ける」病気だそうです。私の場合、腸腰筋のばい菌が腰椎に浸潤し、骨を溶かしてしまったのです。とにかく痛い病気です。しかも炎症は全身の血液や関節にもおよび、私の場合、敗血症の危険もありました。
ちなみに、寺務は高野山で修行を済ませた娘夫婦が僧侶として自坊で勤めてくれているので、この病気になる直前まで私のは妻の介護に明け暮れていたのです。
しかし、私の突然の入院により、すべて私に頼っていた妻は急きょ、施設へ仮入所、そして数日後に肺炎を発症し救急入院となりました。
妻は胃ろうの設置を余儀なくされるのですが、その後、この胃ろうも抜いてしっかり口から食べられるようになり、快復を見せてくれました。しかし、退院後二回の心肺停止、そして旅立ちました。
先に旅立った妻の魂は今、私を、そして子や孫たちを見守ってくれています。
それは、長きにわたり妻を見守ってきた私たちに寄り添う魂として生き続けてくれるのでしょう。
この書は私が病気になってから書きとめた入院日記であり、私が病気にならなかったら妻の死もこれほど早くならなかったのではないかとの思いを込めた、妻へのレクイエムでもあります。合掌