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オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」
エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」
作詞作曲 楠元純一郎
編曲 山之内馨
パーソナリティー 楠元純一郎 東洋大学教授
パーソナリティー レオー 美術家
ゲスト 松尾欣治 哲学者・大学外部総合評価者
<LeoNRadio日の出 われらの法学入門17(信託ー財産を他人に管理してもらう方法)>
ラジオ収録20201017
信託
(定義)
信託法2条 この法律において「信託」とは、次条各号に掲げる方法のいずれかにより、特定の者が一定の目的(専らその者の利益を図る目的を除く。同条において同じ。)に従い財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為をすべきものとすることをいう。
受託者自身の利益を図ることを除く→自益信託の禁止
よって→信託とは→特定の者(受託者)が一定の目的に従い、他者のために財産の管理・処分等をすることをいう。他者のための財産管理→管理信託
信託行為→①信託契約、②遺言、③書面・電磁的記録による意思表示(公正証書)
信託財産→受託者に属する財産であって、信託により管理又は処分をすべき一切の財産。
委託者→信託をする者。
受託者→信託行為の定めに従い、信託財産に属する財産の管理または処分およびその他の信託の目的の達成のために必要な行為をすべき義務を負う者をいう。
受託者は自己の利益を図ることは許されない。
受益者→受益権を有する者。(受益の意思表示は不要)
委託者(Truster)
|
|(信託行為)
↓
受託者(Trustee/Fiduciary) 受益者(beneficiary)
(委託者の財産の管理・処分等)←ーーーーーーーーーーーーーー(受益権)
(信託財産にかかる財産の処分・給付)
信託法はもともと英米法の系譜に属する
→わが国は大陸法系→わが国への受容→「水に浮かぶ油のような存在」
英米法系の国々→もっぱら家族間の財産承継の手段(Trustトラスト)
わが国→資産投資の手段(投資信託)
信託の法律関係→事務処理の委託を内容とする委任契約(民643条以下)とは似て非なるもの
<<第三者のためにする契約と信託の違い>>
第三者のためにする契約→当事者の一方が第三者に対してある給付をすることを約する契約。
たとえば、不動産の所有権がA→B→Cと移転する場合に、AB間の不動産移転登記を中間省略する等するために、AとBとの契約ではあるが、所有権をAからCに移転させるもの。
第三者の権利→その者が受益の意思表示をしたときに生じる。
民537条
1 契約により当事者の一方が第三者に対してある給付をすることを約したときは、その第三者は、債務者に対して直接にその給付を請求する権利を有する。
2 前項の契約は、その成立の時に第三者が現に存在しない場合又は第三者が特定していない場合であっても、そのためにその効力を妨げられない。
3 第1項の場合において、第三者の権利は、その第三者が債務者に対して同項の契約の利益を享受する意思を表示した時に発生する。
<<委任契約と信託の違い(財産管理委任契約と家族信託)>>
<財産管理の委任契約>→委任者である本人に判断能力があることを前提とした制度。
委任者が受任者を監督し、不正が起これば解任。
→委任者が認知症になれば意思確認ができない。
父親A(委任者)所有権 (受益者)
↑
↑
委任契約(法律行為の委託)(民643条)
↓ ※法律行為→意思を要素として一定の法律効果を発生させる行為。
↓ 法律行為の中心は契約
資産運用者B (受任者) ーーーーーーーーーー→Aの息子C(第三者)(受益者)
委任者の指示で運用 (運用益・財産の処分)
いつでも辞任可能→民651条
(委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。)
※受任者は委任者に対して、善管注意義務を負う。
第三者の権利の発生に受益の意思表示は必要なし。
<家族信託>
父親A(委託者)
↑
信託契約
↓
資産運用者B (受託者)---------------------------------→ Aの息子C(第三者)(受益者)
形式上の所有権は受託者に帰属
受託者の判断で運用(委託者はいちいち指示しない)
任意の辞任不可
受託者名義に移転された信託財産←受託者が有する他の財産(受託者の固有の財産または他の信託財産)との間で分別管理→受託者個人に対する債権者といえども、信託財産に強制執行できない(信託23条)。受託者において、破産・民事再生・会社更生が開始しても、その影響を免れる(信託25条)。
<<成年後見と家族信託の違い>>
<成年後見>
成年被後見人→精神障害により事理弁識能力を欠く常況→日用品の買い物以外、なんらの法律行為もできない。したとしても、取り消される。
任意後見制度→本人が十分な判断能力のあるうちに、将来、認知症等になって判断能力が低下する場合に備え、あらかじめ自分の選んだ代理人に自分の生活、療養看護、財産管理に関して代理権を与えておく。
有効期間:後見開始から本人の死亡まで
権限:財産の処分のみ→財産は本人のためだけに使える。財産の運用・生前贈与は不可。
本人による契約:取消可能
認知症発症後の相続:継続不可
<家族信託>
有効期間:開始も終了も自由設定
権限:受託者の権限の範囲内で財産の運用、処分が可能。
認知症発症後の相続:継続可能
オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」
エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」
作詞作曲 楠元純一郎
編曲 山之内馨
パーソナリティー 楠元純一郎 東洋大学教授
パーソナリティー レオー 美術家
ゲスト 松尾欣治 哲学者・大学外部総合評価者
<LeoNRadio日の出 われらの法学入門17(信託ー財産を他人に管理してもらう方法)>
ラジオ収録20201017
信託
(定義)
信託法2条 この法律において「信託」とは、次条各号に掲げる方法のいずれかにより、特定の者が一定の目的(専らその者の利益を図る目的を除く。同条において同じ。)に従い財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為をすべきものとすることをいう。
受託者自身の利益を図ることを除く→自益信託の禁止
よって→信託とは→特定の者(受託者)が一定の目的に従い、他者のために財産の管理・処分等をすることをいう。他者のための財産管理→管理信託
信託行為→①信託契約、②遺言、③書面・電磁的記録による意思表示(公正証書)
信託財産→受託者に属する財産であって、信託により管理又は処分をすべき一切の財産。
委託者→信託をする者。
受託者→信託行為の定めに従い、信託財産に属する財産の管理または処分およびその他の信託の目的の達成のために必要な行為をすべき義務を負う者をいう。
受託者は自己の利益を図ることは許されない。
受益者→受益権を有する者。(受益の意思表示は不要)
委託者(Truster)
|
|(信託行為)
↓
受託者(Trustee/Fiduciary) 受益者(beneficiary)
(委託者の財産の管理・処分等)←ーーーーーーーーーーーーーー(受益権)
(信託財産にかかる財産の処分・給付)
信託法はもともと英米法の系譜に属する
→わが国は大陸法系→わが国への受容→「水に浮かぶ油のような存在」
英米法系の国々→もっぱら家族間の財産承継の手段(Trustトラスト)
わが国→資産投資の手段(投資信託)
信託の法律関係→事務処理の委託を内容とする委任契約(民643条以下)とは似て非なるもの
<<第三者のためにする契約と信託の違い>>
第三者のためにする契約→当事者の一方が第三者に対してある給付をすることを約する契約。
たとえば、不動産の所有権がA→B→Cと移転する場合に、AB間の不動産移転登記を中間省略する等するために、AとBとの契約ではあるが、所有権をAからCに移転させるもの。
第三者の権利→その者が受益の意思表示をしたときに生じる。
民537条
1 契約により当事者の一方が第三者に対してある給付をすることを約したときは、その第三者は、債務者に対して直接にその給付を請求する権利を有する。
2 前項の契約は、その成立の時に第三者が現に存在しない場合又は第三者が特定していない場合であっても、そのためにその効力を妨げられない。
3 第1項の場合において、第三者の権利は、その第三者が債務者に対して同項の契約の利益を享受する意思を表示した時に発生する。
<<委任契約と信託の違い(財産管理委任契約と家族信託)>>
<財産管理の委任契約>→委任者である本人に判断能力があることを前提とした制度。
委任者が受任者を監督し、不正が起これば解任。
→委任者が認知症になれば意思確認ができない。
父親A(委任者)所有権 (受益者)
↑
↑
委任契約(法律行為の委託)(民643条)
↓ ※法律行為→意思を要素として一定の法律効果を発生させる行為。
↓ 法律行為の中心は契約
資産運用者B (受任者) ーーーーーーーーーー→Aの息子C(第三者)(受益者)
委任者の指示で運用 (運用益・財産の処分)
いつでも辞任可能→民651条
(委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。)
※受任者は委任者に対して、善管注意義務を負う。
第三者の権利の発生に受益の意思表示は必要なし。
<家族信託>
父親A(委託者)
↑
信託契約
↓
資産運用者B (受託者)---------------------------------→ Aの息子C(第三者)(受益者)
形式上の所有権は受託者に帰属
受託者の判断で運用(委託者はいちいち指示しない)
任意の辞任不可
受託者名義に移転された信託財産←受託者が有する他の財産(受託者の固有の財産または他の信託財産)との間で分別管理→受託者個人に対する債権者といえども、信託財産に強制執行できない(信託23条)。受託者において、破産・民事再生・会社更生が開始しても、その影響を免れる(信託25条)。
<<成年後見と家族信託の違い>>
<成年後見>
成年被後見人→精神障害により事理弁識能力を欠く常況→日用品の買い物以外、なんらの法律行為もできない。したとしても、取り消される。
任意後見制度→本人が十分な判断能力のあるうちに、将来、認知症等になって判断能力が低下する場合に備え、あらかじめ自分の選んだ代理人に自分の生活、療養看護、財産管理に関して代理権を与えておく。
有効期間:後見開始から本人の死亡まで
権限:財産の処分のみ→財産は本人のためだけに使える。財産の運用・生前贈与は不可。
本人による契約:取消可能
認知症発症後の相続:継続不可
<家族信託>
有効期間:開始も終了も自由設定
権限:受託者の権限の範囲内で財産の運用、処分が可能。
認知症発症後の相続:継続可能