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オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」
エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」
作詞作曲 楠元純一郎
編曲 山之内馨
内容摘要
<<20200429第1回(会社法の意義)>>
1 会社ってなに?
みなさん、会社ってなんでしょう?
英語では、Corpotation(米)とかCompany(英)といいますよね。
中国語では、公司、(ゴンス)。
ドイツ語では、Gesellschaft(ゲゼルシャフト)。←社会
フランス語では、entrepriseとか、compagnieとか、société(ソシエテ)。←社会
日本ではあの1万円札の顔、そして慶応大学創始者の、福澤諭吉が「会社」とか「社会」という言葉を日本で初めて造ったのだそうです。社会と会社は、人の集まりという意味で、ほとんど同じものだと考え、社会という文字をひっくりかえして会社にしたとか。
Corporationには法人(legal person or legal entity)という意味もありますね。
Companyは、Com(共に)、Pan(パン)を食べることに由来するとか。同じ釜の飯を食う仲間が会社なんでしょうね。日本の大学生の宴会といったらコンパ、接客業の方はコンパニオンですね。いずれも、会社という言葉と関係があったわけですね!
最近は、新型コロナの影響で世界が激変し、テレワークの時代が到来しましたが、はやり、みんなで集まって食事をしたり、お酒を飲んだりしたりして(成人以上)、また、ワイワイやりたいものですね!
2 会社法ってなに?
会社法は、実質的には商法であり、私人間の権利義務関係を規律する法律です。私人間の権利義務関係を規律する法律を私法(Private Law)といいますが、それには、民法と商法があります。民法は一般の人の日常生活における権利義務関係を規律しているのに対して、商法は商人の企業生活におけるそれを規律しているのです。
商法は民法の特別法です。また、会社法は商事特別法ですから、商法典の特別法でもあります。もちろん、商法典は民事特別法や民法典の特別法です。
民法典が規律する主体には人があって、人には自然人と団体(民法上の組合)・法人(一般社団法人、一般財団法人)がありますが、商法典が規律する商人にも自然人(個人商人)と営利法人(会社)があります。
商法典における商人には個人商人(営利自然人)も含まれるため、規定は商人一般の幅広い概念をカバーするための総則的(あくまでも相対的な概念ですが)な規定ぶりとなっております。個人商人を含む一般商人については、『われらの商法総則』で詳しくお話しします!
一般法と特別法との関係はおわかりですね?要するに特別法があればそれが優先し、特別法がなければ一般法が適用されるという意味です。
それに対して、営利法人である会社の特別規定が会社法です。
3 会社法の対象
会社法に出てくる登場人物にはどのようなものがあるでしょうか?
みなさんがよく知っているであろうのは、社長とか従業員ですね。でも、これらは、実は、会社法上の用語ではないのです!びっくりしました?
会社と会社をめぐる利害関係者のことを、ステークホルダー(stakeholder)といいます。stakeには杭とか賭けという意味がありますね。ここは私の土地だと主張して杭を打った人にはその土地の所有権が認められたということがアメリカの開拓時代にあったとか。あるいは、賭けをする人。いずれも、なんらかの利害関係があるということですね。
では、会社と会社をめぐる利害関係者にはどのようなものがあるでしょうか?
まず、会社内部でいえば、まず、出資者ですね。
株式会社の場合、出資者のことを株主(shareholder or stockholder)といいます。株式会社以外の会社の出資者は社員といいます!会社法上、社員といえば、出資者のことであり、従業員ではありません。
株式会社では株主総会、それ以外の会社では社員総会が置かれ、会社の基礎的重要事項についての意思決定を行います。
株式会社の内部にはほかに、取締役がいます。取締役は経営・管理(management)をします。経営とはなんでしょうか?それは、業務決定や業務執行を指します。取締役が3名以上いる場合、取締役会が置かれ、そこで重要な経営に関する事項を決定します。
株式会社にはいろいろな機関設計があり、その設計の仕方によっては、取締役のほか、代表取締役、監査役会、監査役、監査役会、会計参与、会計監査人を置くことができたり(設置任意)、置かなければならなかったりします(設置強制)。
機関とは、車のエンジンみたいなものです。そもそも、車のボディは箱のようなもので、エンジンがなければ動きませんよね。会社の法人もいわば箱のようなもので、機関がなければ運営できないのです。
機関の役割には、主として、意思決定と意思表示があります。
株主総会の決議、取締役会決議は意思決定に相当し、代表取締役または業務担当取締役の業務執行は意思決定に相当します。
監査役や監査役会は取締役の業務執行を監督検査(監査)します。
監査には業務監査と会計監査があります。
会計監査人は、上場企業のような会社において、公認会計士・監査法人のような会計のプロがその任に当たり、会計監査をします。
会計参与は取締役と共同して計算書類を作成します。
以上が、株式会社内部の経営・管理に関する登場人物です。
あれ?会社内部には従業員もいるのでは?人本主義では従業員の存在が重要視されているのでは?
実は、商法・会社法上、従業員の出る幕は、使用人という名の商業使用人(単なる従業員ではなく、商業代理権を付与された者)の枠でしかありません。
労働法は労働者(従業員)の権利保護を目的としておりますが、商法・会社法は取引の円滑等が目的です。
会社の外部の利害関係者には、取引先(仕入先・顧客等)があります。これらは、会社から見れば債権者(場合によっては債務者)となります。
会社法はこの債権者の保護については規定があります。
会社法上、従業員は、この債権者(賃金債権者)の中に含まれます。
会社をめぐる、それ以外の利害関係者には、地域社会、国家などがあります。
地域住民は、たとえば、会社から公害等の被害を受ければ不法行為債権者(損害賠償請求権者)となり、国家は租税権者となり、その意味では債権者となります。
このように、会社法が保護の対象としているのは、株主と債権者であって、それ以外には関心がないのです。企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility)の議論はともかくとして。
よって、会社法の目的は、株主の利益の最大化(増進)と債権者の保護にあるといってよいでしょう。ただし、一つのパイを株主と債権者で分け合うことから、それらには利害対立が生ずることがあり、そのため、会社法には一定の利益調整原理があるのです。
4 会社の法的性質
さて、会社は法的にはどのようなものでしょうか。
それは、端的にいえば、営利性、社団性、法人性です。会社は営利社団法人なんです。
営利とは利益を追及し、その利益を出資者である社員(株式会社の場合は株主)に分配することです。
社団とは人の集まりの意味です。社員(出資者)が集まって、社員総会(株主総会)を開催しますね。でも、民法上の組合だって、人の集まり(団体)ですが、それは社団とはいいません。民法上の組合は各組合員が契約で結びついていますが、会社のような社団は、社員は社団にぶらさがってはいますが、社員間に契約関係があるわけではありません。社員は社団を通じて、間接的に結びついているだけなんです。ちなみに、財団は物の集まりですね。一般社団法人(一社)と一般財団法人(一財)は民事特別法上の団体です。会社と一社・一財との違いは営利性があるかないかでしょうね。
法人(legal entity)とは、権利義務の主体です。権利義務の主体とは、権利を有し、義務を負うことのできる資格。人がそうですね。法人も人ですから当然です。法人は法が特別に認めた場合にしか認められません。会社の場合、会社法3条で認めています。法人ってなにって聞かれたら、自然人以外の人と答えたらいいです。
はい、今日のところはこのへんで。
オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」
エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」
作詞作曲 楠元純一郎
編曲 山之内馨
内容摘要
<<20200429第1回(会社法の意義)>>
1 会社ってなに?
みなさん、会社ってなんでしょう?
英語では、Corpotation(米)とかCompany(英)といいますよね。
中国語では、公司、(ゴンス)。
ドイツ語では、Gesellschaft(ゲゼルシャフト)。←社会
フランス語では、entrepriseとか、compagnieとか、société(ソシエテ)。←社会
日本ではあの1万円札の顔、そして慶応大学創始者の、福澤諭吉が「会社」とか「社会」という言葉を日本で初めて造ったのだそうです。社会と会社は、人の集まりという意味で、ほとんど同じものだと考え、社会という文字をひっくりかえして会社にしたとか。
Corporationには法人(legal person or legal entity)という意味もありますね。
Companyは、Com(共に)、Pan(パン)を食べることに由来するとか。同じ釜の飯を食う仲間が会社なんでしょうね。日本の大学生の宴会といったらコンパ、接客業の方はコンパニオンですね。いずれも、会社という言葉と関係があったわけですね!
最近は、新型コロナの影響で世界が激変し、テレワークの時代が到来しましたが、はやり、みんなで集まって食事をしたり、お酒を飲んだりしたりして(成人以上)、また、ワイワイやりたいものですね!
2 会社法ってなに?
会社法は、実質的には商法であり、私人間の権利義務関係を規律する法律です。私人間の権利義務関係を規律する法律を私法(Private Law)といいますが、それには、民法と商法があります。民法は一般の人の日常生活における権利義務関係を規律しているのに対して、商法は商人の企業生活におけるそれを規律しているのです。
商法は民法の特別法です。また、会社法は商事特別法ですから、商法典の特別法でもあります。もちろん、商法典は民事特別法や民法典の特別法です。
民法典が規律する主体には人があって、人には自然人と団体(民法上の組合)・法人(一般社団法人、一般財団法人)がありますが、商法典が規律する商人にも自然人(個人商人)と営利法人(会社)があります。
商法典における商人には個人商人(営利自然人)も含まれるため、規定は商人一般の幅広い概念をカバーするための総則的(あくまでも相対的な概念ですが)な規定ぶりとなっております。個人商人を含む一般商人については、『われらの商法総則』で詳しくお話しします!
一般法と特別法との関係はおわかりですね?要するに特別法があればそれが優先し、特別法がなければ一般法が適用されるという意味です。
それに対して、営利法人である会社の特別規定が会社法です。
3 会社法の対象
会社法に出てくる登場人物にはどのようなものがあるでしょうか?
みなさんがよく知っているであろうのは、社長とか従業員ですね。でも、これらは、実は、会社法上の用語ではないのです!びっくりしました?
会社と会社をめぐる利害関係者のことを、ステークホルダー(stakeholder)といいます。stakeには杭とか賭けという意味がありますね。ここは私の土地だと主張して杭を打った人にはその土地の所有権が認められたということがアメリカの開拓時代にあったとか。あるいは、賭けをする人。いずれも、なんらかの利害関係があるということですね。
では、会社と会社をめぐる利害関係者にはどのようなものがあるでしょうか?
まず、会社内部でいえば、まず、出資者ですね。
株式会社の場合、出資者のことを株主(shareholder or stockholder)といいます。株式会社以外の会社の出資者は社員といいます!会社法上、社員といえば、出資者のことであり、従業員ではありません。
株式会社では株主総会、それ以外の会社では社員総会が置かれ、会社の基礎的重要事項についての意思決定を行います。
株式会社の内部にはほかに、取締役がいます。取締役は経営・管理(management)をします。経営とはなんでしょうか?それは、業務決定や業務執行を指します。取締役が3名以上いる場合、取締役会が置かれ、そこで重要な経営に関する事項を決定します。
株式会社にはいろいろな機関設計があり、その設計の仕方によっては、取締役のほか、代表取締役、監査役会、監査役、監査役会、会計参与、会計監査人を置くことができたり(設置任意)、置かなければならなかったりします(設置強制)。
機関とは、車のエンジンみたいなものです。そもそも、車のボディは箱のようなもので、エンジンがなければ動きませんよね。会社の法人もいわば箱のようなもので、機関がなければ運営できないのです。
機関の役割には、主として、意思決定と意思表示があります。
株主総会の決議、取締役会決議は意思決定に相当し、代表取締役または業務担当取締役の業務執行は意思決定に相当します。
監査役や監査役会は取締役の業務執行を監督検査(監査)します。
監査には業務監査と会計監査があります。
会計監査人は、上場企業のような会社において、公認会計士・監査法人のような会計のプロがその任に当たり、会計監査をします。
会計参与は取締役と共同して計算書類を作成します。
以上が、株式会社内部の経営・管理に関する登場人物です。
あれ?会社内部には従業員もいるのでは?人本主義では従業員の存在が重要視されているのでは?
実は、商法・会社法上、従業員の出る幕は、使用人という名の商業使用人(単なる従業員ではなく、商業代理権を付与された者)の枠でしかありません。
労働法は労働者(従業員)の権利保護を目的としておりますが、商法・会社法は取引の円滑等が目的です。
会社の外部の利害関係者には、取引先(仕入先・顧客等)があります。これらは、会社から見れば債権者(場合によっては債務者)となります。
会社法はこの債権者の保護については規定があります。
会社法上、従業員は、この債権者(賃金債権者)の中に含まれます。
会社をめぐる、それ以外の利害関係者には、地域社会、国家などがあります。
地域住民は、たとえば、会社から公害等の被害を受ければ不法行為債権者(損害賠償請求権者)となり、国家は租税権者となり、その意味では債権者となります。
このように、会社法が保護の対象としているのは、株主と債権者であって、それ以外には関心がないのです。企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility)の議論はともかくとして。
よって、会社法の目的は、株主の利益の最大化(増進)と債権者の保護にあるといってよいでしょう。ただし、一つのパイを株主と債権者で分け合うことから、それらには利害対立が生ずることがあり、そのため、会社法には一定の利益調整原理があるのです。
4 会社の法的性質
さて、会社は法的にはどのようなものでしょうか。
それは、端的にいえば、営利性、社団性、法人性です。会社は営利社団法人なんです。
営利とは利益を追及し、その利益を出資者である社員(株式会社の場合は株主)に分配することです。
社団とは人の集まりの意味です。社員(出資者)が集まって、社員総会(株主総会)を開催しますね。でも、民法上の組合だって、人の集まり(団体)ですが、それは社団とはいいません。民法上の組合は各組合員が契約で結びついていますが、会社のような社団は、社員は社団にぶらさがってはいますが、社員間に契約関係があるわけではありません。社員は社団を通じて、間接的に結びついているだけなんです。ちなみに、財団は物の集まりですね。一般社団法人(一社)と一般財団法人(一財)は民事特別法上の団体です。会社と一社・一財との違いは営利性があるかないかでしょうね。
法人(legal entity)とは、権利義務の主体です。権利義務の主体とは、権利を有し、義務を負うことのできる資格。人がそうですね。法人も人ですから当然です。法人は法が特別に認めた場合にしか認められません。会社の場合、会社法3条で認めています。法人ってなにって聞かれたら、自然人以外の人と答えたらいいです。
はい、今日のところはこのへんで。