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オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」
エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」
作詞作曲 楠元純一郎
編曲 山之内馨
パーソナリティー・講師 東洋大学教授 楠元純一郎
パーソナリティー・録音師 美術家 レオー
常連ゲスト 哲学者・大学外部総合評価者 松尾欣治
常連ゲスト 岡山大学教授・弁護士 張紅
<われらの会社法7(引受け・出資の履行、設立時取締役、設立の瑕疵、設立関与者の責任)>
ラジオ20200606
1 株式の引受け
株式発行事項の決定←原則として、発起人の多数決で決定
ただし、次の事項については、発起人の同意で決定(会社32条1項)
発起人が割当てを受ける設立時発行株式の数
設立時発行株式と引換えに払い込む金銭の額
成立後の株式会社の資本金・資本準備金の額に関する事項
株式の引受け←民法の意思表示の一般原則を変更
心裡留保・通謀虚偽表示による無効の規定(民93条1項ただし書、94条1項)は適用されない。
※心裡留保:表意者の真意と表示が食い違っていたときに、相手方がその表示を善意無過失で信頼した場合は契約は有効で、相手方が悪意有過失の場合は無効となる。
※虚偽表示:表意者と相手方が通謀して虚偽の表示をしたら、その契約は無効であるが、その無効は善意の第三者に対抗できない(民94条)。
錯誤、詐欺・強迫による取消し(会社51条2項、102条6項)は会社成立後は認められない。
※錯誤:表意者に重過失なく勘違いがあり、相手方が承諾して契約が成立しても、表意者は取り消すことができる(民95条)
※詐欺強迫:詐欺強迫による意思表示は、取り消すことができるが、その取消しは善意無過失の第三者に対抗できない(民96条)
他人名義での申込み←実際に申込みをした者が引受人・株主となる(最判昭和42・11・17民集21・9・2448)(実質説)
2 出資の履行
全額出資→発起人は、発起設立の場合、引受け後遅滞なく(会社34条1項本文)、募集設立の場合、払込期日または払込期間中に(会社63条1項)、引き受けた株式の全額の払込みまたは現物出資の全部の給付をしなければならない。
失権→出資の履行がない場合、株主となる権利が失権する(会社36条、63条3項)。
もし発起人が失権したら?→設立無効事由←発起人は最低1株は引き受ける必要があるから(会社25条2項)
払込み←銀行・信託会社等の払込取扱機関で行う
発起設立
募集設立→払込取扱機関による保管証明
仮装出資(仮装の払込み)
預合い(あずけあい)→発起人が払込取扱機関から借入れをし、預金に振り替えて払込みにあて、この借入を返済するまで預金を引き出さないことを通謀する行為(無効・有効両論)
→預合罪
見せ金(みせがね)→発起人が払込取扱機関以外の第三者から借り入れ、それを払込みにあて、会社成立後にそれを引き出し、借入れの返済にあてる行為。(無効)
→公正証書原本不実記載罪
見せ金かどうかの判断基準
<最判昭和38・12・6民集17・12・1633>
株式の払込みが実質的には会社の資金とする意図なく単に払込みの外形を装ったものにすぎないか?
会社成立後、借入金を返済するまでの期間の長短
払戻金が会社資金として運用された事実の有無
借入金の返済が会社の資金関係に及ぼす影響の有無
3 設立経緯の調査
設立時取締役(場合によっては、設立時監査役も)による調査
発起設立→設立事項(検査役の調査が不要な場合の、現物出資等の価額の相当性、弁護士等の証明の相当性、出資の履行等)の調査→法令・定款違反・不当→発起人に通知(会社46条2項)
募集設立→創立総会において、まず、発起人が設立経過の報告→設立時取締役等の選任→設立事項(発起設立と同様)の調査→設立時取締役等による調査結果報告、変態設立事項の検査役の報告、弁護士等の証明資料等の報告→創立総会がこれを不当としたときは、変更することが可(会社96条)→創立総会の反対者は株式引受けを取り消すことが可(会社97条)。→定款変更決議または設立廃止決議(会社73条4項ただし書)。
4 会社設立の瑕疵
設立無効の訴え(会社828条1項1号)
提訴期間 設立登記から2年以内
提訴権者 株主等(株主、取締役、清算人等)
無効事由 重大な瑕疵
定款の絶対的記載事項の不備・違法
定款認証を受けていない場合
株式発行事項について発起人全員の同意がない場合
創立総会が開催されていない場合
無効判決の効力→対世効、将来効(遡及効なし)
会社の不存在←誰でもいつでも主張可
会社の不成立←誰でもいつでも主張可
5 設立関与者の責任
現物出資・財産引受けの不足額填補責任→発起人・設立時取締役の連帯責任(会社52条1項)
ただし、次の場合は免責。
検査役の調査を受けたとき
無過失を立証したとき(会社52条2項、103条1項)
仮装出資の場合の履行責任
仮装出資をした発起人の会社に対する、仮装した出資の金銭全額の支払い、財産全部の給付義務(会社52条の2第1項)(無過失責任)
設立時募集株式について仮装出資した引受人の履行義務(会社102条の2第1項(無過失責任)
仮装出資に関与した発起人または設立時取締役の責任(会社52条の2第2項、103条2項)(過失推定責任)
任務懈怠責任
発起人、設立時取締役、設立時監査役→損害賠償責任(会社53条1項)
(過失責任)
疑似発起人の責任←発起人ではないが、株式募集の賛助者として自己の氏名を掲げることを承諾した者も発起人と同様の責任を負う(会社103条4項)
以上の民事責任については、株主代表訴訟が認められる(会社847条以下)
今日のところはこのへんで。
By Leo_楠元纯一郎オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」
エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」
作詞作曲 楠元純一郎
編曲 山之内馨
パーソナリティー・講師 東洋大学教授 楠元純一郎
パーソナリティー・録音師 美術家 レオー
常連ゲスト 哲学者・大学外部総合評価者 松尾欣治
常連ゲスト 岡山大学教授・弁護士 張紅
<われらの会社法7(引受け・出資の履行、設立時取締役、設立の瑕疵、設立関与者の責任)>
ラジオ20200606
1 株式の引受け
株式発行事項の決定←原則として、発起人の多数決で決定
ただし、次の事項については、発起人の同意で決定(会社32条1項)
発起人が割当てを受ける設立時発行株式の数
設立時発行株式と引換えに払い込む金銭の額
成立後の株式会社の資本金・資本準備金の額に関する事項
株式の引受け←民法の意思表示の一般原則を変更
心裡留保・通謀虚偽表示による無効の規定(民93条1項ただし書、94条1項)は適用されない。
※心裡留保:表意者の真意と表示が食い違っていたときに、相手方がその表示を善意無過失で信頼した場合は契約は有効で、相手方が悪意有過失の場合は無効となる。
※虚偽表示:表意者と相手方が通謀して虚偽の表示をしたら、その契約は無効であるが、その無効は善意の第三者に対抗できない(民94条)。
錯誤、詐欺・強迫による取消し(会社51条2項、102条6項)は会社成立後は認められない。
※錯誤:表意者に重過失なく勘違いがあり、相手方が承諾して契約が成立しても、表意者は取り消すことができる(民95条)
※詐欺強迫:詐欺強迫による意思表示は、取り消すことができるが、その取消しは善意無過失の第三者に対抗できない(民96条)
他人名義での申込み←実際に申込みをした者が引受人・株主となる(最判昭和42・11・17民集21・9・2448)(実質説)
2 出資の履行
全額出資→発起人は、発起設立の場合、引受け後遅滞なく(会社34条1項本文)、募集設立の場合、払込期日または払込期間中に(会社63条1項)、引き受けた株式の全額の払込みまたは現物出資の全部の給付をしなければならない。
失権→出資の履行がない場合、株主となる権利が失権する(会社36条、63条3項)。
もし発起人が失権したら?→設立無効事由←発起人は最低1株は引き受ける必要があるから(会社25条2項)
払込み←銀行・信託会社等の払込取扱機関で行う
発起設立
募集設立→払込取扱機関による保管証明
仮装出資(仮装の払込み)
預合い(あずけあい)→発起人が払込取扱機関から借入れをし、預金に振り替えて払込みにあて、この借入を返済するまで預金を引き出さないことを通謀する行為(無効・有効両論)
→預合罪
見せ金(みせがね)→発起人が払込取扱機関以外の第三者から借り入れ、それを払込みにあて、会社成立後にそれを引き出し、借入れの返済にあてる行為。(無効)
→公正証書原本不実記載罪
見せ金かどうかの判断基準
<最判昭和38・12・6民集17・12・1633>
株式の払込みが実質的には会社の資金とする意図なく単に払込みの外形を装ったものにすぎないか?
会社成立後、借入金を返済するまでの期間の長短
払戻金が会社資金として運用された事実の有無
借入金の返済が会社の資金関係に及ぼす影響の有無
3 設立経緯の調査
設立時取締役(場合によっては、設立時監査役も)による調査
発起設立→設立事項(検査役の調査が不要な場合の、現物出資等の価額の相当性、弁護士等の証明の相当性、出資の履行等)の調査→法令・定款違反・不当→発起人に通知(会社46条2項)
募集設立→創立総会において、まず、発起人が設立経過の報告→設立時取締役等の選任→設立事項(発起設立と同様)の調査→設立時取締役等による調査結果報告、変態設立事項の検査役の報告、弁護士等の証明資料等の報告→創立総会がこれを不当としたときは、変更することが可(会社96条)→創立総会の反対者は株式引受けを取り消すことが可(会社97条)。→定款変更決議または設立廃止決議(会社73条4項ただし書)。
4 会社設立の瑕疵
設立無効の訴え(会社828条1項1号)
提訴期間 設立登記から2年以内
提訴権者 株主等(株主、取締役、清算人等)
無効事由 重大な瑕疵
定款の絶対的記載事項の不備・違法
定款認証を受けていない場合
株式発行事項について発起人全員の同意がない場合
創立総会が開催されていない場合
無効判決の効力→対世効、将来効(遡及効なし)
会社の不存在←誰でもいつでも主張可
会社の不成立←誰でもいつでも主張可
5 設立関与者の責任
現物出資・財産引受けの不足額填補責任→発起人・設立時取締役の連帯責任(会社52条1項)
ただし、次の場合は免責。
検査役の調査を受けたとき
無過失を立証したとき(会社52条2項、103条1項)
仮装出資の場合の履行責任
仮装出資をした発起人の会社に対する、仮装した出資の金銭全額の支払い、財産全部の給付義務(会社52条の2第1項)(無過失責任)
設立時募集株式について仮装出資した引受人の履行義務(会社102条の2第1項(無過失責任)
仮装出資に関与した発起人または設立時取締役の責任(会社52条の2第2項、103条2項)(過失推定責任)
任務懈怠責任
発起人、設立時取締役、設立時監査役→損害賠償責任(会社53条1項)
(過失責任)
疑似発起人の責任←発起人ではないが、株式募集の賛助者として自己の氏名を掲げることを承諾した者も発起人と同様の責任を負う(会社103条4項)
以上の民事責任については、株主代表訴訟が認められる(会社847条以下)
今日のところはこのへんで。