われらの法学 レオンラジオ 楠元純一郎

われらの会社法14 株式会社の機関と役員との関係について


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オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」

エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」

作詞作曲 楠元純一郎

編曲 山之内馨


パーソナリティー 楠元純一郎  東洋大学教授       

パーソナリティー レオー        美術家            

ゲスト                   松尾欣治   哲学者・大学外部総合評価者



<われらの会社法14(株式会社の機関と役員との関係について)>

ラジオ収録20200926


株式会社には役員がいて、また、機関構成とか機関設計とか言いますね。これらの役割と関係はいったいどういうものなのでしょうか?


会社の機関と役員 


機関とは?→会社は法人である(会社3条)。法人とは?自然人以外の人。人とは権利を有し、義務を負うことのできる資格・能力=権利能力(権利義務の受皿)。自然人には自ら意思を決定し、表示する器官を有する。法人は自然人以外の人で、箱とか自動車のボディみたいなもの。つまり、車はエンジンなどの動力源なしには動けない。その動力源こそが機関である。結局、会社の機関とは会社を動かすもの。

 では、「動かす」とは法的にはどういう意味なのか?

→物理的にではなく、法的に動かすとは?→法律行為(意思決定し、対外的契約)または監督等の事実行為

→法律行為では、意思決定(株主総会による会社の基本的事項(役員の選解任、決算の承認等)と基礎的変更事項の決定=決議(定款の変更、資本減少、組織再編、解散等)・取締役会の業務決定=取締役会決議・日常業務については代表取締役の業務決定)と意思表示(業務執行)が中心となる。


 会社の機関

 ① 意思決定機関(株主総会、取締役会、代表取締役)

 ② 業務執行機関(代表取締役Representative Director、業務担当取締役、執行役Chief Executive Officer、会計参与(取締役と共同で計算書類を作成する対内的業務))

 ③ 監督・監査機関(取締役、取締役会、監査役(会)、会計監査人(公認会計士Certified Public Accountant・監査法人)、監査委員会


役員とは?→機関の構成員であり原則として自然人(ただし、会計参与は法人の場合もある)。役員は株主総会(株主総会の決定=機関決定→会社行為)で選任(決議)されることから、会社が役員を選ぶ。選任後→役員の就任契約→委任(準委任)契約の締結→会社と役員との関係は、委任(準委任)関係である。委任契約→法律行為の委託、事実行為の委託は準委任。患者と医師との関係?患者が医師に医療行為(事実行為)の委託=準委任。準委任は委任の規定をそのまま準用。取締役の会社経営行為=法律行為(対外的契約)・対内的業務執行は事実行為と法律行為に分けられる。取締役と会社の関係は?→委任(準委任)関係。会社は委任者、取締役は受任者。→会社に対する善良な管理者の注意義務(善管注意義務)。ただし、会計監査人は、会社の外部の監査機関であって役員ではない。会計監査人は役員等という。

 結局、役員とは会社内部者で会社と委任(準委任)関係にある者といえ、会社または第三者(会社債権者)に対し、任務懈怠等の責任を負わせるための役職。


 株式会社の機関と役員


  取締役(役員)→業務決定機関・業務執行機関 ←ここで取締役は、取締役会不設置会社の取締役。

  取締役会 → 取締役3名以上で構成される重要な業務決定機関

  代表取締役(役員)→日常の業務決定機関・業務執行機関(社長)

  執行役(役員)→指名委員会等設置会社(代表取締役も監査役も不設置)の業務執行機関(社長)(CEO) ※執行役員は事実上の名称で会社法上の名称ではない。

  監査役(役員)→取締役の職務の執行を監査する機関 業務監査・会計監査←適法性監査(妥当性監査は行わない)

監査役会 →監査役3名以上で構成され、その半数以上が社外監査役(例えば、監査役4人なら2名以上)である組織的監査機関 ← 組織的とはいえ独任制。

監査等委員会 →監査役不設置で、取締役3名以上で構成され、その過半数(たと

えば、取締役4名なら3名以上)が社外取締役である監査委員会で行なう監査機関

指名委員会等 →監査役不設置で、取締役3名以上で構成され、その過半数(たと えば、取締役4名なら3名以上)が社外取締役である三委員会(指名委員会・報酬委員会・監査委員会)で、役員の候補者の指名(社長に人事権がない)、役員の報酬の決定(社長に報酬決定権がない)、監査を行なう機関。代表取締役不設置→執行役(社長)設置→監督と執行の分離

会計参与(役員)→取締役と共同で会社の計算書類を作成する機関

(税理士、税理士法人、公認会計士、監査法人)

会計監査人(社外の役員等)→公認会計士・監査法人による会計監査機関

  株主総会 →会社の基本的事項に関する最高意思決定機関 ※株主と会社との間には委任契約はないことから、株主は役員ではない。


株式会社の最低限度の必要的機関

    1人以上の取締役

    株主総会

機関設計の自由度→定款自治(会社326条2項)

    自由度は、非公開会社では高い ※非公開会社→全部株式譲渡制限

     公開会社では低い→設置強制、設置禁止(強行法規)




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