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オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」
エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」
作詞作曲 楠元純一郎
編曲 山之内馨
パーソナリティー 楠元純一郎 東洋大学教授
パーソナリティー レオー 美術家
ゲスト 松尾欣治 哲学者・大学外部総合評価者
<われらの会社法17 (株主総会の決議要件、採決方法、委任状勧誘、瑕疵ある総会決議の効力)>
ラジオ収録20201017
株主総会の決議要件
<資本多数決の原則>←頭数主義ではなく、保有している議決権株式の議決権割合の多数で決定
普通決議要件 1/2×1/2=1/4(25%超)(会社309条1項)
定足数(会議の成立要件)→議決権の過半数を有する株主が出席
※ 定足数は定款の定めにより引き下げることは可能であるが、役員(取締役・会計参与・監査役)の選任・解任については定足数は3分の1を下回ることができない(会社341条)。
決議要件→出席した株主の議決権の過半数
たとえば、株主が10人だとする。
Aは51%の議決権を保有。残りの9人で49%の議決権を保有しているとする。
Aだけが出席した。そして議決権を行使した。
この決議は有効か?
有効 定足数満足、決議も有効
特別決議要件 1/2×2/3=1/3 (33.333…以上)(会社309条2項)
定足数→議決権の過半数を有する株主が出席し、定款で3分の1まで引下げ可能。
決議要件→出席株主の議決権の3分の2以上、定款で加重も可能。
※ 特別決議事項<会社の基礎的変更事項>→有利発行の承認(会社199条2項)、資本減少(会社447条1項)、定款変更(会社466条)、事業譲渡(会社467条1項)、合併(会社783条1項)等の組織再編。
特殊決議要件(株主の重大な不利益変更に繋がる決議=厳格)
全部の株式に譲渡制限を定める定款変更(会社309条3項1号)
→総株主の半数以上(頭数主義)かつ議決権の3分の2以上の賛成
譲渡制限株式の交付を受ける合併(会社309条3項2号・3号)→同上
たとえば、株主が10人いたとする。
Aの議決権が30%、Bの議決権が40%、他の8名の議決権の合計が30%だとしよう。
AとBだけが出席し、賛成した。
この決議はこの特殊決議の要件を満たすか?
無効 →決議を通すには5名以上が賛成し、なおかつ、議決権の3分の2以上でないといけないから、この場合、2名で議決権70%だから、その点は決議要件を満たせていても、5人未満なので、結局、決議要件を満たさない。
その他の特殊決議の要件→総株主の半数以上で、なおかつ、議決権の4分の3以上(最も厳格)
非公開会社において属人的な定め(会社109条2項)を設ける定款変更(会社309条4項)
属人的な定め→株主平等原則の例外
採決方法
株主数1000人以上の会社→書面投票等で決議要件は充足していることが多い。
→採決(投票・挙手・拍手・異議なし)
→委任状を有する代理人の議決権数を考慮して
→議長が採決の結果を宣言
有価証券報告書提出会社(上場会社等)→株主総会決議の内容(反対・賛成・棄権)の議決権数→臨時報告書に記載
複数議案の一括採決→議長が一括投票の可否を議場に諮り、異議を申し出た者についてのみ、格別の投票を認めればよいのではないか。
委任状勧誘の規制
上場会社の議決権の代理行使→金融商品取引法上の委任状勧誘規制(金商194条)
株主が10名以上を対象として議決権の代理行使を勧誘する場合、または会社もしくはその役員が会社のために勧誘を行う場合→委任状用紙および参考書類を被勧誘者に交付しなければならない。
委任状には議案ごとに賛否の欄を設定
委任状の勧誘
会社による勧誘
株主による勧誘→自費、株主名簿閲覧可能
瑕疵ある株主総会決議の効力
<決議取消しの訴え>→「会社の組織に関する訴え」
取引の安全確保と法律関係の画一的確定の要請
提訴権者→株主、取締役、清算人、監査役、執行役(会社831条2項1号)、決議取消しによってその地位を回復することができる株主、取締役等(会社831条1項柱書第2文)
提訴期限は決議から3ヶ月→その間、複数の訴訟が提起されていれば併合(会社837条)
決議取消判決→決議に遡って決議は無効(遡及効)(会社839条)
→第三者に対しても効力を有する(対世効)(会社838条)
決議取消事由
① 株主総会の招集手続の法令・定款違反(会社831条1項1号)
→取締役会の決議を経ないで代表取締役が総会を招集、招集通知漏れ、招集通知発送の遅延
② 決議方法の法令・定款違反(同号)
→取締役の説明に虚偽があった、決議要件の不満足
③ 招集手続・決議の方法が著しく不公正な場合(同号)
→株主の出席困難な時期・場所で開催、暴行脅迫を持って株主の発言、議決権行使を妨げて決議を成立させた。
④ 決議内容の定款違反(会社831条1項2号)
→定款所定の定員を超える取締役の選任
⑤ 特別利害関係人の議決権行使により著しく不当な決議がなされたとき(会社831条1項3号)
→権利濫用事例。親子会社間の合併承認決議において合併比率が著しく不公正。
裁量棄却→決議の瑕疵が軽微であり、決議を取り消すと取引の安全を害するし、また、いったん決議が取り消されても、また次の株主総会で再度審議され、可決されてしまう場合もあるから、時間と費用を節約するために、裁判所の裁量で、取消しの訴えの請求を棄却する制度がある(会社831条2項)。
<決議の無効確認の訴え>
総会決議の内容が法令に違反する場合→いつでも誰でも、裁判所への訴えによらなくても主張することが可能。
もし、訴えによるならば、無効確認訴訟(830条2項)。←無効なものを無効とするだけであるがゆえに、法律関係の変動をもたらすような形成訴訟とは異なる。
対世効が得られる(会社838条)→第三者に対しても判決の効力が及ぶ。
→法律関係の画一的確定。
<決議の不存在確認の訴え>
手続の瑕疵が著しい場合
→総会は開催されず、議事録だけがある、代表取締役でない取締役が総会を招集した、招集通知漏れが著しい場合。
→いつでも、誰でも、裁判所への訴えによらなくても主張することは可能。
もし、訴えによるならば、決議不存在確認訴訟。←無効なものを無効とするだけであるがゆえに、法律関係の変動をもたらすような形成訴訟とは異なる。
対世効が得られる。
オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」
エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」
作詞作曲 楠元純一郎
編曲 山之内馨
パーソナリティー 楠元純一郎 東洋大学教授
パーソナリティー レオー 美術家
ゲスト 松尾欣治 哲学者・大学外部総合評価者
<われらの会社法17 (株主総会の決議要件、採決方法、委任状勧誘、瑕疵ある総会決議の効力)>
ラジオ収録20201017
株主総会の決議要件
<資本多数決の原則>←頭数主義ではなく、保有している議決権株式の議決権割合の多数で決定
普通決議要件 1/2×1/2=1/4(25%超)(会社309条1項)
定足数(会議の成立要件)→議決権の過半数を有する株主が出席
※ 定足数は定款の定めにより引き下げることは可能であるが、役員(取締役・会計参与・監査役)の選任・解任については定足数は3分の1を下回ることができない(会社341条)。
決議要件→出席した株主の議決権の過半数
たとえば、株主が10人だとする。
Aは51%の議決権を保有。残りの9人で49%の議決権を保有しているとする。
Aだけが出席した。そして議決権を行使した。
この決議は有効か?
有効 定足数満足、決議も有効
特別決議要件 1/2×2/3=1/3 (33.333…以上)(会社309条2項)
定足数→議決権の過半数を有する株主が出席し、定款で3分の1まで引下げ可能。
決議要件→出席株主の議決権の3分の2以上、定款で加重も可能。
※ 特別決議事項<会社の基礎的変更事項>→有利発行の承認(会社199条2項)、資本減少(会社447条1項)、定款変更(会社466条)、事業譲渡(会社467条1項)、合併(会社783条1項)等の組織再編。
特殊決議要件(株主の重大な不利益変更に繋がる決議=厳格)
全部の株式に譲渡制限を定める定款変更(会社309条3項1号)
→総株主の半数以上(頭数主義)かつ議決権の3分の2以上の賛成
譲渡制限株式の交付を受ける合併(会社309条3項2号・3号)→同上
たとえば、株主が10人いたとする。
Aの議決権が30%、Bの議決権が40%、他の8名の議決権の合計が30%だとしよう。
AとBだけが出席し、賛成した。
この決議はこの特殊決議の要件を満たすか?
無効 →決議を通すには5名以上が賛成し、なおかつ、議決権の3分の2以上でないといけないから、この場合、2名で議決権70%だから、その点は決議要件を満たせていても、5人未満なので、結局、決議要件を満たさない。
その他の特殊決議の要件→総株主の半数以上で、なおかつ、議決権の4分の3以上(最も厳格)
非公開会社において属人的な定め(会社109条2項)を設ける定款変更(会社309条4項)
属人的な定め→株主平等原則の例外
採決方法
株主数1000人以上の会社→書面投票等で決議要件は充足していることが多い。
→採決(投票・挙手・拍手・異議なし)
→委任状を有する代理人の議決権数を考慮して
→議長が採決の結果を宣言
有価証券報告書提出会社(上場会社等)→株主総会決議の内容(反対・賛成・棄権)の議決権数→臨時報告書に記載
複数議案の一括採決→議長が一括投票の可否を議場に諮り、異議を申し出た者についてのみ、格別の投票を認めればよいのではないか。
委任状勧誘の規制
上場会社の議決権の代理行使→金融商品取引法上の委任状勧誘規制(金商194条)
株主が10名以上を対象として議決権の代理行使を勧誘する場合、または会社もしくはその役員が会社のために勧誘を行う場合→委任状用紙および参考書類を被勧誘者に交付しなければならない。
委任状には議案ごとに賛否の欄を設定
委任状の勧誘
会社による勧誘
株主による勧誘→自費、株主名簿閲覧可能
瑕疵ある株主総会決議の効力
<決議取消しの訴え>→「会社の組織に関する訴え」
取引の安全確保と法律関係の画一的確定の要請
提訴権者→株主、取締役、清算人、監査役、執行役(会社831条2項1号)、決議取消しによってその地位を回復することができる株主、取締役等(会社831条1項柱書第2文)
提訴期限は決議から3ヶ月→その間、複数の訴訟が提起されていれば併合(会社837条)
決議取消判決→決議に遡って決議は無効(遡及効)(会社839条)
→第三者に対しても効力を有する(対世効)(会社838条)
決議取消事由
① 株主総会の招集手続の法令・定款違反(会社831条1項1号)
→取締役会の決議を経ないで代表取締役が総会を招集、招集通知漏れ、招集通知発送の遅延
② 決議方法の法令・定款違反(同号)
→取締役の説明に虚偽があった、決議要件の不満足
③ 招集手続・決議の方法が著しく不公正な場合(同号)
→株主の出席困難な時期・場所で開催、暴行脅迫を持って株主の発言、議決権行使を妨げて決議を成立させた。
④ 決議内容の定款違反(会社831条1項2号)
→定款所定の定員を超える取締役の選任
⑤ 特別利害関係人の議決権行使により著しく不当な決議がなされたとき(会社831条1項3号)
→権利濫用事例。親子会社間の合併承認決議において合併比率が著しく不公正。
裁量棄却→決議の瑕疵が軽微であり、決議を取り消すと取引の安全を害するし、また、いったん決議が取り消されても、また次の株主総会で再度審議され、可決されてしまう場合もあるから、時間と費用を節約するために、裁判所の裁量で、取消しの訴えの請求を棄却する制度がある(会社831条2項)。
<決議の無効確認の訴え>
総会決議の内容が法令に違反する場合→いつでも誰でも、裁判所への訴えによらなくても主張することが可能。
もし、訴えによるならば、無効確認訴訟(830条2項)。←無効なものを無効とするだけであるがゆえに、法律関係の変動をもたらすような形成訴訟とは異なる。
対世効が得られる(会社838条)→第三者に対しても判決の効力が及ぶ。
→法律関係の画一的確定。
<決議の不存在確認の訴え>
手続の瑕疵が著しい場合
→総会は開催されず、議事録だけがある、代表取締役でない取締役が総会を招集した、招集通知漏れが著しい場合。
→いつでも、誰でも、裁判所への訴えによらなくても主張することは可能。
もし、訴えによるならば、決議不存在確認訴訟。←無効なものを無効とするだけであるがゆえに、法律関係の変動をもたらすような形成訴訟とは異なる。
対世効が得られる。