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オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」
エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」
作詞作曲 楠元純一郎
編曲 山之内馨
<われらの会社法18 (取締役)>
ラジオ収録20201025
講師 楠元純一郎(法学者)
録音師 レオー(美術家)
ゲスト 松尾欣治(哲学者・大学外部総合評価者)
<<取締役>>
取締役会非設置会社の取締役→機関→業務決定権・業務執行権・代表権
取締役会設置会社の取締役→単なる取締役は機関ではない→取締役には業務決定権、業務執行権・代表権はない。
→この場合、業務決定権は取締役会および代表取締役にあり、業務執行権は代表取締役、業務執行取締役にある。
Director(英) 董事(中国)
株式会社なら最低でも1人は置かなければならない機関であり、役員。
会社の経営・管理 management 経営陣 management team 社長(President) ←法律用語ではない
会社経営とはなにか?→業務決定business decision・業務執行business execution
to execute 執行する→実行する
会社の仕組みと国家の統治機構はちょっと似ている!?
株主総会→定款の作成・変更・決算の承認→立法(国会)→法を作ること
取締役→業務決定・業務執行→行政(内閣)→規則・命令制定・法を執行すること→法の実施(施行)
監査役→職務の執行、業務執行の監査→司法(裁判所)→法を解釈・適用して紛争を解決し、また、違憲審査をすること。違憲審査→国会で制定された法律、行政による法の執行についてそれが憲法に違反していないかチェックすること。監査役は取締役の行為が法令・定款に違反していないかどうかをチェック。
取締役の資格・員数
取締役の選任→株主総会の普通決議(会社329条1項)→要件→①定足数→議決権の過半数を有する株主が出席すること(会議が有効に成立するための要件)、②決議要件→出席した株主の議決権の過半数で可決
取締役に資格は必要か?
ちなみに、資格の王様は?一般には?医師国家試験(医師免許)と司法試験に合格すれば、法曹三者になれる。弁護士になれば→弁理士・裁判官(判事)・検察官(検事)・税理士・社会保険労務士・行政書士・海事補佐人の資格も付与される。なお、司法書士資格は得られないが、登記業務も可能)。
取締役になるのに資格は必要ない→しかし、欠格事由はある。
取締役の欠格事由(会社331条1項)
→①法人(自然人じゃないといけない)
→②成年被後見人(精神障害により事理弁識能力を欠く常況)・被保佐人(精神障害により事理弁識能力が著しく不十分)
→じゃ、子供は?→未成年者は法律では制限されてはいないが、実務上、取締役の就任登記をする際に、実印登録が必要な場合があるが、15才未満は実印登録できない。取締役会設置会社の場合、実印登録が不要なため、意思能力ある10歳程度以上であるならば、取締役になれるが、取締役会非設置会社の場合、実印登録が必要なため、15歳未満の場合は取締役になれない。
→③会社法・一般法人法・金融商品取引法・破産法等の一定の罪を犯し、処罰されてから2年を経過しない者
→④③以外の法令に違反し、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまでの者
破産者の場合は?→取締役の欠格事由ではない。←再チャレンジのチャンスを妨げられない。
定款で取締役の資格を株主に限定することはできるか?
→公開会社においては定款で取締役を株主に限定することはできない(会社331条2項)←いい人材を幅広く集めるため(人材確保の要請)。
定款で取締役の資格を日本国籍を有する者に限定することはできるか?
→「私的自治の範囲内であり公序良俗に反しない」(名古屋地判昭46・4・30下民22・3-4・549)
取締役の員数
取締役会設置会社→3名以上(会社331条5項)
取締役会非設置会社→1名以上(326条1項)
従業員(使用人)は取締役になれるか?→なれる
→たとえば、取締役営業部長→使用人兼務取締役
社外取締役→委員会型の会社(指名委員会等設置会社または監査等委員会設置会社)における、委員会の過半数につき設置強制
→上場会社等の有価証券報告書提出会社(公開会社かつ大会社に限る)→最低1人以上、設置強制(会社327条の2)
社外取締役の要件→過去10年間、会社または子会社の業務執行に携わった業務執行取締役・執行役・使用人(業務執行取締役等)でなかった者
→独立性→個人である支配株主または親会社の取締役・監査役・執行役・使用人でない者
→兄弟会社の業務執行取締役・執行役・使用人でないこと
→取締役・支配人その他の重要な使用人または親会社
等のそれらの配偶者または二親等以内の親族
(本人の両親・祖父母・兄弟姉妹・子・孫・配偶者
の両親・祖父母・兄弟姉妹)でないこと
※重要な取引先の関係者は社外取締役になれる。
社外取締役に期待されていること・その機能
業務執行の指揮下にないこと→代表取締役の影響を受けにくい→大所高所から中立の立場で意見を述べることができ、代表取締役等、業務執行取締役を監督→業務執行の適法性・効率性・妥当性
特に活躍が期待される場面→MBO、親子会社間取引
MBO(Management Buy Out)→経営者による会社買収(乗っ取り)→少数派株主の利益侵害のおそれ
親子間取引→親会社(支配株主)が子会社を犠牲にするような取引を強制する。子会社の取締役の過半数は親会社(支配株主)の影響下にある→親会社と子会社が取引をする際に、親会社は取引の両側に立つ。→こちらを立てればあちらが立たず。双方代理または自己取引。→結局、子会社の少数派株主が損害を受ける構造。→構造的利益相反
親会社←取引→子会社
(子会社の経営陣は親会社が選んだ)
構造的利益相反→不公正取引の温床
社外取締役の目のつけどころ→当該取引が企業価値の向上に繋がるのか?、少数派株主の利益を不当に害するものではないか(対価が公正であるか)
社外取締役→取引保護装置の一つ、その他、特別委員会(第三者委員会)、専門家の意見を参考にしたかどうか。
累積投票制度→少数派株主が少数の取締役を選任できるようにする制度→たとえば、8名の取締役選任議題に10名の候補者がいるとする。→1議決権につき(8)票。株主は8候補者に1票ずつ投票してもよく、また、1候補者に(8)票投票してもよい。→支配株主にとってはおもしろくない→累積投票制度は定款で排除可(会社342条1項)。
取締役の任期
公開会社→原則2年で再任は可。
非公開会社→定款で10年まで伸長可。→2年毎に再任したとしても、手続上、いったんは退任しまた就任→2年毎に変更登記→登記料の無駄
監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社→1年
取締役の終任、辞任、解任
終任→任期満了、委任の終了事由(民653)
辞任→取締役はいつでも辞任できる(民651条 1項)→会社に不利な時期に辞任すれば会社に対し損害賠償責任を負う。
解任→株主総会の普通決議でいつでも取締役を解任できる(会社339条1項)→ただし、正当な理由なく解任した場合→取締役は会社に損害賠償を請求できる(会社339条2項)
取締役解任の訴え→取締役の職務遂行に関し、不正行為または法令・定款に違反する重大な事実があったにもかかわらず、株主総会で当該取締役の解任決議を否決したとき(または、決議が行われなかった場合も含む)→6ヶ月以上前から、議決権の3%以上または発行済株式数の3%以上を有する株主→取締役解任の訴え(会社854条1項)。
取締役の員数を欠く場合→就任または辞任した取締役→新たに選任された取締役が就任するまで、なお、取締役としての権利義務を有する(会社346条1項)。
一時取締役→取締役に欠員が生じた場合、利害関係人の申し立てにより裁判所に新しい取締役を選任してもらう制度(会社346条2項)。
補欠取締役→取締役の欠員に備えて、あらかじめ株主総会で選任しておく制度(会社329条3項)。
取締役の職務執行停止・職務代行者→取締役の選任決議の不存在確認の訴え、無効確認の訴え、取消しの訴えが提起された場合→当該取締役に職務を継続させることが適当でない場合→裁判所は当事者の申立てに基づき、仮処分により取締役の職務執行を停止し、職務代行者を選任できる(民保23条2項、24条)。
オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」
エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」
作詞作曲 楠元純一郎
編曲 山之内馨
<われらの会社法18 (取締役)>
ラジオ収録20201025
講師 楠元純一郎(法学者)
録音師 レオー(美術家)
ゲスト 松尾欣治(哲学者・大学外部総合評価者)
<<取締役>>
取締役会非設置会社の取締役→機関→業務決定権・業務執行権・代表権
取締役会設置会社の取締役→単なる取締役は機関ではない→取締役には業務決定権、業務執行権・代表権はない。
→この場合、業務決定権は取締役会および代表取締役にあり、業務執行権は代表取締役、業務執行取締役にある。
Director(英) 董事(中国)
株式会社なら最低でも1人は置かなければならない機関であり、役員。
会社の経営・管理 management 経営陣 management team 社長(President) ←法律用語ではない
会社経営とはなにか?→業務決定business decision・業務執行business execution
to execute 執行する→実行する
会社の仕組みと国家の統治機構はちょっと似ている!?
株主総会→定款の作成・変更・決算の承認→立法(国会)→法を作ること
取締役→業務決定・業務執行→行政(内閣)→規則・命令制定・法を執行すること→法の実施(施行)
監査役→職務の執行、業務執行の監査→司法(裁判所)→法を解釈・適用して紛争を解決し、また、違憲審査をすること。違憲審査→国会で制定された法律、行政による法の執行についてそれが憲法に違反していないかチェックすること。監査役は取締役の行為が法令・定款に違反していないかどうかをチェック。
取締役の資格・員数
取締役の選任→株主総会の普通決議(会社329条1項)→要件→①定足数→議決権の過半数を有する株主が出席すること(会議が有効に成立するための要件)、②決議要件→出席した株主の議決権の過半数で可決
取締役に資格は必要か?
ちなみに、資格の王様は?一般には?医師国家試験(医師免許)と司法試験に合格すれば、法曹三者になれる。弁護士になれば→弁理士・裁判官(判事)・検察官(検事)・税理士・社会保険労務士・行政書士・海事補佐人の資格も付与される。なお、司法書士資格は得られないが、登記業務も可能)。
取締役になるのに資格は必要ない→しかし、欠格事由はある。
取締役の欠格事由(会社331条1項)
→①法人(自然人じゃないといけない)
→②成年被後見人(精神障害により事理弁識能力を欠く常況)・被保佐人(精神障害により事理弁識能力が著しく不十分)
→じゃ、子供は?→未成年者は法律では制限されてはいないが、実務上、取締役の就任登記をする際に、実印登録が必要な場合があるが、15才未満は実印登録できない。取締役会設置会社の場合、実印登録が不要なため、意思能力ある10歳程度以上であるならば、取締役になれるが、取締役会非設置会社の場合、実印登録が必要なため、15歳未満の場合は取締役になれない。
→③会社法・一般法人法・金融商品取引法・破産法等の一定の罪を犯し、処罰されてから2年を経過しない者
→④③以外の法令に違反し、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまでの者
破産者の場合は?→取締役の欠格事由ではない。←再チャレンジのチャンスを妨げられない。
定款で取締役の資格を株主に限定することはできるか?
→公開会社においては定款で取締役を株主に限定することはできない(会社331条2項)←いい人材を幅広く集めるため(人材確保の要請)。
定款で取締役の資格を日本国籍を有する者に限定することはできるか?
→「私的自治の範囲内であり公序良俗に反しない」(名古屋地判昭46・4・30下民22・3-4・549)
取締役の員数
取締役会設置会社→3名以上(会社331条5項)
取締役会非設置会社→1名以上(326条1項)
従業員(使用人)は取締役になれるか?→なれる
→たとえば、取締役営業部長→使用人兼務取締役
社外取締役→委員会型の会社(指名委員会等設置会社または監査等委員会設置会社)における、委員会の過半数につき設置強制
→上場会社等の有価証券報告書提出会社(公開会社かつ大会社に限る)→最低1人以上、設置強制(会社327条の2)
社外取締役の要件→過去10年間、会社または子会社の業務執行に携わった業務執行取締役・執行役・使用人(業務執行取締役等)でなかった者
→独立性→個人である支配株主または親会社の取締役・監査役・執行役・使用人でない者
→兄弟会社の業務執行取締役・執行役・使用人でないこと
→取締役・支配人その他の重要な使用人または親会社
等のそれらの配偶者または二親等以内の親族
(本人の両親・祖父母・兄弟姉妹・子・孫・配偶者
の両親・祖父母・兄弟姉妹)でないこと
※重要な取引先の関係者は社外取締役になれる。
社外取締役に期待されていること・その機能
業務執行の指揮下にないこと→代表取締役の影響を受けにくい→大所高所から中立の立場で意見を述べることができ、代表取締役等、業務執行取締役を監督→業務執行の適法性・効率性・妥当性
特に活躍が期待される場面→MBO、親子会社間取引
MBO(Management Buy Out)→経営者による会社買収(乗っ取り)→少数派株主の利益侵害のおそれ
親子間取引→親会社(支配株主)が子会社を犠牲にするような取引を強制する。子会社の取締役の過半数は親会社(支配株主)の影響下にある→親会社と子会社が取引をする際に、親会社は取引の両側に立つ。→こちらを立てればあちらが立たず。双方代理または自己取引。→結局、子会社の少数派株主が損害を受ける構造。→構造的利益相反
親会社←取引→子会社
(子会社の経営陣は親会社が選んだ)
構造的利益相反→不公正取引の温床
社外取締役の目のつけどころ→当該取引が企業価値の向上に繋がるのか?、少数派株主の利益を不当に害するものではないか(対価が公正であるか)
社外取締役→取引保護装置の一つ、その他、特別委員会(第三者委員会)、専門家の意見を参考にしたかどうか。
累積投票制度→少数派株主が少数の取締役を選任できるようにする制度→たとえば、8名の取締役選任議題に10名の候補者がいるとする。→1議決権につき(8)票。株主は8候補者に1票ずつ投票してもよく、また、1候補者に(8)票投票してもよい。→支配株主にとってはおもしろくない→累積投票制度は定款で排除可(会社342条1項)。
取締役の任期
公開会社→原則2年で再任は可。
非公開会社→定款で10年まで伸長可。→2年毎に再任したとしても、手続上、いったんは退任しまた就任→2年毎に変更登記→登記料の無駄
監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社→1年
取締役の終任、辞任、解任
終任→任期満了、委任の終了事由(民653)
辞任→取締役はいつでも辞任できる(民651条 1項)→会社に不利な時期に辞任すれば会社に対し損害賠償責任を負う。
解任→株主総会の普通決議でいつでも取締役を解任できる(会社339条1項)→ただし、正当な理由なく解任した場合→取締役は会社に損害賠償を請求できる(会社339条2項)
取締役解任の訴え→取締役の職務遂行に関し、不正行為または法令・定款に違反する重大な事実があったにもかかわらず、株主総会で当該取締役の解任決議を否決したとき(または、決議が行われなかった場合も含む)→6ヶ月以上前から、議決権の3%以上または発行済株式数の3%以上を有する株主→取締役解任の訴え(会社854条1項)。
取締役の員数を欠く場合→就任または辞任した取締役→新たに選任された取締役が就任するまで、なお、取締役としての権利義務を有する(会社346条1項)。
一時取締役→取締役に欠員が生じた場合、利害関係人の申し立てにより裁判所に新しい取締役を選任してもらう制度(会社346条2項)。
補欠取締役→取締役の欠員に備えて、あらかじめ株主総会で選任しておく制度(会社329条3項)。
取締役の職務執行停止・職務代行者→取締役の選任決議の不存在確認の訴え、無効確認の訴え、取消しの訴えが提起された場合→当該取締役に職務を継続させることが適当でない場合→裁判所は当事者の申立てに基づき、仮処分により取締役の職務執行を停止し、職務代行者を選任できる(民保23条2項、24条)。