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オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」
エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」
作詞作曲 楠元純一郎
編曲 山之内馨
<われらの会社法24(会社の資金調達、募集株式の発行)>
ラジオ収録20210116
資金調達Finance
<内部資金調達>
内部留保→剰余金を配当しないことによる、減価償却による
<外部資金調達>
銀行借入れ→借金→元本・利息の償還義務(返済)→他人資本
社債の発行→借金→元本・利息の償還義務(返済)→他人資本
株式の発行→going concern継続会社→株主に返済する必要なし→会社の資金→自己資本
※銀行借入れと社債の違い
銀行借入れの場合、融資する銀行にとってリスクが大きい
社債の場合、小口化して証券化(リスク分散)するので、個々の投資家のリスクは比較的小さい
株式発行による資金調達(Equity Finance)
→新株の発行、新株予約権の発行、新株予約権付社債
募集株式の発行
発行方法
①株主割当て→既存の株主にその持株比率に応じて割り当てる→株主は新株を引き受けることができれば、その持株比率に変動なし
②公募→既存の株主だけでなく、それ以外の投資家も募集するので、株式を割り当てられる可能性がある。→既存の株主の持株比率は維持されない。
③第三者割当て→一本釣り→縁故により特定のスポンサーに声をかける→他の者(既存株主・一般投資家)はその株式を割り当ててもらう権利がない。→既存の株主にとっては持株比率の低下につながる。他方、会社にとっては、迅速な資金調達が可能。→第三者は株式の価格のディスカウントを要求した場合→有利発行→既存株主にとっては、は持株比率の低下のみならず、一株あたりの価値の低下も免れない。
授権資本制度
定款で発行可能株式総数の定め(会社37条1項、2項)=授権枠→取締役会決議による募集株式の自由発行枠(会社199条2項、201条1項)
会社設立時の発行→発行済株式総数の4分の1(残りの4分の3は取締役会の自由裁量枠)
授権枠内での取締役会の発行の自由裁量→資金ショートによる倒産を防ぎ、機動的資金調達を確保するため
授権枠を超えた発行には、取締役会の裁量なし→それでも資金を調達したい場合→生ビールのジョッキの変更→定款変更
生ビール中ジョッキ→生ビール大ジョッキ
新株発行の手続
公開会社では、有利発行の場合を除き、取締役会決議で募集事項を決定(会社201条1項、202条3項3号)→授権枠の範囲内で新株を発行して、割り当てることは取締役会の自由裁量→割当て自由の原則→原則として、誰にどれだけ割当ててもいい。
有利発行(時価よりも安い価格での発行)の場合は、株主総会特別決議による承認も必要。
非公開会社では、原則として、株主総会特別決議で募集事項を決定(会社199条2項、309条2項5号)
募集事項→公開会社では取締役会が決定
①募集株式の数、種類
②払込金額またはその算定方法
③現物出資の場合はその内容・価額
④出資の履行(払込み・給付)の期日または期間
⑤増加する資本金・資本準備金
募集要項の株主への通知または公告→払込期日の2週間前まで
→ただし、有価証券届出書を提出している場合、通知・公告は不要
新株発行の副作用
希釈化、希薄化(dilution)
・持株比率の低下
・1株あたりの価値の低下(有利発行の場合)
会社による募集事項等の通知・公告(会社201条3項以下)→株主に発行の差止請求の機会を付与
申込み→割当て(割当て自由)
有利発行
→募集株式を引き受ける者に特に有利な払込金額で募集株式を発行する場合→株主総会特別決議による承認
募集株式を引き受ける者→株主割当以外のすべての者が含まれ、第三者割当ての場合に限られない。
特に有利とは→市場株価からのディスカウント価格
なぜ株主総会特別決議の承認を要するのか?
判例(最判昭50・4・8民集29・4・350)
上場会社の募集株式の公正発行価額は、新株主に急株主と同等の資本的寄与を求め、発行価額は旧株の時価と等しくなければならないという旧株主の利益と、新株を消化し会社が有利な資本調達を実現するという利益との調和の中に求められるべきである。
支配株主が出現する募集株式の発行
支配株主(議決権50%を超える株主)
第三者割当ては、取締役会が、会社の支配株主となる者を決める手段、企業買収防衛手段としても利用可能。
しかし、誰が会社の支配者となるかは株主総会が判断すべき事項ではないか?
会社206条の2→公開会社において、株式引受人の持株割合が2分の1を超えることとなる募集株式の発行について、総株主の10分の1以上の議決権を有する株主が反対を申し出たときは、株主総会の普通決議による承認を要する。
→なぜ、株主総会の普通決議なのか?→誰が会社の支配株主になるかは、取締役の選任決議と同様、議決権の過半数による多数決で決するのが適当だから。
新株発行の瑕疵(不公正発行)
事前の措置(発行の差止請求)
→株式会社が法令・定款に違反し、または著しく不公正な方法であり、これにより株主が不利益(持株比率の低下・一株価値の低下等、希薄化)を受けるおそれがあるとき→株主は会社に対し、発行の差止めを請求できる(会社210条1号・2号)
例えば
法令違反→公開会社なのに、取締役会決議がない
有利発行なのに株主総会特別決議がない
定款違反→定款の発行可能株式総数を超えた新株発行
定款にない種類株式の発行
著しく不公正な方法→支配権に争いがある場合において、経営者が支配権維持・強化のために、自派にのみ株式を発行するなど不当な目的による場合、資金調達の必要性がない。→不公正発行
主要目的ルール
現経営陣の支配権維持目的>資金調達目的(資金需要は常に生み出せる)
(支配権が争われている場合の推認)
事後の措置(無効の訴え・不存在確認の訴え)
新株発行無効の訴え
提訴権者→株主、取締役、監査役
提訴期間→効力発生日から6ヶ月以内
無効事由→特に法定されていないが、取引安全の見地から重大瑕疵に限定
①発行可能株式総数を超過する発行
②定款にない種類の株式の発行
③裁判所による差止仮処分命令に違反した発行
④差止事由が存在するにもかかわらず、株主への通知・公告を欠く発行
無効事由とならない場合
①株主総会特別決議を欠く第三者への有利発行
②公開会社における取締役会決議を欠く代表取締役による発行
③著しく不公正な方法による発行
無効判決の効力
→第三者にも判決の効力が及ぶ→対世効
将来に向かって効力を失う→将来効(遡及効なし)
不存在確認の訴え
→新株発行の登記はあるが、法定手続を経ておらず、払込みもない場合、代表権がない者が発行した場合等
いつでも、誰でも、訴えを提起できる。
オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」
エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」
作詞作曲 楠元純一郎
編曲 山之内馨
<われらの会社法24(会社の資金調達、募集株式の発行)>
ラジオ収録20210116
資金調達Finance
<内部資金調達>
内部留保→剰余金を配当しないことによる、減価償却による
<外部資金調達>
銀行借入れ→借金→元本・利息の償還義務(返済)→他人資本
社債の発行→借金→元本・利息の償還義務(返済)→他人資本
株式の発行→going concern継続会社→株主に返済する必要なし→会社の資金→自己資本
※銀行借入れと社債の違い
銀行借入れの場合、融資する銀行にとってリスクが大きい
社債の場合、小口化して証券化(リスク分散)するので、個々の投資家のリスクは比較的小さい
株式発行による資金調達(Equity Finance)
→新株の発行、新株予約権の発行、新株予約権付社債
募集株式の発行
発行方法
①株主割当て→既存の株主にその持株比率に応じて割り当てる→株主は新株を引き受けることができれば、その持株比率に変動なし
②公募→既存の株主だけでなく、それ以外の投資家も募集するので、株式を割り当てられる可能性がある。→既存の株主の持株比率は維持されない。
③第三者割当て→一本釣り→縁故により特定のスポンサーに声をかける→他の者(既存株主・一般投資家)はその株式を割り当ててもらう権利がない。→既存の株主にとっては持株比率の低下につながる。他方、会社にとっては、迅速な資金調達が可能。→第三者は株式の価格のディスカウントを要求した場合→有利発行→既存株主にとっては、は持株比率の低下のみならず、一株あたりの価値の低下も免れない。
授権資本制度
定款で発行可能株式総数の定め(会社37条1項、2項)=授権枠→取締役会決議による募集株式の自由発行枠(会社199条2項、201条1項)
会社設立時の発行→発行済株式総数の4分の1(残りの4分の3は取締役会の自由裁量枠)
授権枠内での取締役会の発行の自由裁量→資金ショートによる倒産を防ぎ、機動的資金調達を確保するため
授権枠を超えた発行には、取締役会の裁量なし→それでも資金を調達したい場合→生ビールのジョッキの変更→定款変更
生ビール中ジョッキ→生ビール大ジョッキ
新株発行の手続
公開会社では、有利発行の場合を除き、取締役会決議で募集事項を決定(会社201条1項、202条3項3号)→授権枠の範囲内で新株を発行して、割り当てることは取締役会の自由裁量→割当て自由の原則→原則として、誰にどれだけ割当ててもいい。
有利発行(時価よりも安い価格での発行)の場合は、株主総会特別決議による承認も必要。
非公開会社では、原則として、株主総会特別決議で募集事項を決定(会社199条2項、309条2項5号)
募集事項→公開会社では取締役会が決定
①募集株式の数、種類
②払込金額またはその算定方法
③現物出資の場合はその内容・価額
④出資の履行(払込み・給付)の期日または期間
⑤増加する資本金・資本準備金
募集要項の株主への通知または公告→払込期日の2週間前まで
→ただし、有価証券届出書を提出している場合、通知・公告は不要
新株発行の副作用
希釈化、希薄化(dilution)
・持株比率の低下
・1株あたりの価値の低下(有利発行の場合)
会社による募集事項等の通知・公告(会社201条3項以下)→株主に発行の差止請求の機会を付与
申込み→割当て(割当て自由)
有利発行
→募集株式を引き受ける者に特に有利な払込金額で募集株式を発行する場合→株主総会特別決議による承認
募集株式を引き受ける者→株主割当以外のすべての者が含まれ、第三者割当ての場合に限られない。
特に有利とは→市場株価からのディスカウント価格
なぜ株主総会特別決議の承認を要するのか?
判例(最判昭50・4・8民集29・4・350)
上場会社の募集株式の公正発行価額は、新株主に急株主と同等の資本的寄与を求め、発行価額は旧株の時価と等しくなければならないという旧株主の利益と、新株を消化し会社が有利な資本調達を実現するという利益との調和の中に求められるべきである。
支配株主が出現する募集株式の発行
支配株主(議決権50%を超える株主)
第三者割当ては、取締役会が、会社の支配株主となる者を決める手段、企業買収防衛手段としても利用可能。
しかし、誰が会社の支配者となるかは株主総会が判断すべき事項ではないか?
会社206条の2→公開会社において、株式引受人の持株割合が2分の1を超えることとなる募集株式の発行について、総株主の10分の1以上の議決権を有する株主が反対を申し出たときは、株主総会の普通決議による承認を要する。
→なぜ、株主総会の普通決議なのか?→誰が会社の支配株主になるかは、取締役の選任決議と同様、議決権の過半数による多数決で決するのが適当だから。
新株発行の瑕疵(不公正発行)
事前の措置(発行の差止請求)
→株式会社が法令・定款に違反し、または著しく不公正な方法であり、これにより株主が不利益(持株比率の低下・一株価値の低下等、希薄化)を受けるおそれがあるとき→株主は会社に対し、発行の差止めを請求できる(会社210条1号・2号)
例えば
法令違反→公開会社なのに、取締役会決議がない
有利発行なのに株主総会特別決議がない
定款違反→定款の発行可能株式総数を超えた新株発行
定款にない種類株式の発行
著しく不公正な方法→支配権に争いがある場合において、経営者が支配権維持・強化のために、自派にのみ株式を発行するなど不当な目的による場合、資金調達の必要性がない。→不公正発行
主要目的ルール
現経営陣の支配権維持目的>資金調達目的(資金需要は常に生み出せる)
(支配権が争われている場合の推認)
事後の措置(無効の訴え・不存在確認の訴え)
新株発行無効の訴え
提訴権者→株主、取締役、監査役
提訴期間→効力発生日から6ヶ月以内
無効事由→特に法定されていないが、取引安全の見地から重大瑕疵に限定
①発行可能株式総数を超過する発行
②定款にない種類の株式の発行
③裁判所による差止仮処分命令に違反した発行
④差止事由が存在するにもかかわらず、株主への通知・公告を欠く発行
無効事由とならない場合
①株主総会特別決議を欠く第三者への有利発行
②公開会社における取締役会決議を欠く代表取締役による発行
③著しく不公正な方法による発行
無効判決の効力
→第三者にも判決の効力が及ぶ→対世効
将来に向かって効力を失う→将来効(遡及効なし)
不存在確認の訴え
→新株発行の登記はあるが、法定手続を経ておらず、払込みもない場合、代表権がない者が発行した場合等
いつでも、誰でも、訴えを提起できる。