われらの法学 レオンラジオ 楠元純一郎

われらの商法总则04 附属性商业行为 商人资格的取得和丧失


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オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」

エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」

作詞作曲 楠元純一郎

編曲 山之内馨

パーソナリティー・講師    東洋大学教授   楠元純一郎

パーソナリティー・録音師 美術家     レオー

常連ゲスト 哲学者・大学外部総合評価者  松尾欣治

常連ゲスト 岡山大学教授・弁護士  張紅

楠元ゼミゼミ長 AN YU


<商法総則第4回(附属的商行為と商人資格の取得時期)>




1 附属的商行為

商行為

基本的商行為→絶対的商行為(商501条)・営業的商行為(商502条)

補助的商行為→附属的商行為(商503条)

附属的商行為→商人(すでに商人資格を得ていることが前提)がその営業のためにする行為(商503条1項)。

商人の行為は営業のためにするものと推定される(商503条2項)。

会社がその事業としてする行為およびその事業のためにする行為は商行為とされ(会社5条)、 会社の場合にも商法503条2項が適用されると解されており(最判平20・2・22民集62巻2号576頁)、それによれば、会社の行為は事業のためにするものと推定されることになる。

→要するに、代表取締役の個人生活に基づく行為により、会社も事業または事業のためにする行為以外の行為もありうるってこと!?

個人商人または会社の代表取締役には、企業生活もあれば、個人の日常生活もあるため、そのすべての行為が営業(事業)のためにするものとは限らない。

よって、ある行為が個人商人または会社の代表取締役の日常生活のための行為であるならば、その推定規定により、それを「日常生活のため」であったことを主張する者が反証(営業・事業のためではなかったこと)を挙げ、その立証責任を尽くさなければ認められない。

 基本的には,自己の名をもって商行為を業として行なっているか(固有の商人,商4条1項),商行為を行なわない場合であっても店舗的設備で物品を販売しているか,鉱業を営んでいれば(擬制商人,商4条2項),いずれも商人である。

 しかし,近い将来,固有の商人となるはず(意思・計画あり)ではあるが,未だ基本的商行為を営んでおらず,または,同様に,擬制商人となるはずではあるが,未だ店舗的設備での販売を行なっていないか,鉱業用設備を整えていない場合であったとしても,営業のためにする目的で,たとえば,営業設備の購入・賃貸借またはリース契約,営業資金の借入れのための金銭消費貸借契約等を締結するといった,いわゆる,開業準備行為を行なう段階においても商人資格が認められる。

つまり、その時点で商人となり、その商人が営業 のためにする附属的商行為をしたとすれば,商行為法が適用されうると考えられている。

営業のためにする開業準備行為には、営業(事業)所・工場・倉庫の開設、機械の購入・賃借・リース、従業員の雇用、開店広告、営業(事業)資金の借入れ等がある。

 もっとも,会社の場合は,設立登記がなされ,会社が成立した時点において,未だ事業を開始していなくても,商人資格が認められると解されている。

 

 商行為法が適用されると,商事代理(商504条),商事契約の申込みの効力(商508条~510条),多数当事者間の連帯債務または保証債務の連帯性(商511条1項・2項),報酬請求権(商512条),利息請求権(商513条), 流質契約の許容(商515条),商人間の留置権(商521条), 等のように,民法を修正した規定が適用されることになり,当事者の利害にかかわってくる。

 ただし、平成29年民法改正に伴う商法改正で、商事法定利率(旧商514条)および商事債権の消滅時効(旧商522条)の規定が削除され、民商法において差異がなくなったため、その点に関する商人資格の取得時期をめぐる議論の実益はなくなった。

2 商人資格の取得時期

 開業準備行為に商行為法を適用させるためには,それを附属的商行為(商503条1項)ととらえる必要があり,その前提として,その行為者が商人資格をすでに取得していることが必要である。

 結局、附属的商行為の規定があるからこそ、開業準備行為における商人資格の取得時期が問題となるともいえますね。

実際に,いつ商人資格が取得されるのか(商人資格の取得時期)については,以下のように,学説・判例が分かれている。

(1)表白行為説

 表白行為説は,単に営業の準備行為を行っているというだけでは不十分であり,営業の意思を外部に発表しなければならないとするもので、初期の大審院判例の立場でもある(大判大14・2・ 10民集4・56)。

 たとえば,商号の登記,店舗の開設,開店広告,看板の掲揚等が外部への意思の発表にあたると解されている。この説に立つと,表白行為がない限り,商人資格が認められないため,多くの開業準備行為に商法が適用されないということになる。

(2)営業意思主観的実現説

 営業意思主観的実現説は,営業意思が開業準備行為によって主観的に実現されれば,店舗開設等の特別な表白行為がなくても,たとえば,営業資金の借入れ,工場や営業用機械の購入・借入れ等,営業意思を主観的・内面的に実現する行為があれば,商人資格が取得され,その行為は附属的商行為となるとするものであり,大審院もこの説に判例を変更した(大判昭6・4・24民集10・289)。

 しかし,それが営業意思の実現であるかは,準備行為の相手方からは必ずしも明らかではなく,それを認識できない相手方に不測の損害を被らせることにもなりかねない。この説は,商人資格時期の判断を,一方当事者の主観に委ねる点で,公平を欠くように思われる。

 その後,最高裁も営業意思主観的実現説に立つことを示しながらも(最判昭33・6・19民集12・10・1575)も,開業準備行為について相手方が認識していたことにも触れている。

(3)営業意思客観的認識可能説

 営業意思客観的認識可能説は,開業意思を対外的に表白することは要せず,また,単に開業意思が主観的に実現されるだけでは足りず,営業意思が相手方に客観的に認識可能であることを要求するもので,これは両当事者にとってより公平であることから多数説となっている。

 

(4)行為自体の性質による営業意思客観的認識可能説

 これは、営業意思客観的認識可能説に立ちながらも,準備行為自体の性質から判断し,単なる営業資金の借入れや日用品の買入れといった行為では客観的な準備行為とはいえず、それだけでは商人資格を取得できないとする説である。

 この(4)の立場に近いと思われる判例(それでも、本件は昭和33年判例を引用はしており、それを変更したものではない)は,「その準備行為は,相手方はもとよりそれ以外の者にも客観的に開業準備行為と認められうるものであることを要すると解すべきところ,単に金銭を借り入れるごとき行為は,特段の事情のないかぎり,その外形からはその行為がいかなる目的でなされるものであるかを知ることができないから,その行為者の主観的目的のみによって直ちにこれを開業準備行為であるとすることはできない。もっとも,その場合においても,取引の相手方が,この事情を知悉している場合には,開業準備行為としてこれに商行為性を認めるのが相当である。」と判示している(最判昭47・2・24民集26・1・172)。

 この立場は、営業意思主観的実現説に行為自体の性質による営業意思客観的認識可能説を加味したものであるといわれている。

(5)段階説(相対説)

 段解説(相対説)は,

第一段階として,行為者の営業意思が準備行為によって主観的に

実現された場合,相手方が行為者の営業意思の存在を立証できれば,相手方からは行為者の商人性を主張できるが,行為者の方からはそれを対抗(主張)できないとし,

第二段階として,行為者の営業意思が特定の相手方に認識されたか,または,認識されうべき状態となったときには,相手方からのみならず,行為者からもその商人性を対抗(主張)でき,

第三段階として,行為者の営業意思が一般的に認識されるようになったときは,その行為者の行為について附属的商行為の推定(商503条2項)が生じるとする学説である。

 この説は,行為者による商人資格の取得の有無を段階的・相対的に決定するものであり,条文にその根拠がないことから技巧的ではあるが,当事者間の主張・立証を通じて,当事者間のきめ細かい利害調整を図ろうとするもので,有力説となっている。

 しかし,この段階説に対して,商人資格の取得は,事実の存否の問題であって,主張の可否(対抗問題)ではないとする消極論もある。

3 商人資格の喪失

 自然人の商人資格の喪失時は,営業目的行為の終了時ではなく,残務処理の完了時であるとされ,その残務整理も,営業のためにする附属的商行為であると解されている。

 会社の商人資格の喪失時は,清算結了時である(会社476条,645条)。




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