オープニングソング「水魚の交わり（魚水情）」

エンディングソング「バイオバイオバイオ（遺伝子の舟）」

作詞作曲　楠元純一郎

編曲　山之内馨

パーソナリティー・講師　　　 東洋大学教授　　　　　　 楠元純一郎

パーソナリティー・録音師　    美術家　　　　　 　　　　　 レオー

常連ゲスト　 　　　　　　  　 哲学者・大学外部総合評価者　 松尾欣治

常連ゲスト　　　　　　　　　 岡山大学教授・弁護士　 張紅

＜われらの商法総則8（営業・営業能力）＞

ラジオ収録20200611

１　営業とは？

　　　主観的意義の営業→商人の営業活動

　　　客観的意義の営業→営業用財産

２　営業活動としての営業

　　　営業の自由（憲22条1項）→職業選択の自由・廃業の自由←公共の福祉に反しない限り自由

　　　営業の自由の制限

　　　　　公序良俗に反する行為の制限→密輸、賭博開帳

　　　　　国家財政上の理由による制限→国の指定した者の独占事業

　　　　　一般公安・保健衛生・事業の公共性の理由による制限（許可・免許）→古物商、飲食店、風俗営業、銀行業、保険業、電気事業、運送業等

　　　　　競業・営業の制限（商16条、23条、28条）→営業譲渡人、支配人、代理商の競業避止義務

　　　　　商号使用の制限（商12条）→不正の目的をもって他の承認であると誤認されるおそれのある名称または商号を使用してはならない。

　　　　　不正競争防止法・独占禁止法上の制限

３　営業能力

　　　営業能力←自分で営業活動を行う能力←民法の行為能力に関する一般原則

未成年者（二十歳未満。令和4年4月1日から18歳未満）

　原則として法定代理人の同意がなければ法律行為ができず（民5条1項）、その同意がない場合、取消し可（同条2項）。

　法定代理人が一種または数種の営業を許可すれば、その営業について成年者と同一の行為能力を有する（民6条）。

　未成年者登記簿（商5条）←第三者が当該未成年者に営業許可があるかどうかを確認するために必要。

法定代理人（親権者・後見人）による営業（後見人登記簿）←未成年者に代わって（民824条、825条、859条、商6条）

※なぜ後見人登記が必要なのか？→後見監督人が置かれている場合、後見人が営業を行うには後見監督人の同意が必要であることから（民854条）、公示のために登記が必要。

※親権者が未成年者に代わって営業を行う場合は登記は不要。

成年被後見人（精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者で、家庭裁判所で後見開始の審判を受けた者）

　　　　成年被後見人の法律行為→日常生活に関する行為以外、取消し可

（民9条）

　　　　後見人による営業（後見人登記簿）←成年被後見人に代わって

（民859条、商6条1項）

被保佐人（精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者で、家庭裁判所で保佐開始の審判を受けた者）

　民法13条1項各号の行為（重要な財産に関する行為）で、保佐人の同意がない行為→取消し可（民13条4項）。

　保佐人→法定代理人ではない→保佐人が代わって営業不可。→保佐人の同意を得て、支配人を選任し、その支配人が代わって営業することは理論上可能。

被補助人（精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者で、家庭裁判所で補助開始の審判を受けた者）

　家庭裁判所の審判で補助人の同意を要するとされた特定の法律行為（民13条1項各号の一部）について補助人の同意のない行為→取消し可（民17条4項）。※補助人に代理権を付与する審判を得れば（民876条の9）、補助人が代わって営業が可能。

任意後見人（任意後見契約による後見人）

　公正証書を作成した公証人による任意後見契約の登記の嘱託

　家庭裁判所による任意後見監督人の選任により任意後見契約は発効

　任意後見人の代理権は、任意後見契約の登記事項証明書で確認。

　　　中国語の後見人＝監護人

４　営業用財産としての営業

　　　客観的意義の営業→一定の企業目的のために組織化され、有機的一体となった営業財産の総体（多数の物や権利の寄せ集めではない！）

　　　積極財産

物（商品・機械・土地・建物・工場等の動産・不動産）

権利（物権・債権・有価証券・知的財産権）

事実関係・暖簾・営業権（営業上の秘訣・ノウハウ・仕入先・得意先（顧客）・創業の年代（老舗）・信用・地理的条件・営業の組織、熟練工・職人）

　　　消極財産

　　　　　　営業上の債務

５　営業所

　　　営業活動の中心地であり、内部的に営業の指揮命令が発せられる場所。

　　　商行為によって生じた債務の履行場所（商516条）

　　　裁判管轄の決定（民訴4条4項、5条5号、破産5条1項、民再5条1項、会更5条1項2項）

　　民事訴訟の書類の送達場所（民訴103条）

　　商業登記の管轄の決定（商登1条の3）

　　会社設立の管轄登記所（会社4条）

　　表見支配人の認定（商24条）

　　　中国→表見総経理の問題

　　本店→営業を統括する主たる営業所

　　支店→従たる営業所で一定の範囲で独立性を有するもの