われらの法学 レオンラジオ 楠元純一郎

われらの商法总则11 营业转让 事业转让


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オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」

エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」

作詞作曲 楠元純一郎

編曲 山之内馨

パーソナリティー               楠元純一郎    東洋大学教授       

パーソナリティー・録音師      レオー      美術家           

ゲスト                                         松尾欣治     哲学者・大学外部総合評価者 

ゲスト                                         贾林                      大学院博士課程  


<われらの商法総則11(営業譲渡・事業譲渡)>

ラジオ収録20200702


1 営業譲渡・事業譲渡の意義


 営業譲渡とは?

 「一定の営業目的のため組織化され、有機的一体として機能する財産(得意先関係等の経済的価値ある事実関係を含む)の全部または重要な一部を譲渡し、これによって、譲渡会社(人)がその財産によって営んでいた営業活動の全部または重要な一部を譲受人に受け継がせ、譲渡会社(人)からの譲渡の限度に応じ、法律上当然に法定の競業避止義務を負う結果を伴うもの」(最大判昭和40・9・22民集19・6・1600)


※営業は、会社の場合、事業というが、実質は同じである。


営業用財産とは?

 積極財産→動産・不動産・物権・債権・知的財産権・事実関係

  事実関係(暖簾・営業権)→仕入先・得意先・秘訣(ノウハウ)・老舗(創業の年代)・販売の機会・営業の組織

 消極財産→営業上の債務


営業譲渡契約

 組織再編行為ではなく取引行為←会社分割とは似ているが異なる

 包括承継ではなく、個別承継→個別的移転手続が必要(たとえば、債権者の同意等)


2 営業譲渡の効果としての競業避止義務

 営業譲渡人は、当事者の別段の意思表示がない限り、同一の市町村の区域内およびこれに隣接する市町村の区域内においては、その営業を譲渡した日から20年間は、同一の営業を行ってはならない(商16条1項)。

 譲渡人が同一の営業を行わない旨の特約をした場合には、その特約は、その営業を譲渡した日から30年の期間内に限り、その効力を有する(商16条2項)

 譲渡人は、不正の競争の目的をもって同一の営業を行ってはならない。

  ※不正の競争の目的→譲受人の顧客を不正に奪取する目的のこと(大判大7・11・6新聞1502・24、知財高判平成29・6・15判時2355号62頁)。


3 商号続用営業譲受人の債務引受責任

  譲渡人ーーーーーーーーーー→譲受人(商号続用)

  (債務)

   |

  債権者

 営業の譲受人が譲渡人の商号を引き続き使用する場合には、その譲受人も、譲渡人の営業によって生じた債務を弁済する責任を負う(商17条1項、会社22条1項)

 続用商号→完全に一致していなくても主要部分で共通していればよい。

  ただし、判例は、「有限会社米安商店」と「合資会社新米安商店」は商号の続用には当たらないとした(最判昭和38・3・1民集17・2・280)。


 商号続用譲受人の責任の消滅

  営業譲渡日から2年経過後(商17条3項、会社22条3項)


 商号続用譲受人の債務引受免責(免責登記・免責通知)

  営業譲渡後、遅滞なく、譲渡人の債務を弁済する責任を負わない旨を登記した場合、または、譲渡人・譲受人から第三者に対してその旨通知した場合は、譲受人は債務引受責任を負わない(商17条2項、会社22条2項)。


3 債務引受責任規定の類推適用

 会社法22条1項の類推適用を認めた事例

  株式会社が事業の現物出資を受けた事例(最判昭和47・3・2民集26・2・183)

  新設分割により分割会社から事業を承継した事例(商号ではなくゴルフクラブの名称が続用された事例)(最判平成20・6・10判時2014号150頁)

※類推適用の根拠→これらは取引行為である事業譲渡とは異なるが、事業の移転を目的とした法律行為である点で共通。


4 商号続用譲受人に対する弁済の効力

  譲渡人ーーーーーーーーーー→譲受人(商号続用)

  (債権)

   |

  債務者


  譲渡人の債務者は、商号が続用されたことで、譲受人を自己の債権者であると誤認して弁済する可能性が高い→民478条の要件緩和

 民478条→受領権者(債権者および法令の規定または当事者の意思表示によって弁済を受領する権限を付与された第三者)以外の者であって取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有するものに対してした弁済は、その弁済をした者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限り、その効力を有する。(善意・無過失)


 商17条4項・会社22条4項→譲渡人の営業によって生じた債権について、その譲受人にした弁済は、弁済者が善意でかつ重大な過失がないときは、その効力を有する。→善意・無重過失(保護要件として軽過失免除)


5 商号を続用しない場合の、譲受人による債務引受けの広告

  商号続用がなければ、譲受人が債務引受けをしない限り、譲渡人の営業上の債務を弁済する責任はないが、あえて、債務を引き受ける広告をした場合、禁反言の原則により、その弁済責任を負う(商18条1項、会社23条1項)。

 広告があった日から2年以内に請求または請求の予告がない場合は弁済責任は消滅。


6 詐害的営業譲渡

 譲渡人が譲受人に承継されない債務の債権者(残存債権者)を害することを知って営業を譲渡した場合には、残存債権者は、その譲受人に対して、承継した財産の価額を限度として、当該債務の履行請求することができる。ただし、その譲受人が営業の譲渡の効力が生じた時において残存債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。(商18条の2第1項、会社23条の2第1項)


譲渡人ーーーーーーーーーーー→譲受人(商号続用)

(A債務) (B債務)→

 |(残存) | (譲渡)

A残存債権者 B債権者



 優良事業とそれに必要な債務だけを譲渡し、不採算事業および一部の債務などを切り離し、譲渡会社に残す→取り残される債権者(残存債権者)を害することを知っている→残存債権者は譲受人に履行請求できる。


※事業譲渡自体を取り消すわけではない。

※民法上の詐害行為取消権「債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした行為の取消しを裁判所に請求することができる。ただし、その行為によって利益を受けた者(受益者)がその行為の時において債権者を害することを知らなかったときはこの限りでない(民424条1項)


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