
Sign up to save your podcasts
Or
オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」
エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」
作詞作曲 楠元純一郎
編曲 山之内馨
パーソナリティー 楠元純一郎 東洋大学教授
パーソナリティー・録音師 レオー 美術家
ゲスト 松尾欣治 哲学者・大学外部総合評価者
ゲスト 贾林 大学院博士課程
<われらの商法総則12(商業帳簿・商業使用人(1))>
ラジオ収録 20200709
1 商業帳簿
商人は一定の方法により商業帳簿(会計帳簿および貸借対照表)を作成し、10年間、保存し、裁判所の命令があるときはこれを提出しなければならない(商19条2項~4項、商施規4条~8条)
→小商人(商7条)、法人である商人(商施規2条1号かっこ書)には不適用。
商人の会計処理→一般に公正妥当と認められる会計の慣行に従う(商19条1項)→商業帳簿の作成→一般に公正妥当と認められる会計の基準その他の会計の慣行を斟酌しなければならない(商施規4条2項)。
①企業会計審議会の定めた企業会計原則
②企業会計基準委員会の定めた企業会計基準
③日本公認会計士協会等が定めた中小企業の会計に関する指針などの会計基準
商業帳簿の意義→商人がその営業のために使用する財産について、法務省令で定めるところにより、適時に作成することを商法上義務づけられている帳簿(商19条1項)。
商業帳簿→会計帳簿、貸借対照表(B/S)
会計帳簿→営業上の財産およびその価額、ならびに取引その他営業上の財産に影響を及ぼすべき事象を記録した帳簿(平成17年改正前商33条1項参照)
主要簿
日記張(日々の取引を発生順に記載したもの)
仕訳帳(取引を借方と貸方に仕訳するもの)
総勘定元帳(仕訳帳に基づいて細分化された勘定項目に転記するもの)
補助簿
補助元帳(売掛金元帳、買掛金元帳、商品有高張(ありだかちょう)
補助記入帳(現金出納帳、売上帳、仕入帳、手形記入張)
貸借対照表→一定期日(開業時または決算期等)における商人の財産状態を表示した一覧表
借方(かりかた)→資金の使途→資産の部
貸方(かしかた)→資金の出処→負債の部、純資産の部
負債の部とは?→銀行借入れなら元本・利息の支払い債務、買掛債務の代金支払債務、手形なら手形債務
純資産の部とは?→商人の自己資金
商業帳簿の保存義務
商業帳簿および営業に関する重要書類(契約書、受領証、発信証書の控え等)を、帳簿閉鎖の時(決算締切の時)から、10年間保存(商19条3項)
2 商業使用人
企業内補助者
→商人に従属し、企業内で商人を補助する者→商業使用人
企業外補助者→商人を企業外から補助する独立の商人
→補助商→代理商、仲立人、問屋、運送取扱人
代理商→商人の企業外部から、特定商人を代理または媒介で補助。
※締約代理商なら代理で(代理店)、媒介代理商なら媒介で特定商人を補助。
仲立人→商人の企業外部から、不特定多数の商人(者)のために
媒介をする者 ※媒介=他人間の契約の成立に向けて尽力
※仲立人なら、不特定多数の商人を媒介で補助
問屋(といや)(とんやではない)
→商人の企業外部から、不特定多数の商人(者)のために、
物品の売買の取次をする者
問屋→自己の名で、他人の計算で物品の売買の取次をする者
※問屋なら不特定多数の商人を取次で補助
運送取扱人(自己の名で、他人の計算で、運送の取次をする者)
※運送取扱人なら不特定多数の商人を運送の取次で補助
ここでいう問屋(といや)は、問屋(とんや)=卸売業者とは異なる!
メーカー(B)→卸売業者(B)→小売業者(B)→消費者(C)
(問屋とんや)
<問屋(といや)> L字型
(経済効果の帰属) 他人(顧客)
↓ (他人と相手方との間の法律効果)
(法律効果の帰属) 問屋(証券会社A) ←売買契約→ 相手方(証券会社B)
<運送取扱人>→商人の企業外部から、不特定多数の商人(者)のために、
運送の取次をする者
<代理>
本人(商人)
↓(代理権授与契約)
代理人(商業使用人)← 営業取引 →相手方
(契約)
商業使用人=従業員+商業代理権(営業員)
商人に従属して(雇用関係にあり)、商人に代わって営業を行う商業代理権を有する者→営業の代理を行わない者、たとえば、会計担当、工場の技師、職工、運送業者の運転手等は、使用人ではあるが、商業使用人ではない。
支配人→商業使用人のうち、商人に代わってその営業に関する一切の裁判上(訴えたり訴えられたりできること)または裁判外の行為(対外的な契約等)をする権限を有する者(商21条1項)←包括代理権(支配権)
→商人は、支配人を選任し、その営業所で、その営業を行わせることができる(商20条)←支配権を与えられた主任者
※小商人は支配人を選任不可(商7条、22条)
→支配人は、他の使用人を選任し、または解任することができる(商21条2項
選任→代理権授与行為(+雇用契約)
→支配人の代理権に加えた制限は、これをもって善意の第三者に対抗不可(商21条3項)→第三者に重過失がある場合、悪意相当(最判平成2・2・22集民159号169頁)→ただし、この制限は内部的には有効→制限に違反した支配人は債務不履行に基づく損害賠償責任を負う。
→支配人の選任→登記(商22条)
支配人の義務→商人との強度の信頼関係、機密保持→営業避止義務(職務専念義務→自ら営業ができない。他の商人または会社もしくは外国会社の使用人になれない。会社の取締役、執行役または業務執行社員になれない。競業避止義務(営業主である商人の営業の部類に属する取引ができない)
支配権の濫用→自己または第三者の利益を図るために行う行為
→平成29年民法改正→代理人が自己または第三者の利益を図る目的で権限濫用行為をした場合→相手方がその濫用目的を知り(悪意)、または知ることができたときは(有過失)、その行為は無権代理人がした行為とみなす(民107条)。
オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」
エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」
作詞作曲 楠元純一郎
編曲 山之内馨
パーソナリティー 楠元純一郎 東洋大学教授
パーソナリティー・録音師 レオー 美術家
ゲスト 松尾欣治 哲学者・大学外部総合評価者
ゲスト 贾林 大学院博士課程
<われらの商法総則12(商業帳簿・商業使用人(1))>
ラジオ収録 20200709
1 商業帳簿
商人は一定の方法により商業帳簿(会計帳簿および貸借対照表)を作成し、10年間、保存し、裁判所の命令があるときはこれを提出しなければならない(商19条2項~4項、商施規4条~8条)
→小商人(商7条)、法人である商人(商施規2条1号かっこ書)には不適用。
商人の会計処理→一般に公正妥当と認められる会計の慣行に従う(商19条1項)→商業帳簿の作成→一般に公正妥当と認められる会計の基準その他の会計の慣行を斟酌しなければならない(商施規4条2項)。
①企業会計審議会の定めた企業会計原則
②企業会計基準委員会の定めた企業会計基準
③日本公認会計士協会等が定めた中小企業の会計に関する指針などの会計基準
商業帳簿の意義→商人がその営業のために使用する財産について、法務省令で定めるところにより、適時に作成することを商法上義務づけられている帳簿(商19条1項)。
商業帳簿→会計帳簿、貸借対照表(B/S)
会計帳簿→営業上の財産およびその価額、ならびに取引その他営業上の財産に影響を及ぼすべき事象を記録した帳簿(平成17年改正前商33条1項参照)
主要簿
日記張(日々の取引を発生順に記載したもの)
仕訳帳(取引を借方と貸方に仕訳するもの)
総勘定元帳(仕訳帳に基づいて細分化された勘定項目に転記するもの)
補助簿
補助元帳(売掛金元帳、買掛金元帳、商品有高張(ありだかちょう)
補助記入帳(現金出納帳、売上帳、仕入帳、手形記入張)
貸借対照表→一定期日(開業時または決算期等)における商人の財産状態を表示した一覧表
借方(かりかた)→資金の使途→資産の部
貸方(かしかた)→資金の出処→負債の部、純資産の部
負債の部とは?→銀行借入れなら元本・利息の支払い債務、買掛債務の代金支払債務、手形なら手形債務
純資産の部とは?→商人の自己資金
商業帳簿の保存義務
商業帳簿および営業に関する重要書類(契約書、受領証、発信証書の控え等)を、帳簿閉鎖の時(決算締切の時)から、10年間保存(商19条3項)
2 商業使用人
企業内補助者
→商人に従属し、企業内で商人を補助する者→商業使用人
企業外補助者→商人を企業外から補助する独立の商人
→補助商→代理商、仲立人、問屋、運送取扱人
代理商→商人の企業外部から、特定商人を代理または媒介で補助。
※締約代理商なら代理で(代理店)、媒介代理商なら媒介で特定商人を補助。
仲立人→商人の企業外部から、不特定多数の商人(者)のために
媒介をする者 ※媒介=他人間の契約の成立に向けて尽力
※仲立人なら、不特定多数の商人を媒介で補助
問屋(といや)(とんやではない)
→商人の企業外部から、不特定多数の商人(者)のために、
物品の売買の取次をする者
問屋→自己の名で、他人の計算で物品の売買の取次をする者
※問屋なら不特定多数の商人を取次で補助
運送取扱人(自己の名で、他人の計算で、運送の取次をする者)
※運送取扱人なら不特定多数の商人を運送の取次で補助
ここでいう問屋(といや)は、問屋(とんや)=卸売業者とは異なる!
メーカー(B)→卸売業者(B)→小売業者(B)→消費者(C)
(問屋とんや)
<問屋(といや)> L字型
(経済効果の帰属) 他人(顧客)
↓ (他人と相手方との間の法律効果)
(法律効果の帰属) 問屋(証券会社A) ←売買契約→ 相手方(証券会社B)
<運送取扱人>→商人の企業外部から、不特定多数の商人(者)のために、
運送の取次をする者
<代理>
本人(商人)
↓(代理権授与契約)
代理人(商業使用人)← 営業取引 →相手方
(契約)
商業使用人=従業員+商業代理権(営業員)
商人に従属して(雇用関係にあり)、商人に代わって営業を行う商業代理権を有する者→営業の代理を行わない者、たとえば、会計担当、工場の技師、職工、運送業者の運転手等は、使用人ではあるが、商業使用人ではない。
支配人→商業使用人のうち、商人に代わってその営業に関する一切の裁判上(訴えたり訴えられたりできること)または裁判外の行為(対外的な契約等)をする権限を有する者(商21条1項)←包括代理権(支配権)
→商人は、支配人を選任し、その営業所で、その営業を行わせることができる(商20条)←支配権を与えられた主任者
※小商人は支配人を選任不可(商7条、22条)
→支配人は、他の使用人を選任し、または解任することができる(商21条2項
選任→代理権授与行為(+雇用契約)
→支配人の代理権に加えた制限は、これをもって善意の第三者に対抗不可(商21条3項)→第三者に重過失がある場合、悪意相当(最判平成2・2・22集民159号169頁)→ただし、この制限は内部的には有効→制限に違反した支配人は債務不履行に基づく損害賠償責任を負う。
→支配人の選任→登記(商22条)
支配人の義務→商人との強度の信頼関係、機密保持→営業避止義務(職務専念義務→自ら営業ができない。他の商人または会社もしくは外国会社の使用人になれない。会社の取締役、執行役または業務執行社員になれない。競業避止義務(営業主である商人の営業の部類に属する取引ができない)
支配権の濫用→自己または第三者の利益を図るために行う行為
→平成29年民法改正→代理人が自己または第三者の利益を図る目的で権限濫用行為をした場合→相手方がその濫用目的を知り(悪意)、または知ることができたときは(有過失)、その行為は無権代理人がした行為とみなす(民107条)。