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オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」
エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」
作詞作曲 楠元純一郎
編曲 山之内馨
<われらの商法総則17(営業能力)>
ラジオ収録20210629
テキスト 楠元純一郎著『サマリー商法総則・商行為法(第2版)』(中央経済社・2021年)
東洋大学教授 楠元純一郎(商法)
東洋大学講師 根岸謙(民法)
哲学者 松尾欣治
編集 レオー
営業→法律行為(契約)→行為能力が必要→単独で法律行為をして、完全な法律効果を発生させること。
①行為能力とは何か?
→自然人の行為能力とは単独で法律行為をして完全な法律効果(権利義務の発生・変更・消滅)をもたらすことのできる能力といってよいか?法人の行為能力とは機関がその権限の範囲内で行った行為の効果を法人に帰属させる能力といってよいか?
法律行為→意思表示で権利義務の発生・変更・消滅をもたらす行為
→契約(双方行為)、単独行為(遺言・取消し、代理の追認)、合同行為(社団の設立、会社設立?)
→営業能力
営業能力→営業権利能力、営業行為能力
意思能力→自然人特有のもの
意思無能力→無効
第二節 意思能力
民第三条の二 法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。→立証が困難
②意思能力がないということで無効となったケースはあるのか?
その場合、困難な立証をどのようにしているのか?
立証の容易化→制限行為能力制度
取消しは、取り消さなければ有効、つまり、表意者等に無効にするか選択させる制度。
制限行為能力者による営業
<1> 未成年者→20歳未満→未熟なため判断能力が必ずしも十分ではないことから保護する必要あり
(例えば、未成年者が騙されて高額な買い物をさせられる!)
→法定代理人(親権者・未成年後見人)の同意が必要
→法定代理人は読んで字のごとく代理人であることから、代理人であるが、同意権もある!
→同意なし→取消し 取消し→取り消されて初めて無効となる→取り消されなければ有効→いつ取り消されるかわからない→取引の安全上、支障あり。
同意は不要、同意がなくても取り消されない場合
→未成年者が単に権利を得(お年玉をもらう=贈与契約=法律行為→贈与を受ける)
義務を免れるような法律行為
→未成年者を害さないから
法定代理人が目的を定めて処分を許した財産=お小遣いのこと?
(未成年者の法律行為)
民法第五条 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
2 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
3 第一項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。
③ここで法定代理人とはなんなのか?→ここで法定代理人が親権者・未成年後見人であるという根拠条文はどこにあるか?
④法定代理人の同意のない未成年者の法律行為を取り消すことができるのは誰なのか?
取消権者→未成年者、法定代理人(親権者・未成年後見人)
(取消権者)
民法第百二十条 行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者(他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為にあっては、当該他の制限行為能力者を含む。)又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる。
未成年後見人とは
民法第八百三十八条 後見は、次に掲げる場合に開始する。
一 未成年者に対して親権を行う者がないとき、又は親権を行う者が管理権を有しないとき。
⑤未成年後見人(後見人)はなぜ代理人なのか?財産に関する法律行為について被後見人を代表するからなのか?
(財産の管理及び代表)
民法第八百五十九条 後見人は、被後見人の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為について被後見人を代表する。
2 第八百二十四条ただし書の規定は、前項の場合について準用する。
<未成年者が営業をする場合>
未成年者の営業許可制度
(未成年者の営業の許可)
民法第六条 一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する。→法定代理人の同意は不要、同意がなくても取り消されない。
2 前項の場合において、未成年者がその営業に堪えることができない事由があるときは、その法定代理人は、第四編(親族)の規定に従い、その許可を取り消し、又はこれを制限することができる。
(未成年者登記)
商法第五条 未成年者が前条の営業を行うときは、その登記をしなければならない。
→未成年者登記簿(どのような営業について許可をしたか)
(未成年者登記の登記事項等)
商業登記法第三十五条 商法第五条の規定による登記において登記すべき事項は、次のとおりとする。
一 未成年者の氏名、出生の年月日及び住所
二 営業の種類
三 営業所
2 第二十九条の規定は、未成年者の登記に準用する。
以上が、未成年者自身が営業をする場合
営業(法律行為)のたびに、法定代理人の同意を得る方法→煩雑
営業許可を得て、登記をした上で、営業をする方法
では、未成年者が誰かに代わって営業をしてもらうことはできるか?
<未成年者に代わって代理人が営業をする場合>
法定代理人は未成年者を代理して営業ができるか?
法定代理人(親権者・未成年後見人)には代理権があるため、代理営業ができる。
→親権者が未成年者に代理して営業をする場合、登記は不要。
未成年後見人が代理営業をする場合、登記が必要→商登40条
(後見人登記の登記事項等)→親権者については登記は関係なし。
第四十条 商法第六条第一項の規定による登記において登記すべき事項は、次のとおりとする。一 後見人の氏名又は名称及び住所並びに当該後見人が未成年後見人又は成年後見人のいずれであるかの別
二 被後見人の氏名及び住所
三 営業の種類
四 営業所
五 数人の未成年後見人が共同してその権限を行使するとき、又は数人の成年後見人が共同してその権限を行使すべきことが定められたときは、その旨
六 数人の未成年後見人が単独でその権限を行使すべきことが定められたときは、その旨
七 数人の後見人が事務を分掌してその権限を行使すべきことが定められたときは、その旨及び各後見人が分掌する事務の内容
2 第二十九条の規定は、後見人の登記に準用する。
未成年者の法定代理人(親権者・未成年後見人)には同意権も代理権もある!
<2> 成年被後見人→精神障害によって事理弁識能力を欠く常況(判断能力が常にない)にあって、家庭裁判所で後見開始の審判を受けた者 →詐欺被害等からの保護の必要
(後見開始の審判)
民法第七条 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる。
(成年被後見人及び成年後見人)
民法第八条 後見開始の審判を受けた者は、成年被後見人とし、これに成年後見人を付する。
(成年被後見人の法律行為)
民法第九条 成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。→成年被後見人の保護
ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。
→人権問題
日用品の購入その他の日常生活に関する行為以外はすべて取消し
営業行為は日常生活に関する行為ではない!
成年被後見人の営業行為→すべて取消し→成年被後見人は営業がまったくできない!
→成年後見人に代理営業をやらせるほかない。
成年被後見人が勝手に行った営業→取り消される
⑥成年被後見人の法律行為を取り消すことができるのは誰なのか?
取消権者→成年被後見人、成年後見人(代理人)
(取消権者)
民法第百二十条 行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者(他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為にあっては、当該他の制限行為能力者を含む。)又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる。
⑦成年後見人はなぜ代理人なのか?
(財産の管理及び代表)
民法第八百五十九条 後見人は、被後見人の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為について被後見人を代表する。
2 第八百二十四条ただし書の規定は、前項の場合について準用する。
(後見人登記)
商法第六条 後見人が被後見人のために第四条の営業を行うときは、その登記をしなければならない。
2 後見人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。→包括代理権
(後見人登記の登記事項等)
商業登記法第四十条 商法第六条第一項の規定による登記において登記すべき事項は、次のとおりとする。一 後見人の氏名又は名称及び住所並びに当該後見人が未成年後見人又は成年後見人のいずれであるかの別
二 被後見人の氏名及び住所
三 営業の種類
四 営業所
五 数人の未成年後見人が共同してその権限を行使するとき、又は数人の成年後見人が共同してその権限を行使すべきことが定められたときは、その旨
六 数人の未成年後見人が単独でその権限を行使すべきことが定められたときは、その旨
七 数人の後見人が事務を分掌してその権限を行使すべきことが定められたときは、その旨及び各後見人が分掌する事務の内容
2 第二十九条の規定は、後見人の登記に準用する。
<3> 被保佐人→精神障害により事理弁識能力が著しく不十分であり、家庭裁判所により保佐開始の審判を受けた者
いかなる法律行為が制限されるのか?→民13条1項各号の行為→重要な財産行為
制限されるとは?→保佐人の同意なければ、取り消される
民13条1項各号の行為(重要な財産行為=営業行為もそれに含まれる)を被保佐人がするときは、保佐人の同意が必要。
→保佐人の同意がなければ取消し
問題は、保佐人には→同意権はあるが代理権はない
→保佐人が代理営業をすることはできない。
保佐人に代理営業をしてもらうこともできない。
→被保佐人は、保佐人が同意してくれなければ、自ら営業行為をすることができず、
さらに、保佐人に代理営業をさせることはできない!
→被保佐人は未成年者や成年被後見人や被補助人に比べて、代理営業をさせることができないという意味で、最も不利な立場に置かれているのではないか!
そこで、解釈
→営業行為をする被保佐人(商人)の代理人として支配人を選任
その支配人の選任につき、保佐人の同意を得る。
その支配人に代理営業をさせることは解釈上、可能か?。
⑧支配人の選任について保佐人の同意を得れば、被保佐人は支配人に代理営業をさせることができるとする学説について、支配人の選任は民法13条1項各号のどれに該当するのか?
民法第十一条 精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、保佐開始の審判をすることができる。ただし、第七条に規定する原因がある者については、この限りでない。
(被保佐人及び保佐人)
民法第十二条 保佐開始の審判を受けた者は、被保佐人とし、これに保佐人を付する。
(保佐人の同意を要する行為等)
民法第十三条 被保佐人が次に掲げる行為をするには、その保佐人の同意を得なければならない。ただし、第九条ただし書に規定する行為については、この限りでない。
一 元本を領収し、又は利用すること。(銀行預金の引き出し、元本すなわち利息・賃料などを生ずる財産の返還を受け、または元本として貸与すること)
二 借財又は保証をすること。(借金(手形の振出・裏書も含む)、保証人になること)
三 不動産その他重要な財産(動産、有価証券、特許権・著作権も含む)に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。(売買・贈与を受けること・廃棄)
四 訴訟行為をすること(原告となること)。
五 贈与、和解又は仲裁合意(仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第二条第一項に規定する仲裁合意をいう。)をすること。(贈与をすること・和解・仲裁合意)
六 相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。
七 贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。(自己にとって不利益な行為)
八 新築、改築、増築又は大修繕をすること。
九 第六百二条に定める期間を超える賃貸借をすること。(短期賃貸借)
十 前各号に掲げる行為を制限行為能力者(未成年者、成年被後見人、被保佐人及び第十七条第一項の審判を受けた被補助人をいう。以下同じ。)の法定代理人としてすること。
2 家庭裁判所は、第十一条本文に規定する者又は保佐人若しくは保佐監督人の請求により、被保佐人が前項各号に掲げる行為以外の行為をする場合であってもその保佐人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。ただし、第九条ただし書に規定する行為については、この限りでない。
3 保佐人の同意を得なければならない行為について、保佐人が被保佐人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被保佐人の請求により、保佐人の同意に代わる許可を与えることができる。
4 保佐人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる。
⑨ここで元本を領収し、又は利用することとはどういうことなのか?
⑩保佐人の同意またはこれに代わる許可の「これに代わる許可」とはなんなのか?
→家庭裁判所による許可
⑪保佐人の同意等のない行為を取り消すことができるのは誰なのか?→民法120条が制限行為能力者に加え、「同意することができる者に限り」取り消すことができると規定しているからでよいか?
⑫民法13条1項各号と営業行為との関係をどのように説明すればよいか?重要な財産行為という点で共通といえばそれで足りるのか?
→例示列挙なのか、限定列挙なのか?
→(取消権者)
民法第百二十条 行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者(他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為にあっては、当該他の制限行為能力者を含む。)又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる。
<4> 被補助人→精神障害により事理弁識能力が不十分(まだらボケ状態)であり、家庭裁判所で補助開始の審判を受けた者
民法13条1項各号の一部の行為をする場合に、補助人の同意を必要とし、同意がなければ取消し
補助人には審判を受けた行為については代理権があることから、代理営業ができる。
民法第十五条 精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人又は検察官の請求により、補助開始の審判をすることができる。ただし、第七条又は第十一条本文に規定する原因がある者については、この限りでない。
2 本人以外の者の請求により補助開始の審判をするには、本人の同意がなければならない。
3 補助開始の審判は、第十七条第一項の審判又は第八百七十六条の九第一項の審判とともにしなければならない。
(被補助人及び補助人)
民法第十六条 補助開始の審判を受けた者は、被補助人とし、これに補助人を付する。
(補助人の同意を要する旨の審判等)
民法第十七条 家庭裁判所は、第十五条第一項本文に規定する者又は補助人若しくは補助監督人の請求により、被補助人が特定の法律行為をするにはその補助人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。ただし、その審判によりその同意を得なければならないものとすることができる行為は、第十三条第一項に規定する行為の一部に限る。
2 本人以外の者の請求により前項の審判をするには、本人の同意がなければならない。
3 補助人の同意を得なければならない行為について、補助人が被補助人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被補助人の請求により、補助人の同意に代わる許可を与えることができる。
4 補助人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる。
⑬補助人の代理権に関する根拠条文は民法876条の9でよいか?
(補助人に代理権を付与する旨の審判)
民法第八百七十六条の九 家庭裁判所は、第十五条第一項本文に規定する者又は補助人若しくは補助監督人の請求によって、被補助人のために特定の法律行為について補助人に代理権を付与する旨の審判をすることができる。
2 第八百七十六条の四第二項及び第三項の規定は、前項の審判について準用する。
オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」
エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」
作詞作曲 楠元純一郎
編曲 山之内馨
<われらの商法総則17(営業能力)>
ラジオ収録20210629
テキスト 楠元純一郎著『サマリー商法総則・商行為法(第2版)』(中央経済社・2021年)
東洋大学教授 楠元純一郎(商法)
東洋大学講師 根岸謙(民法)
哲学者 松尾欣治
編集 レオー
営業→法律行為(契約)→行為能力が必要→単独で法律行為をして、完全な法律効果を発生させること。
①行為能力とは何か?
→自然人の行為能力とは単独で法律行為をして完全な法律効果(権利義務の発生・変更・消滅)をもたらすことのできる能力といってよいか?法人の行為能力とは機関がその権限の範囲内で行った行為の効果を法人に帰属させる能力といってよいか?
法律行為→意思表示で権利義務の発生・変更・消滅をもたらす行為
→契約(双方行為)、単独行為(遺言・取消し、代理の追認)、合同行為(社団の設立、会社設立?)
→営業能力
営業能力→営業権利能力、営業行為能力
意思能力→自然人特有のもの
意思無能力→無効
第二節 意思能力
民第三条の二 法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。→立証が困難
②意思能力がないということで無効となったケースはあるのか?
その場合、困難な立証をどのようにしているのか?
立証の容易化→制限行為能力制度
取消しは、取り消さなければ有効、つまり、表意者等に無効にするか選択させる制度。
制限行為能力者による営業
<1> 未成年者→20歳未満→未熟なため判断能力が必ずしも十分ではないことから保護する必要あり
(例えば、未成年者が騙されて高額な買い物をさせられる!)
→法定代理人(親権者・未成年後見人)の同意が必要
→法定代理人は読んで字のごとく代理人であることから、代理人であるが、同意権もある!
→同意なし→取消し 取消し→取り消されて初めて無効となる→取り消されなければ有効→いつ取り消されるかわからない→取引の安全上、支障あり。
同意は不要、同意がなくても取り消されない場合
→未成年者が単に権利を得(お年玉をもらう=贈与契約=法律行為→贈与を受ける)
義務を免れるような法律行為
→未成年者を害さないから
法定代理人が目的を定めて処分を許した財産=お小遣いのこと?
(未成年者の法律行為)
民法第五条 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
2 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
3 第一項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。
③ここで法定代理人とはなんなのか?→ここで法定代理人が親権者・未成年後見人であるという根拠条文はどこにあるか?
④法定代理人の同意のない未成年者の法律行為を取り消すことができるのは誰なのか?
取消権者→未成年者、法定代理人(親権者・未成年後見人)
(取消権者)
民法第百二十条 行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者(他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為にあっては、当該他の制限行為能力者を含む。)又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる。
未成年後見人とは
民法第八百三十八条 後見は、次に掲げる場合に開始する。
一 未成年者に対して親権を行う者がないとき、又は親権を行う者が管理権を有しないとき。
⑤未成年後見人(後見人)はなぜ代理人なのか?財産に関する法律行為について被後見人を代表するからなのか?
(財産の管理及び代表)
民法第八百五十九条 後見人は、被後見人の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為について被後見人を代表する。
2 第八百二十四条ただし書の規定は、前項の場合について準用する。
<未成年者が営業をする場合>
未成年者の営業許可制度
(未成年者の営業の許可)
民法第六条 一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する。→法定代理人の同意は不要、同意がなくても取り消されない。
2 前項の場合において、未成年者がその営業に堪えることができない事由があるときは、その法定代理人は、第四編(親族)の規定に従い、その許可を取り消し、又はこれを制限することができる。
(未成年者登記)
商法第五条 未成年者が前条の営業を行うときは、その登記をしなければならない。
→未成年者登記簿(どのような営業について許可をしたか)
(未成年者登記の登記事項等)
商業登記法第三十五条 商法第五条の規定による登記において登記すべき事項は、次のとおりとする。
一 未成年者の氏名、出生の年月日及び住所
二 営業の種類
三 営業所
2 第二十九条の規定は、未成年者の登記に準用する。
以上が、未成年者自身が営業をする場合
営業(法律行為)のたびに、法定代理人の同意を得る方法→煩雑
営業許可を得て、登記をした上で、営業をする方法
では、未成年者が誰かに代わって営業をしてもらうことはできるか?
<未成年者に代わって代理人が営業をする場合>
法定代理人は未成年者を代理して営業ができるか?
法定代理人(親権者・未成年後見人)には代理権があるため、代理営業ができる。
→親権者が未成年者に代理して営業をする場合、登記は不要。
未成年後見人が代理営業をする場合、登記が必要→商登40条
(後見人登記の登記事項等)→親権者については登記は関係なし。
第四十条 商法第六条第一項の規定による登記において登記すべき事項は、次のとおりとする。一 後見人の氏名又は名称及び住所並びに当該後見人が未成年後見人又は成年後見人のいずれであるかの別
二 被後見人の氏名及び住所
三 営業の種類
四 営業所
五 数人の未成年後見人が共同してその権限を行使するとき、又は数人の成年後見人が共同してその権限を行使すべきことが定められたときは、その旨
六 数人の未成年後見人が単独でその権限を行使すべきことが定められたときは、その旨
七 数人の後見人が事務を分掌してその権限を行使すべきことが定められたときは、その旨及び各後見人が分掌する事務の内容
2 第二十九条の規定は、後見人の登記に準用する。
未成年者の法定代理人(親権者・未成年後見人)には同意権も代理権もある!
<2> 成年被後見人→精神障害によって事理弁識能力を欠く常況(判断能力が常にない)にあって、家庭裁判所で後見開始の審判を受けた者 →詐欺被害等からの保護の必要
(後見開始の審判)
民法第七条 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる。
(成年被後見人及び成年後見人)
民法第八条 後見開始の審判を受けた者は、成年被後見人とし、これに成年後見人を付する。
(成年被後見人の法律行為)
民法第九条 成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。→成年被後見人の保護
ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。
→人権問題
日用品の購入その他の日常生活に関する行為以外はすべて取消し
営業行為は日常生活に関する行為ではない!
成年被後見人の営業行為→すべて取消し→成年被後見人は営業がまったくできない!
→成年後見人に代理営業をやらせるほかない。
成年被後見人が勝手に行った営業→取り消される
⑥成年被後見人の法律行為を取り消すことができるのは誰なのか?
取消権者→成年被後見人、成年後見人(代理人)
(取消権者)
民法第百二十条 行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者(他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為にあっては、当該他の制限行為能力者を含む。)又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる。
⑦成年後見人はなぜ代理人なのか?
(財産の管理及び代表)
民法第八百五十九条 後見人は、被後見人の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為について被後見人を代表する。
2 第八百二十四条ただし書の規定は、前項の場合について準用する。
(後見人登記)
商法第六条 後見人が被後見人のために第四条の営業を行うときは、その登記をしなければならない。
2 後見人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。→包括代理権
(後見人登記の登記事項等)
商業登記法第四十条 商法第六条第一項の規定による登記において登記すべき事項は、次のとおりとする。一 後見人の氏名又は名称及び住所並びに当該後見人が未成年後見人又は成年後見人のいずれであるかの別
二 被後見人の氏名及び住所
三 営業の種類
四 営業所
五 数人の未成年後見人が共同してその権限を行使するとき、又は数人の成年後見人が共同してその権限を行使すべきことが定められたときは、その旨
六 数人の未成年後見人が単独でその権限を行使すべきことが定められたときは、その旨
七 数人の後見人が事務を分掌してその権限を行使すべきことが定められたときは、その旨及び各後見人が分掌する事務の内容
2 第二十九条の規定は、後見人の登記に準用する。
<3> 被保佐人→精神障害により事理弁識能力が著しく不十分であり、家庭裁判所により保佐開始の審判を受けた者
いかなる法律行為が制限されるのか?→民13条1項各号の行為→重要な財産行為
制限されるとは?→保佐人の同意なければ、取り消される
民13条1項各号の行為(重要な財産行為=営業行為もそれに含まれる)を被保佐人がするときは、保佐人の同意が必要。
→保佐人の同意がなければ取消し
問題は、保佐人には→同意権はあるが代理権はない
→保佐人が代理営業をすることはできない。
保佐人に代理営業をしてもらうこともできない。
→被保佐人は、保佐人が同意してくれなければ、自ら営業行為をすることができず、
さらに、保佐人に代理営業をさせることはできない!
→被保佐人は未成年者や成年被後見人や被補助人に比べて、代理営業をさせることができないという意味で、最も不利な立場に置かれているのではないか!
そこで、解釈
→営業行為をする被保佐人(商人)の代理人として支配人を選任
その支配人の選任につき、保佐人の同意を得る。
その支配人に代理営業をさせることは解釈上、可能か?。
⑧支配人の選任について保佐人の同意を得れば、被保佐人は支配人に代理営業をさせることができるとする学説について、支配人の選任は民法13条1項各号のどれに該当するのか?
民法第十一条 精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、保佐開始の審判をすることができる。ただし、第七条に規定する原因がある者については、この限りでない。
(被保佐人及び保佐人)
民法第十二条 保佐開始の審判を受けた者は、被保佐人とし、これに保佐人を付する。
(保佐人の同意を要する行為等)
民法第十三条 被保佐人が次に掲げる行為をするには、その保佐人の同意を得なければならない。ただし、第九条ただし書に規定する行為については、この限りでない。
一 元本を領収し、又は利用すること。(銀行預金の引き出し、元本すなわち利息・賃料などを生ずる財産の返還を受け、または元本として貸与すること)
二 借財又は保証をすること。(借金(手形の振出・裏書も含む)、保証人になること)
三 不動産その他重要な財産(動産、有価証券、特許権・著作権も含む)に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。(売買・贈与を受けること・廃棄)
四 訴訟行為をすること(原告となること)。
五 贈与、和解又は仲裁合意(仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第二条第一項に規定する仲裁合意をいう。)をすること。(贈与をすること・和解・仲裁合意)
六 相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。
七 贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。(自己にとって不利益な行為)
八 新築、改築、増築又は大修繕をすること。
九 第六百二条に定める期間を超える賃貸借をすること。(短期賃貸借)
十 前各号に掲げる行為を制限行為能力者(未成年者、成年被後見人、被保佐人及び第十七条第一項の審判を受けた被補助人をいう。以下同じ。)の法定代理人としてすること。
2 家庭裁判所は、第十一条本文に規定する者又は保佐人若しくは保佐監督人の請求により、被保佐人が前項各号に掲げる行為以外の行為をする場合であってもその保佐人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。ただし、第九条ただし書に規定する行為については、この限りでない。
3 保佐人の同意を得なければならない行為について、保佐人が被保佐人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被保佐人の請求により、保佐人の同意に代わる許可を与えることができる。
4 保佐人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる。
⑨ここで元本を領収し、又は利用することとはどういうことなのか?
⑩保佐人の同意またはこれに代わる許可の「これに代わる許可」とはなんなのか?
→家庭裁判所による許可
⑪保佐人の同意等のない行為を取り消すことができるのは誰なのか?→民法120条が制限行為能力者に加え、「同意することができる者に限り」取り消すことができると規定しているからでよいか?
⑫民法13条1項各号と営業行為との関係をどのように説明すればよいか?重要な財産行為という点で共通といえばそれで足りるのか?
→例示列挙なのか、限定列挙なのか?
→(取消権者)
民法第百二十条 行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者(他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為にあっては、当該他の制限行為能力者を含む。)又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる。
<4> 被補助人→精神障害により事理弁識能力が不十分(まだらボケ状態)であり、家庭裁判所で補助開始の審判を受けた者
民法13条1項各号の一部の行為をする場合に、補助人の同意を必要とし、同意がなければ取消し
補助人には審判を受けた行為については代理権があることから、代理営業ができる。
民法第十五条 精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人又は検察官の請求により、補助開始の審判をすることができる。ただし、第七条又は第十一条本文に規定する原因がある者については、この限りでない。
2 本人以外の者の請求により補助開始の審判をするには、本人の同意がなければならない。
3 補助開始の審判は、第十七条第一項の審判又は第八百七十六条の九第一項の審判とともにしなければならない。
(被補助人及び補助人)
民法第十六条 補助開始の審判を受けた者は、被補助人とし、これに補助人を付する。
(補助人の同意を要する旨の審判等)
民法第十七条 家庭裁判所は、第十五条第一項本文に規定する者又は補助人若しくは補助監督人の請求により、被補助人が特定の法律行為をするにはその補助人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。ただし、その審判によりその同意を得なければならないものとすることができる行為は、第十三条第一項に規定する行為の一部に限る。
2 本人以外の者の請求により前項の審判をするには、本人の同意がなければならない。
3 補助人の同意を得なければならない行為について、補助人が被補助人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被補助人の請求により、補助人の同意に代わる許可を与えることができる。
4 補助人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる。
⑬補助人の代理権に関する根拠条文は民法876条の9でよいか?
(補助人に代理権を付与する旨の審判)
民法第八百七十六条の九 家庭裁判所は、第十五条第一項本文に規定する者又は補助人若しくは補助監督人の請求によって、被補助人のために特定の法律行為について補助人に代理権を付与する旨の審判をすることができる。
2 第八百七十六条の四第二項及び第三項の規定は、前項の審判について準用する。