田舎坊主の読み聞かせ法話

「靴のかかとを踏む子 ー施設の先生は聞いていたー」田舎坊主のぶつぶつ説法


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その後、私はある講演会に招かれ、自戒を込めてA子の靴の話をした。もちろんA子とは分からないように内容を組み立てて話した。

何日かしてA子から手紙が来た。というのはその講演会にA子の施設の先生が来聴者として来ていて、施設に帰ってから子どもたちに「靴を作ってくれた人のことを考え、靴のかかとを踏むのはやめようね」と話したのだ。

その話を聞いてA子はすぐに私に手紙を書いてくれた。もちろん先生が聞いてきた話の主人公がA子自身であることは知る由もないのである。

次のような手紙が届いた。

「高野山に行く途中のお地蔵さまの顔、あんなに優しくみんなを見つめているお地蔵さま、見たことなかった。まるで心の中のお母さんみたいやった。話は変わりますが、前に先生が研修会に行ったときのお話を聞きました。それはMちゃんのクツの話です。その話を聞いたとき、お姉ちゃんからもらった宝物にしていたクツ、後ろを踏んではいていたのがとても申し訳ないと思いました。大切なクツなのに私のはき方で、今働いているお姉ちゃんに、ごめんね、と心からあやまりました。いつも何気なくしている私、今大切なことに気づいた私、とてもおかしいでしょう。ショートホームに行かせてもらって、そして施設の先生の話を聞いて、とっても大切なことを教えられた気がします。だからとってもうれしいです。

もうすぐ、中学生活も終わりなので、今勉強がんばってます。あんまり頭に入っていませんが後悔しなくてもいいように、一生懸命がんばろうと思います。いろいろ教えられたことを大切にし、がんばります。本当にありがとうございました。」

この手紙をもらってはじめて、A子にはお姉ちゃんがいることを知った。あの靴は宝物だったことも知った。

それにしても、なんといういい子なんだ。家族に恵まれていないし、お小遣いをくれる人もいないのに、なんと心が豊かなんだ。

世の中にはこのような施設があることさえ知らない恵まれた子どもがほとんどだというのに、施設で大きくなったこの子はなんと素直なんだ。

このような子どもたちが、社会で明るく、生き生きと生きていけるような温かい社会作りに私もがんばらなければ・・・。

合掌

4月からのシーズン2の読み聞かせ法話の本は

私の初版本で、2002年に出版した「田舎坊主のぶつぶつ説法」です。

後に「田舎坊主シリーズ」とつながる第1弾です。

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田舎坊主の読み聞かせ法話By 田舎坊主 森田良恒