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久しぶりに晴れた冬空に、イヤホンから流す想い出の曲を重ねた。日差しに惑わされそうになるが、しっかりと空気は様変わりしていて、たしかな冷たさを湛えている。
僕は「頑張る」という言葉が嫌いだ。「頑なに張って」みて、良かった経験が一つもない。いわゆる"ゆとり世代"という、時代が生み出した捻れた時空の中で青春時代を過ごした僕には、あまりにもぴったりで、ちょっとおかしい。
風は見えぬままに人を撫で葉を揺らし、鳥を泳ぐ。いつか僕には夢があった。「夢」という輝かしい言葉を冠にすることにひどく抵抗感を覚えるが、小さい頃の僕の夢は「鳩になる」ことだった。笑って頂いて構わない。むしろ笑ってもらわないと困る。
公園に降り立てば名前も知らない人間がパンの欠片をポンポンと落とす。これはチャンスだ、とよぎる瞬間には僕のクチバシはそれを咥えている。
嗚呼なんて素晴らしい世界だろうか。山に作ったトンネルの穴の先から見た世界は、「頑張り嫌い」な人間の目にはとても画期的に見えた。
そういえば砂場というものをめっきり見なくなった。大人になった僕は、トンネルの先に何を見るのだろう。希望も失望も夢も無情も、大きく広げた股の下、逆さに映る世界それそのまま、空に落ち羽ばたこう。
久しぶりに晴れた冬空に、イヤホンから流す想い出の曲を重ねた。日差しに惑わされそうになるが、しっかりと空気は様変わりしていて、たしかな冷たさを湛えている。
僕は「頑張る」という言葉が嫌いだ。「頑なに張って」みて、良かった経験が一つもない。いわゆる"ゆとり世代"という、時代が生み出した捻れた時空の中で青春時代を過ごした僕には、あまりにもぴったりで、ちょっとおかしい。
風は見えぬままに人を撫で葉を揺らし、鳥を泳ぐ。いつか僕には夢があった。「夢」という輝かしい言葉を冠にすることにひどく抵抗感を覚えるが、小さい頃の僕の夢は「鳩になる」ことだった。笑って頂いて構わない。むしろ笑ってもらわないと困る。
公園に降り立てば名前も知らない人間がパンの欠片をポンポンと落とす。これはチャンスだ、とよぎる瞬間には僕のクチバシはそれを咥えている。
嗚呼なんて素晴らしい世界だろうか。山に作ったトンネルの穴の先から見た世界は、「頑張り嫌い」な人間の目にはとても画期的に見えた。
そういえば砂場というものをめっきり見なくなった。大人になった僕は、トンネルの先に何を見るのだろう。希望も失望も夢も無情も、大きく広げた股の下、逆さに映る世界それそのまま、空に落ち羽ばたこう。