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Q:ある日、店長から、自分の残業代は支払われるのか?と聞かれた!店長は残業代支給の対象?
A:店長が労働基準法上の管理監督者であるかどうかを実態にそって判断し、対応することになります。
こんくり株式会社 https://con-cre.co.jp/
<解説>
大手ファーストフード店に勤める店長が未払い残業代の裁判を起こし、有名になった「名ばかり管理職」という言葉。記憶に新しい、という方もいらっしゃることと思います。そして、それまで何も気にしていなかったことが問題として表面化しました。それは、コンビニエンスストアの店長は管理職なのか…という疑問。今では多くのオーナーや店長がこの疑問を持っていることと思います。そして、ここで言う管理職とはほとんどの場合、労働基準法上の「管理監督者」を指します。その管理監督者とはどういう立場なのかを紐解いてみましょう。
管理監督者は、経営者と一体的な立場で仕事をしている人のことであり、通常経営者が管理すべき労働時間、休憩および休日に関する規定は適用されません。つまり、残業代(残業の他に早出の場合もあるので、通常は時間外割増賃金などと言う)を支払う、という概念がそもそも存在しないのです。これもあって、店長という肩書きがついた瞬間に、残業代を支払わなくてもいいんだ、という認識を持つオーナーが多いのですが、実は管理監督者かどうかの判断は、肩書きでははかれません。それでは、どのように判断していくのでしょうか。これについては次の①から③の判断材料をもとに、実態に即して見ていくことになります。
①経営者と一体的な立場で仕事をしている
②出社、退社や勤務時間について厳格な制限を受けていない
③その地位にふさわしい待遇がなされている
①の「経営者と一体的な立場」については、労働者としての身分を有しながら、経営者に代わって同じ立場で仕事をすることを指します。例えば店舗でスタッフ採用業務を行う店長の場合、採用の時期、人数、選考手順、面接の合否決定などをオーナーと一緒に決定、あるいは店長自身の裁量で行っている場合は、管理監督者になりうるでしょう。逆に、面接の権限はあるが、それ以外の要素をオーナーから指示を受けて実施している場合、あるいは最終判断をオーナーに委ねている場合などは、管理監督者とは言えない可能性があります。その他、売上計画作りや予算取りなどで、経営者と同等の権限があるかどうかなども見られます。管理監督者として判断されるためには、それ相応の職務権限が必要ということです。
②については、管理監督者の場合、時を選ばず経営上の判断や対応を迫られることがあります。責任者が出て行かないといけないクレーム対応やトラブル、システムの重大な不具合など店舗で発生する緊急対応などがその一例です。店舗にいなくても、店舗スタッフから電話がかかってくる可能性があります。そういう場合を想定して、勤務時間などを厳密に決めることができません。また、厳密に決められない以上、出退勤時刻は店長自らの裁量に任されていることが必要です。もし、遅刻や早退、欠勤をしたら給料がカットされる、というような契約になっていたら、それは管理監督者とは言えません。
③の「地位にふさわしい待遇」については、①や②のような立場であることから、給料やその他の待遇が一般の従業員と比較しても優遇されていることが必要です。仮に①や②の権限があったとしても、給料その他の待遇が一般の従業員と変わらない場合は、それだけで管理監督者ではない、と言い切ることはできないものの、管理監督者として見られる可能性は低いでしょう。
以上、3つの判断材料について見てきましたが、店舗(企業)によっても状況や条件が違うため、一律に管理監督者になるのかの判断を行うことはできません。しかし、この判断が曖昧なままだったために、在籍中、あるいは辞めた店長から突然残業代を請求され、トラブルになってしまった店舗もあります。一度トラブルが起こると、芋づる式に他の店長からも残業代を請求されたり、経営側として管理監督者性をどう証明するのかに時間がかかり、本業に支障をきたしたりする可能性が高まります。その結果、管理監督者でないと判断された場合、たとえ店長というポジションであっても残業代支給の対象になります。皆さまが関わる店舗の店長は、どのような状況でしょうか?店長や統括店長など、責任ある立場の採用時には、労働条件(ポジション、待遇、勤務時間の管理など)や職務内容(どこまで任せるのか、など)を明確にし、提示することが重要です。
以上、管理監督者の立場や判断について見てきました。店長がいくら管理監督者にあたるからとはいえ、全ての時間外手当がなくなるわけではありません。深夜勤務の場合は、深夜割増手当を支払う必要があります。また、何時間働いても良い、という考えは健康管理上の観点からよくありません。店長にオーナーの右腕として効果的に活躍をしてもらうためにも、労働条件をしっかりと整えておきましょう。
図表↓↓
(例)採用権限、経営計画、スタッフシフトの決定、昇給などの決定権限の有無など
(例)遅刻や早退、欠勤時の扱い、店舗の常駐義務の有無など
(例)基本給や役職手当が一般の従業員やパート・アルバイトと比較してどうか
※(例)の状態を見て、それ相応の権限や待遇があるからといって、すぐに管理監督者である、という判断がされるわけではないので注意が必要です。
By コンビニ社労士 安 紗弥香Q:ある日、店長から、自分の残業代は支払われるのか?と聞かれた!店長は残業代支給の対象?
A:店長が労働基準法上の管理監督者であるかどうかを実態にそって判断し、対応することになります。
こんくり株式会社 https://con-cre.co.jp/
<解説>
大手ファーストフード店に勤める店長が未払い残業代の裁判を起こし、有名になった「名ばかり管理職」という言葉。記憶に新しい、という方もいらっしゃることと思います。そして、それまで何も気にしていなかったことが問題として表面化しました。それは、コンビニエンスストアの店長は管理職なのか…という疑問。今では多くのオーナーや店長がこの疑問を持っていることと思います。そして、ここで言う管理職とはほとんどの場合、労働基準法上の「管理監督者」を指します。その管理監督者とはどういう立場なのかを紐解いてみましょう。
管理監督者は、経営者と一体的な立場で仕事をしている人のことであり、通常経営者が管理すべき労働時間、休憩および休日に関する規定は適用されません。つまり、残業代(残業の他に早出の場合もあるので、通常は時間外割増賃金などと言う)を支払う、という概念がそもそも存在しないのです。これもあって、店長という肩書きがついた瞬間に、残業代を支払わなくてもいいんだ、という認識を持つオーナーが多いのですが、実は管理監督者かどうかの判断は、肩書きでははかれません。それでは、どのように判断していくのでしょうか。これについては次の①から③の判断材料をもとに、実態に即して見ていくことになります。
①経営者と一体的な立場で仕事をしている
②出社、退社や勤務時間について厳格な制限を受けていない
③その地位にふさわしい待遇がなされている
①の「経営者と一体的な立場」については、労働者としての身分を有しながら、経営者に代わって同じ立場で仕事をすることを指します。例えば店舗でスタッフ採用業務を行う店長の場合、採用の時期、人数、選考手順、面接の合否決定などをオーナーと一緒に決定、あるいは店長自身の裁量で行っている場合は、管理監督者になりうるでしょう。逆に、面接の権限はあるが、それ以外の要素をオーナーから指示を受けて実施している場合、あるいは最終判断をオーナーに委ねている場合などは、管理監督者とは言えない可能性があります。その他、売上計画作りや予算取りなどで、経営者と同等の権限があるかどうかなども見られます。管理監督者として判断されるためには、それ相応の職務権限が必要ということです。
②については、管理監督者の場合、時を選ばず経営上の判断や対応を迫られることがあります。責任者が出て行かないといけないクレーム対応やトラブル、システムの重大な不具合など店舗で発生する緊急対応などがその一例です。店舗にいなくても、店舗スタッフから電話がかかってくる可能性があります。そういう場合を想定して、勤務時間などを厳密に決めることができません。また、厳密に決められない以上、出退勤時刻は店長自らの裁量に任されていることが必要です。もし、遅刻や早退、欠勤をしたら給料がカットされる、というような契約になっていたら、それは管理監督者とは言えません。
③の「地位にふさわしい待遇」については、①や②のような立場であることから、給料やその他の待遇が一般の従業員と比較しても優遇されていることが必要です。仮に①や②の権限があったとしても、給料その他の待遇が一般の従業員と変わらない場合は、それだけで管理監督者ではない、と言い切ることはできないものの、管理監督者として見られる可能性は低いでしょう。
以上、3つの判断材料について見てきましたが、店舗(企業)によっても状況や条件が違うため、一律に管理監督者になるのかの判断を行うことはできません。しかし、この判断が曖昧なままだったために、在籍中、あるいは辞めた店長から突然残業代を請求され、トラブルになってしまった店舗もあります。一度トラブルが起こると、芋づる式に他の店長からも残業代を請求されたり、経営側として管理監督者性をどう証明するのかに時間がかかり、本業に支障をきたしたりする可能性が高まります。その結果、管理監督者でないと判断された場合、たとえ店長というポジションであっても残業代支給の対象になります。皆さまが関わる店舗の店長は、どのような状況でしょうか?店長や統括店長など、責任ある立場の採用時には、労働条件(ポジション、待遇、勤務時間の管理など)や職務内容(どこまで任せるのか、など)を明確にし、提示することが重要です。
以上、管理監督者の立場や判断について見てきました。店長がいくら管理監督者にあたるからとはいえ、全ての時間外手当がなくなるわけではありません。深夜勤務の場合は、深夜割増手当を支払う必要があります。また、何時間働いても良い、という考えは健康管理上の観点からよくありません。店長にオーナーの右腕として効果的に活躍をしてもらうためにも、労働条件をしっかりと整えておきましょう。
図表↓↓
(例)採用権限、経営計画、スタッフシフトの決定、昇給などの決定権限の有無など
(例)遅刻や早退、欠勤時の扱い、店舗の常駐義務の有無など
(例)基本給や役職手当が一般の従業員やパート・アルバイトと比較してどうか
※(例)の状態を見て、それ相応の権限や待遇があるからといって、すぐに管理監督者である、という判断がされるわけではないので注意が必要です。